西川正一郎
まず、世界屈指のベーシスト、ジャック・ブルース氏のご冥福を心よりお祈りいたします。
彼の演奏が心に残っているのはもちろんのことですが、彼がクリーム時代に発言した(実際に直接聞いたことがあるわけでは無いですが)、
「クリームはエリックがリードギターで、リードベースが俺なんだ」という、自身のプレイを象徴するような発言が、とても印象に残っています。
そのクリームのリードギターであったクラプトンは、ジミー・ペイジ、ジェフ・ベックと共に「世界三大ギタリスト」と言われています。
その他にも「世界三大何々」と言われているものがあって、有名どころでは「世界三大河川」のアマゾン川、ナイル川、ミシシッピ川や、
「世界三大珍味」のキャビア、トリュフ、フォアグラがあります。
「世界三大料理」はフランス料理、中華料理、トルコ料理と言われており、「世界三大美術館」は、メトロポリタン、ルーブル、エルミタージュです。
「世界三大カクテル」はマティーニ、マンハッタン、サイドカー。
まだまだたくさんの「世界三大何々」が存在しています。
数々ある「世界三大」の中に「世界三大壊れる車」というのがあります。
いや、あるらしいです。
その三大とは、もとい、三台とは。
1台目 ランチャ(伊) デルタ・インテグラーレ
なんの覚悟も無しに手を出してはいけない。
2台目 マセラティ(伊) ビトゥルボ
とにかく全てが絶対壊れる。
3台目 シトロエン(仏) XM
何が起こっても不思議ではない。
しかし、この三台は非常に魅力的な車です。
それぞれの特徴は割愛しますが、壊れさえしなければ、もっともっと売れていたでしょう。
実はワタクシ、少し前まで、そのシトロエンXMに乗っていました。
そうです、少しばかりの自慢です、はい。
もちろん中古で買いました。
外車の新車なんて小市民が買える価格ではありません。
そして、三大壊れる車だけあって多額の修理代がかかりました。
セルモータ不良、ATミッションリビルト修理、エアコン故障(数回)、お決まりの窓落ち、冷却水漏れ(数回)、エンジンオイル漏れ(完治せず)、
ABS不良、各種センサー不良(日常)、エアサスのオイル(LHM)漏れ。
これとは別の細かい不具合も多数ありました。
私は経験していませんが、エンジンを切ってライトは消したはずなのに何となくボンヤリとヘッドライトだけが点いていたとか、
スピードメーターがF1カー並に早く動いてすぐに振り切ってしまうとか、ウインカー出したら連動してクラクションが鳴ったとか、
その他思いも付かないことが頻繁に起こるようです。
速くて比較的壊れないのがドイツ車、速くて壊れるのがイタリア車、遅いのに壊れるのがフランス車と言われています。
休日などに車を洗ってやると、次の日は必ず故障します。
わかっているのに洗車してしまうのがフランス車乗りです。
マイナス面ばかり書いてきましたが、何故そこまでして乗るかというと、それ以上の魅力を感じるからです。
ベルトーネがデザインしたXMのフォルムは、同じシトロエンのDS、SM、CXと共に唯一無二です。
機能的とは言いがたいけれども、個性的な内装とドライバーズシート回りは、視覚的にも「運転する」ということ以上の物を与えてくれます。
1955年から採用されている独自のエアサス「ハイドロニューマチック」の、高速域での大型豪華客船のような、空飛ぶ魔法の絨毯のような乗り心地は、XMをはじめとするシトロエンの真骨頂です。
少々(でも無い?)の不具合は吹っ飛ばしてくれる良さがあります。
そんなこよなく愛したXMも、22歳になりオイル漏れが深刻で、完治させるには、私には厳しいと思われる相当の出費を伴うことが予想され、泣く泣く手放しました。
そして、やはり車が無いと困るので、何か良い出物がないか探すことにしました。
ここまでこれだけ書いてきたので、次はどのシトロエンにしたかと思われるでしょうが、維持費など総合的に考えて、11歳(購入当時)のオッサン風なセダンを買いました。
その車には標準のナビも付いており、初めてのナビでウキウキしましたが、10年以上前の地図データなので無い道がたくさんあります。
最近のナビのようにSDカードやハードディスクナビではなく、DVDナビなのでデータの更新もままならず、高価な最新データディスクは2007年版だそうです。
受信できる衛星も少ないせいか、道一本ぐらいは軽くずれます。
まあこれくらいは、前のXMから比べたらカワイイもんです。
その他の面では価格を含め良い出物だったと思っています。
これまでも、皆さんのおかげで美味いお酒にたくさん出会えました。
車屋さんのおかげで、好条件の車と愛嬌のあるナビに出会えました。
あとは、素敵な女性と出会えればい〜な〜と思っています。
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