端野 威輝
私は、仕事柄、出張が多い。
最近は、月の半分近くを出先で過ごしていることもある。
同じ所にずっと居るわけではなく、今日は○○、明日は××といった具合で、移動にかなりの時間を費やしている。
人によっては「いいねぇ」と言われるが、この移動時間がもったいない。
ただ、私は子供の頃から鉄道旅行が好きで、電車での移動はあまり苦にならない。
車窓からの景色をぼんやり眺めたり、不足する睡眠を確保したり、もったいなくはあるが有意義なように感じている。
ある意味、今の仕事をする上での資質に優れていると言えるのかもしれない。
が、「時は金なり」である。
電車よりも速い交通機関がある。
言うまでも無く、飛行機だ。
私の上司も部下も、出張時には使えるルートがあれば飛行機を使っている。
しかし私は、この飛行機というヤツが本当に苦手だ。
いや、嫌いだ!メチャメチャ大嫌いだ!!
まず、重力に逆らって飛ぶこと自体が気に入らない。
私は上司に逆らうことはあっても、重力には逆らわない。
地に足がついていないとは、正に飛行機のためにある言葉なのだ。
機械製造業に携わるものとして、機械と言うのは故障するものであることは、イヤというほどわかっている。
そんな機械の推進力で重力に逆らうなんて、無謀だ。
次に、あの手荷物検査だ。
最近はノートパソコンを持ち歩くことがほとんどだが、ただでさえ客に出す資料などで一杯になっているバッグから、いちいちパソコンを取り出して、検査を受けてからバックに収める。
私にとっては、本当に苦痛だ。
だいたい、何の権利があって人のバッグの中をわざわざX線まで使って覗き見するのよ。(見られて困るものは持っていないつもりだが…。)
そして、私が飛行機を最も嫌う理由、それは座席の狭さだ。
そもそも、飛行機は外国で造られているのではないのか?(欧米か?)
外国人と言えば、身長も高ければ、幅も広い。
その人達の体格に合わせた規格で、当然座席も作られているべきではないのか?(当然か?)
それなのに、あの狭い座席は何なのだろう。
幅も狭ければ、シートピッチも狭い。
窓側は荷物棚があり、頭をぶつける。
確かに、私は身長188cmだ。
幅も人並み以上にある。
しかし、窮屈な思いをするのは私だけではないのではないのか?(全員か?)
そんなところにじっと座っていろと言われても、私には耐えられない。
せめて足を組んだり、姿勢を自由に変えたりできるくらいのゆとりはほしいものだ。
私の場合、羽田空港近くの会社に打合せに行く時も、JR+京急の組合せで金沢から往復している。
ただし、上司が一緒の時は、上司に合わせて飛行機に乗る場合がある。
私は重力だけでなく、上司にも逆らわないのだ。(逆らえないのか?)
今年は東北と九州で連続して打合せがあり、仙台から福岡に飛行機で、仕方なく移動した。
約2時間で移動できるのは確かにありがたいが、2時間近くもあの狭い場所に押し込められるのは、本当に苦痛だった。
そんな私が、アメリカへの出張を言い渡された。
2時間も我慢できないのに、10時間以上も飛行機に乗れというのか?(拷問か?)
拒否しようとも考えたが、やはり会社にも逆らえない。
出発を控えて、悶々とした日々が続く。