以前書いたタイトル「セッティング」でもふれた、
鉛直について書きたいと思います。
ゲレンデで見かける樹木だと思ってほしいです。見ようによっては杉の木かな。

【鉛直】(辞書)…重りを糸で吊り下げたときの糸が示す方向、すなわち、重力の方向
ゲレンデで鉛直に立っているものがあります。それが樹木です。
平地ではもちろんですが、斜面にある樹木は根元こそ斜面に垂直に出ていても、
それより上は鉛直に立とうと成長していきます。
それは樹木自身の重さを効率よく支える為には、鉛直がもっとも良いからです。
(常に一定の方向から風が吹いたり、雪の重さなどの外部環境で曲がったりと例外もあります)
次の絵は、スタンス幅と鉛直の関係をイメージしてみました。

この図は30度傾けてあり、赤線も青線も同じ長さです。
この二等辺三角形2つを人の重心から足裏までとみて、棒立ちターンしているとイメージして下さい。
スタンス中央から斜面に対して垂直線上に重心があるので、
赤線青線どちらの場合も前足に乗り過ぎの状態ですが、
赤線の場合、重心より鉛直線を下ろしたとき、前足の上を超えています。前に倒れてしまいます。
青線の場合、重心より鉛直線を下ろしても、前足の上を超えません。踏みとどまれます。
このようにスタンスを広げるだけで、斜度変化に強くなります。
今度は、スタンス幅と膝への影響を考えてみました。
黒い2本の横線がボード。
その間の青い線がビンディングのセッティング。
赤い線が前足と後ろ足で、上でつながっている所が人の重心だと思って下さい。
まず、ビンディング取り付け角(前足+、後ろ足+)のセッティングの絵です。

続いて、ビンディング取り付け角(前足+、後ろ足-)のセッティングの絵です。
ダックスタンスと呼ばれる乗り方です。

斜面を滑走するとき、鉛直を考えポジションを後ろに移動させなければなりません。
その理由は以前の書き込みにある『棒立ちカービングターン(上級者向け)』を読み返してみて下さい。
ポジションを後ろにとるとき斜度によっては、重心が後ろ足よりテール側へ出ることがあります。
テール側に出てしまうとどうしても後ろ足膝を内側に曲げなければなりません。
スタンスアングルの後ろ足のセッティングが、「+」か「-」かによって膝に影響がでます。
「+」であれば、つま先の方向と、膝の曲げの方向が近いので負担も少ないでしょう。
「-」であれば、図からも分かる通り、足首や膝に無理がかかるでしょう。
では、「ダックスタンス」と呼ばれるセッティングはダメなのかと言うとそうではありません。
一般的に、急斜面と呼ばれる30度の斜度で、鉛直をとっても重心が後ろ足の上を超えないほど、
スタンス幅を広げればいいのです。
アルペンボードやフリースタイルでもアングルが前向きなら、スタンスが狭くて良いのですが、
ダックスタンスを好む滑りをするのなら、同時にスタンスを広げた方が体に優しいと思います。
もしよかったら試してみて下さい。初めはスタンスの広さに戸惑うと思いますが、
10㎝程度広げてもすぐに慣れると思いますよ。