棒立ちカービングターン(上級者向け)

ターンがまだ出来るようになったばかりの人は、

これから書くことは練習しないでください。

一度にいろいろなことをやろうとすると出来ないばかりか、

ここに書いてあることを勘違いして理解してしまいます。

このSnowboarder's Cafeでスノーボードの上達のアドバイスをと考えたとき、

『気持ちも 考えも 変わっていく』というタイトルの中で書いた、

僕の気持ちを理解してもらって徐々に、しかし確実に上手くなりましょう。

初心者、初級者、中級者、上級者とそれぞれの段階で経験すべき失敗と成功が、

あなたを最速で上達へと導きます。

さらに上級者向けのアドバイスになるにつれて、

独自の考えにもとづいて書いていくことが増えます。

あなたの大切な時間を、僕を信じてつきあってもらえたら、

きっと今までにない滑りの実感としてスノーボードを楽しめると思います。

では、上級者向け棒立ちカービングターンです。

足裏感覚で荷重配分を感じ、板と同調して滑ることができることを前提として書きます。

練習してみてどうだったでしょうか。

体軸をより深く倒そうとすれば緩斜面でも、

もちろん急斜面になるとターンを続けることも難しいと思います。

出来る人でもピステンがかかったばかりの整地ならと言う人もいるでしょう。

トゥやヒールに荷重さえ出来ていればターンが出来るとは限りません。

どういうポジションで荷重しているかが重要になります。

その方法ですが答えは、

『軸足』『膝と腰』がキーワードです。

まず『軸足』のことから書きます。

ボードを始めたときレギュラー、グーフィーを利き足がどっちなのかで決めたと思います。

ボールを蹴るとき、仮にあなたが右利きなら、蹴るのは右足、体を支えているのは左足になります。

この「体を支える左足」を「荷重を伝える左足」と考えることが重要です。

斜面でノーズを斜面下に向けてボードを装着したとしましょう。

レギュラーの人なら左足、グーフィーの人なら右足が、前になっているはずです。

生活していると右と左で使用頻度が違うはずです。

見た目は同じにみえても筋肉量やその筋肉を動かす神経、骨の強度に、差があります。

体を支え、荷重を伝える軸足を、必ず前足にして下さい。

斜面では自分が思っているよりも体重の多くが、

軸足にかかってしまうものです。

それは以前書いた文章の中にあります↓

☆☆☆☆☆☆☆☆☆(これは以前「セッティング」で書いたものです)

ビンディングをボードに取り付ける。

取り付けるには、スタンス幅とビンディングのアングルを決めなければなりません。

スタンス幅は肩幅よりチョイ広めと言われたり購入したボードによっては、

推奨するスタンス位置が指定されていたりしますが、

これではあなたにあったスタンスにはなりません。

このように決めるとスタンスはたいてい狭すぎます。

スノーボードが出来ないことはないですが、あっていない分頑張らなくちゃいけなくなります。

【鉛直】(辞書)…重りを糸で吊り下げたときの糸が示す方向、すなわち、重力の方向、

これを知ってください。

斜度のないところなら、真っ直ぐ足裏方向が鉛直ですが、

斜度があると、そこで斜度の面にあわせて立つと、斜度の分だけ斜めに立っていることになります。

このときあなたの重心位置(およそオヘソのあたり)からの鉛直を考えたとき、

スノーボードで直滑降するときの前足よりノーズ側に鉛直ラインが降りてしまったら、

前寄り過ぎになってしまいます。

スピードに耐えるため、斜度にあわせるためにもこの鉛直を考えてスタンスを、

広く取ってください。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

棒立ちカービングターンでは、軸足が鉛直を超えないように前後に重心を移動させる必要があり、

その結果として後ろ足に多く乗っているようにみえるポジションをとることがある。

それはフォールラインのときです。

棒立ちカービングターンなので膝を曲げないようにと最初に言いました。

しかし鉛直を維持しようとするとフォールラインでは後ろ膝や股関節を軽く曲げる必要があります。

両膝を曲げずに急斜面で棒立ちカービングターンをしていたら、

何故だか上手くいかない、何故だろう、なんか前足に乗り過ぎていてテールがずれる。

そのことに悩み自分で気づけるようなら中級者の棒立ちカービングターンは卒業です。

足裏感覚が磨かれることが中級者の練習には必要だったのです。

ちょっと話が横道にそれましたが、

この軸足の考え方をどうやってターンに生かすかですが

中級者のときは、荷重するとき荷重したい足の上までポジションを移動し足裏感覚でターンしますが、

上級者は、荷重している足裏感覚を損なわないまま、ポジション移動をせず、軸足を通して荷重します。

ノーズドロップにしても洗練されてくると、

前足の上まで上体を移動させるような大きな動作は必要なくなり、

ボードのセンターに重心を置きながらも前足軸をとおして荷重を伝えることで出来るようになります。

前足軸を突っ張り棒のように使い、腰で前足を押さえつけその力が前足から足裏に伝わり、

エッジを踏み雪面を捉えます。

ターン滑走中は常に変化する斜度に合わせて、重心の鉛直を考えて前足軸を前後に倒し荷重し、

雪面からエッジが離れないように、前後の荷重配分をおよそ50:50に維持するため後ろ足の曲げを、

コントロールする。

そうすると斜度がきついフォールラインではポジションが後ろ足寄りになり、第3者からみると、

後ろ足だけに荷重しているように見えるが前足軸での荷重をやめてはいない。

もしやめてしまうとボードのトップが軽くなりボードの前半分が雪面から軽く浮いたようになる、

そうなるとサイドカーブ全体でのカーブではなくテールだけのたわみ弧で滑ることになり、

バランスも片足立ちに近くなるし、切り替えでオーリーしたようにボードがはねて、

次のターンで再びトップが雪面に触れるまでの間、エッジでの捉えが遅れることになる。

正しいポジションで、力まなくても使える力(荷重)を効率よく伝え、板をたわませるようにしましょう。

これが軸足を使った前後の荷重配分調整です。

次に『膝と腰』について書きます。

「膝と腰」を理解すれば今度は、左右の荷重配分を調整できるようになります。

(前後の荷重配分を先に理解して下さいね)

その方法は、前足の軸足を上手く使います。

意識するのは、

トゥサイドでは、つま先→前足膝→前足の骨盤。

ヒールサイドでは、かかと→前足膝→前足の骨盤。

です。

ターンではエッジにしっかり荷重を伝えることが必要で、

その荷重を前足軸の突っ張り棒で板に伝えることは前に書いたとおりです。

その効率の良さを考えると、おへそあたりの重心と荷重したいエッジとを直線で結ぶライン上に、

膝と腰が入っていることが重要です。

これからトゥサイドターンをしたいと思ったら、ターンの切り替え(ニュートラル)で、

まだ角付けのないボードが雪面に対してフラットな状態のまま、

膝はほんの少し内旋回(内側にひねりこむように回転)させるようにエッジ上まで移動させ、

腰は前足のついている前骨盤をエッジの上まで移動させ、

トゥサイドエッジ上に真っすぐな体軸を作る。

このとき膝と腰は同時にやります。

まずは室内で(部屋の中などボードを履かずに)この動きを慣れるまで練習しましょう。

ヒールサイドターンのときも書くと、

ターンの切り替えで、

膝はほんの少し外旋回(膝を伸ばしきるように)させるようにエッジ上まで移動させ、

腰は前足のついている前骨盤をエッジ上まで移動させ、

ヒールサイドエッジ上に真っすぐな体軸を作る。

このとき膝と腰は同時にやります

これを「基本姿勢(ニュートラルポジション)から膝と腰を入れる」と僕は表現します。

一直線上に、つま先(かかと)、膝、腰が並ぶことで、軸足が出来上がり、そして体軸が出来る。

棒立ちカービングターンでは、ターンの最中この姿勢を維持して、

切り替えに向けて入れた膝と腰を戻し、ニュートラルポジションを経て、

再び次のターンのために膝と腰を入れる。流れの中で動いていきます。

つまりクロスオーバーという動作です。

上級者はこの練習を体に染み付くほど繰り返しして下さい。

体軸の傾き(リーン)を意識してターンが出来るようになれば、今後書いていくことになる。

『ストローク』や『リーンアウト』を誤解することなく出来るようになります。

次回は、「ストローク」を書きます。

これは脚の曲げ伸ばしとよく言いますが、それではただの屈伸です。

スノーボードの上で屈伸をしているうちは、決して超えられない壁があります。

それを説明するために、アルペンとフリースタイルのセッティングにも触れます。