・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(C)2003
Somekawa & vafirs

『フライング』

川口明彦

4年ぐらい前まではまあまあ都会に自己所有の一軒家に家族と住んでいた。
ある日を境にして一人住まいになっていた。
俗に言うバツイチになっていたのである。

さて、4LDKの一軒家、一人で住むのには広すぎる(空き間が二部屋)、田舎に住む年老いた両親に同居を打診するも母親が拒否、 築15年経っているので今後修繕費もかかる。

まあ、独り身の自由な生活、とりあえず売却して実家に戻り今後のことを考えようと購入した不動産屋が、 昔からの会社での付き合いがあったから売却を打診すると普通は15年たつと建物には値段が付かないが内装も綺麗なので相場の500万円アップで売りに出しましょうとの事。
見事に売れました、元の地主さんの息子さん夫婦に。 息子さん夫婦のお母さまが一旦は手放した土地だが売りに出た事を聞きぜひ取り戻したいと。
普通は15年物は売却しても赤字物件が多いのですが私は利益を出して家を売って実家に戻りましたが、実家と言っても夏休みや正月に帰るくらい。

いざ、住んでみると歩いているのは若いのは高校生まで、それ以上はおじさん、おばさん、おじいさん、おばあさんばかり。
年頃の姉ちゃんなんて見たことありません。
サラリーマンなんていません、漁師さんか農家さんしかいません。
まともな食べ物出す店もないし、娯楽施設もないし、こりゃだめだとまともな所に引っ越そうと、思った時にここしかない!と思ったのが大学時代に住んだ金沢。
ただし、条件がある。
大学時代から憧れてた金沢の町中に流れる犀川沿いの物件。
住んでいる部屋の窓から犀川が見れるのが条件でしたが見事に物件を発見。
金沢の友人に物件の確認を依頼し見事に金沢に引っ越して来ました。

ロブロイまで歩いて2分。
飲みつぶれたらマスターがマンションまで送ってくれて、マスターは私の冷蔵庫に入ってるフルーツゼリーを風呂に入りながら食べるのが楽しみとの事。
金沢に引っ越して一年経った所で、親の体調不良の知らせが来る。
結果わずか一年で金沢を去り実家に戻る事になりました。
元々は4年くらい前から金沢に三か月おきぐらいに遊びに来た時に遊び友達に言っていたのが 「定年になったら金沢に引っ越し、今の職業をパートで働いて生活しよって!」
そう、私は定年後に金沢に引っ越してくるはずが、6年ほど早く来てしまったのです。
つまり金沢に来るのを「フライング」してしまったのです。
フライングはダメだよって神様に引き戻されたのかな?
定年後に金沢に戻って来れるように願いながら、私は引っ越しの準備を始めます。

<ロブロイストの日々>  毎・月始め更新いたします。