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(C)2003
Somekawa & vafirs

『カレー遍歴』

端野 優子

私は野球のルールと包丁を使って野菜や果物の皮をむくことを、自分自身どうやって覚えたのか未だにわかりません。

親にも聞いてみましたが
「そもそも教えた覚えが無い・・・!」
とシビレる答えが返ってきました。

ウルトラ暇な10歳の夏休み。
どれだけ母にカレーをリクエストしてもいつも夏野菜と冷蔵庫にある物を味噌でジャーっと炒めたものを毎日、昼に食べさせられる、憎き敵、見たくもない茄子そうめん。
出汁でしみしみの車麩を卵でとじたもの、鯖の味噌煮といった、子供には何の魅力もない献立のローテーション。

もう待つのはイヤや!とうんざりして自分でカレーを作りだしました。

今思えば恐ろしい作り方です。
なべに水を入れ同時に野菜をぶち込む。
(それは、ゆで卵の作りかたやろ)
煮えたところで、そのまま、こま切れ肉を入れる。

どうしてカレーの箱の裏を読まずに暴走したのか、我ながら残念な子でした。 当然おいしいカレーが出来るはずもなく 一番の被害者は弟でした。

「ねぇちゃんのん・・・シャバシャバや!」

「なんかへんな味する・・・」

「肉、入ってない!ジャガイモない!」

といわれ、(なんだかな・・・・。料理って思ったとおりにならん。なんか、もうイヤや、作りたくない。)
しかし自分が作らなければカレーは食べられない・・・・。

旅館をしていた友達のおかあさんが、賄いカレーを作るとき大鍋に野菜を炒めていたのを偶然見かけ、 真似をしてみたり、 こま切れをひき肉に代えてみたり、と色々思考錯誤していく内に自然と野菜を入れる順番や切り方を学べた気がします。

単に食いしん坊だから始めた料理。
初期のひき肉甘口カレーから30年。
今はアホみたいに玉ねぎを刻み炒め梅酒とローリエと生姜と擦った林檎などをいれた時間のかかる大人味のカレーに進化しました。

あんなにいつも食べたかったカレーも最近ではそんなに食べたくなくなり、 (やるぞ〜!)と気合を入れないとカレーを仕込む気にもなれません。

今はカレーよりも、茄子そうめんや 鯖の味噌煮が食べたい!日々です。

<ロブロイストの日々>  毎・月始め更新いたします。