現在はJSBAも退会し、イントラ資格と検定員資格もなくなりましたが、
「バッチテスト」についてお話ししようかなと思います。
バッチテストを受験に行くと、
受付を済ませて受験開始の集合時間まで、
検定バーンを何本か滑りに行きますよね。
各級初受験だと事前講習も受けますよね。
緊張も徐々に高まっていって、
時間が足りず、
滑り足りず、
他の受験者らしき人達の滑りが気になったりもします。
検定員はというと、
朝一にバーンコンディションをチェックにでて、
受付に来られた受験者の滑走技術を想像してみたり、
ビブスや検定用紙の準備といった事務的なこと、
主任検定員と検定員、前走、スタート係と検定の流れの確認、
検定員は受験者の今後に影響する責任のある仕事なので、
緊張感も必要です。
そして集合時間になって、
検定スタートです。
ジャッジすることだけでなく安全確保も大切なので、
集合したときに検定の流れや注意点、検定のポイントも説明します。
この説明はしっかり聞いておきましょう。
緊張や検定の着眼点で頭いっぱいで受験して、
もし滑走中に一般のお客さんと衝突すると失格になるし、
衝突回避のための停止ならば減点にならなかったり、
そもそもスタートの合図があっても、あわててスタートする必要はないので、
今から滑走するバーンに人が入ってこないか、
周囲を見渡して安全確認をすることも大切です。
検定員の説明の間に、
気持ちを落ち着けて雰囲気にのまれないようにするのがいいと思います。
検定バーンまで来て、
滑走順に並んだら、他の受験者の滑りばかり見ずに、
一般の方が後ろから衝突してこないか気を付けながら、
空でも眺めましょう 意外に落ち着きますよ。
前走は、受験級ごとに滑走することが望ましいのですが、
人員的にそこまで出来ないのが現状なので、
ロング、ショートといった種目ごとに滑走すると思います。
そして前走は、下級の受験級にあわせた滑走の手本を意識して滑ります。
プレッシャーを与えるのではなく、出来れば反対にリラックスしてほしいと思っています。
前走者本人は、受験者のみなさん以上に見られるので、
実はプレッシャーがすごかったりします。
万が一にでも転ぶことは・・・そのまま滑り去りたい気分です。
検定員の目慣らしや、受験者のみなさんにとってターン弧やスピードの目安にもなるので、
前走の滑走だけ見てイメージをつかんだら、
あとは普段の自分の滑りを出せるように落ち着きましょう。
よくいう話ですが実力以上の力は、緊張してると出せないので、
いつもよりうまく見せようと思わないのがよいかもしれません。
よく見せようという気持ちが、緊張を増幅させることもあると思いますよ。
では、いよいよ実際の滑走を、
級ごとに検定員をしていたころを思い出して書きたいと思います。
どの級にも通じることとしては、
バーンコンディションの善し悪しは、ジャッジする際、考慮します。
フラットで綺麗なバーンであれば滑りやすいし、
荒れて視界が悪ければ滑りにくいし、
その中でどのような運動が出来るのかを見ているということです。
検定に慣れる=何度か不合格になる、ということではありますが、
検定に慣れたら、検定員から見たら滑走者はどのように見えるのか、
バーンの下からの目線で、ターン弧や運動要素の表現を考えてみて下さい。
遠くは小さく遅く、近くは大きく早く感じるものです。
受けようと思っているスクールのバッチテストスケジュールをみて、
一度受験ではなくそっと見学してみるのも良いかもしれませんね。
【5級、4級】
5級種目
・ノーズドロップから停止
「重心移動とバランス」
「適切な停止動作」
・連続ターン
「ボード操作」
「バランス」
「安全なスピードのコントロール」
4級種目
・ロングターン
「安定したボード操作」」
「バランス
「安全なスピードのコントロール」
・ミドルターン
「安定したボード操作」
「小さ目のターン弧」
「安全なスピードのコントロール」
この級を受験する人は少ないと思います。
僕も実際受け持ったことがあるのは一度だけで、
その他では修学旅行生が日程最終日に4級を受験することがあります。
わずかに斜度があるところで、連続ターンが出来ればOKで、
またターン弧の大小に差をつけられればOKという級です。
【3級】
・ショートターン
「リズム」
「バランス」
「スピードコントロール」
「左右均等なターン弧」
この級から着眼点が気になるところだと思います。
まとめると、一定のリズムで小さなターンが出来るかどうかです。
順ローテーション、逆ローテーション(テール振り出し)どちらのショートでもいいですが、
3級合格し当然2級を目指すのならば、後ろ足操作でテール振り出すだけのショートではなく、
ズレが大きくてもいいので順ローテーションでターンに遅れないように、
ボードを操作出来た方がいいと思います。
バランスという着眼点で逆ローテーションが減点要素になるかもしれません。
荒れたバーンでは、後ろ足の振り出しでボードをズラすと凹凸に引っ掛かりバランスが取りづらいかな。
・カービングターンロング4~5回転
「安定した全体のフォーム」
「適切な荷重と切り替え」
「適切なポジショニング」
「左右均等なターン弧」
4~5回転で左右均等なというところが難しさを上げていると思います。
普通に大きめのターンをすれば回転数はあうだけの距離で、
スタートとゴールが決められていると思うのですが、
一つ一つのターン弧の大きさを合わせなくてはという意識が緊張をうみ、
普段の滑りが出てしまうし、その他の着眼点にまで意識を持つことが出来なくなります。
その中で、カービングするためのポジショニングができているかを見ます。
ボード上で前足から後ろ足へポジションをとりながらサイドカーブやトーション、フレックスといった、
ボードの性能でカーブします。
ターンするときに、前足乗りのテール振り出しでボードの向きを変えていてはダメですよ。
ノーズドロップを重心移動で出来るとカービングも良くなると思います。
切り替えポイントも左右のターン弧の幅の中心でそろえられると加点もありえると思います。
【2級】
・カービングターンショート
「確実な雪面グリップ」
「安定したスピードのコントロール」
「適切な荷重、抜重」
「左右均等なターン弧」
簡単に言うと、細かなターンを歯切れよくといったところでしょうか。
カービングなので、テール振り出しな時点で減点されます。
ターン後半にかけて角付けを徐々に増やしていった結果、
雪面グリップが生まれ、一瞬ブレーキがかかるので板に近づき沈み込み、後ろ足荷重になる。
その時の雪面からの反力を利用して抜重し、切り替えのタイミングとなり前足に乗り込み次のターンに入る。
そいう運動を、スタートした位置からゴールエリアまでの一直線上を、
2級なりのスピードでリズムよく降りて来ているかを見ます。
多くの場合、ヒールサイドターンでブレーキ要素が強く、トゥサイドターンで縦落ちの浅いターンになり、
スタート位置から斜めに降りてくる人が多いです。
スピードを出すとテール振り出しの癖が出る人にこの傾向があります。
・ベーシックカーブロング4~5回転
「安定した全体のフォーム」
「スムーズで適切な上下運動」
「適切なポジショニング」
「左右均等なずれの少ないターン弧」
1級と同じ種目です。違うところは5回転してもいいというほどの落下スピードの遅さでしょうか。
3級ほどズレが多いとスピードもでないのでズレを抑えて、次のターンにつなげる意識が必要です。
ベーシックということで上下動を、カービングターンの中に合わせらせているかどうかです。
上下動を理解していないと、ぎこちなくタイミングも分からずに上下動して来る人がいますが、
それだと受からないと思います。
上下することで積極的に流れよく滑ることが出来るようになるので、
それを体感して滑っているかどうか、つまり板に乗れているかどうかを見ます。
・フリーライディング
「斜面状況に合ったボードコントロール」
「流れの良い運動と滑走」
「複数の滑走技術を組み合わせた演技構成」
斜面をスピードを出しながら元気よく滑られるかどうかを見ます。
ロングやショートの運動表現が少々雑になったとしても暴走ではなく、
ターン弧の変化をつけながらコントロールできるかどうかが重要です。
普段からターンの練習ばかりだけでなく、斜度変化もあるようなバーンをリフト一本分など、
止まらずに滑ったりするとよい練習になると思います。
トリックなどをしてみてもおもしろいと思います。必死さよりも余裕さが見れる滑りをしてみて下さい。
【1級】
・ベーシックカーブロング4回転
「安定した全体のフォーム」
「スムーズで適切な上下運動」
「適切なポジショニング」
「左右均等なずれの少ないターン弧」
4回転となるとスピードも出ます。2級の方よりも洗練された滑りが求められます。
ロングは滑りの基本だし、1級合格するとインストラクターにもなれます。
人から教えてほしいと言われることもあると思います。
1級に求められるのは運動要素をしようとしているかではなく、出来るかどうかです。
・ベーシックカーブショート
「確実な雪面グリップ」
「安定したスピードのコントロール」
「タイミングの合った上下運動」
「左右均等なターン弧」
ベーシックということで上下動が求められていますが、
2級のように雪面グリップによって生まれた反動で受動的に動くのではなく、
自分から動くことで雪面グリップが流れの中にできるといった積極性が見られるかどうかです。
上半身のローテーションを利用した先行動作も必要になってくるスピードだし、
ポジションが悪ければ次のターンへとつなげていくことが徐々に出来なくなる。
リズムが悪くなるので上下動も出来なくなる。
ロングとは違い素早い動きの正確性が求められますね。
・フリーライディング
「斜面状況に合ったボードコントロール」
「流れの良い運動と滑走」
「複数の滑走技術を組み合わせた演技構成」
スピードと元気良さだけでなく、ターンの質も合わせて見ます。
各種目ほどではありませんが、雑な動きではスピードの中で安定して動くことは出来ません。
スペードと技術の融合ですね、検定員をうならせるような上手さを見せてほしいですね。
・エアー
「安定したアプローチ、ランディング」
「スムーズな演技」
検定会場によってエアー台の大きさにバラツキがあると思います。
エアーを苦手にしている人もいると思います。
最近は滑られないのにキッカーで飛ぼうとする人がいますが、
滑られるようになってから飛ばないと恐怖をもったり怪我をしてエアーが飛べなくなります。
1級レベルになるまでに、ウェーブや落ち込みで日ごろから、ジャンプしてきているかどうかですね。
バッチテストのエアー台であれば、ウェーブなどで飛べれば合格します。
加点のチャンスですね。
苦手な人は、キッカーの踏み切り直前でスピードを殺すためにチェックを入れますが、
検定員がスタート位置を決めるとき、ノーチェックで安全にランディングまで届く距離を設定すると思うし、
直前過ぎるのチェックは空中でバランスを崩します。
試走が2本はあると思うので、スピードはそのときに様子を見て下さい。
あとは、自分から板の反発を利用して飛べているかどうかを見ます。
アプローチとオーリーが出来ていればランディングで転ぶことはまずないでしょう。
グラブやスピン、飛距離で加点が付きますが、バランスを崩すリスクもあるので気を付けて下さい。
僕が検定員をしていたころは、転ばずに抜けていれば合格といった感じで、
それほどエアーの種目を厳しく見ていませんでした。
このように、僕は見ていましたが、検定員それぞれ考え方や見方に差があるものです。
検定員は2名で見て、最終的に目合わせといって、
1人1人の種目をどう思ったか話し合って平均を取ったりします。
検定終了後に、合格発表や総評があり、合否にかかわらず検定の滑りの評価を聞くことが出来るので、
次を目指すために今何が必要なのか、また、足りないのかを聞いてみるのもいいと思います。
滑ることが出来ることと、
滑りを見ることが出来ることとは違うので、
見ることが出来る人の意見をもらえるチャンスはそう多くはないと思います。
パークに入ったり、パウダー滑ったりするのと同じで、
バッチテストでターンを習ってみるのも一つの方法かと思うし、
いろんなスノーボードを楽しみましょ。