こんなコトバ 石川県で聞くことば
その1 その2

未だ整理するほどには至っていません。長さの都合上、「その2」として少しずつ続けます。
ことばを通して石川県人の人柄や生活の一端が紹介できればと思います。

ことばmえむ式解釈や用例
紅白の鏡餅 正月飾りの鏡もちは全国的には「白白」が一般的。一部地域では紅白のもあるそうだが、町全体で伝統としているのは金沢ぐらいだとか。
 元日の北國新聞によると、もともと紅白の鏡餅は武家文化で、加賀藩年中行事図繪に見られるが、上が白、下が赤。上下の色が逆になったのは、明治以降に庶民に広がっていく過程でそうなったらしい。なぜ紅白かというと、赤が藩政時代にもめでたい色とされたこと、加賀藩で赤米が栽培されていたことが理由だという。
離らかす
立てらかす
ぬらかす
だまかす
「離す」「立てる」「濡らす」「だます}の意。
「だまかす」の例:振り込め詐欺が多いさかい、だまかされんようにせんとなぁ。
強調すると「だまくらかす」になる。他動詞を作る一つの方法で。「〜らかす」というのは、もっともっとある。余らかす(余す・余らせる)、笑かす(笑わせる)、滑らかす(滑らせる)。
立てって
立てっとって
「立って」「立っていて」
ぼう
ぼっかける
「追う・追いかける」の意。「ぼうたるいとる」は「追い回している」。
つんだって 「連れ立って」の意。「つんだってく」は「連れ立って行く」。「つんだってきまっし」は08年10月末にオープンしたイオンかほくのキャッチコピー。
 石川県の中ほど、田んぼの中にお目見えした北陸最大のショッピングモールは、近隣の市町から幅広い層を取り込もうとこの言葉を選んだのだ。
アテの木 石川県の県木で、アスナロの変種、ヒノキアスナロのこと。別名ヒバとも。木材の用途は建築用材のほかに雪づりの芯棒とか輪島塗の木地。語呂合わせで、お金のアテができるとかいって財布の中に入れる人もいるとか。
 余談ですが、建築業界ではアテというと木材の欠点の一つ。傾斜地に育った木が根元の方で中心が偏っているものを言う。木材としてはマイナスでも、生きるたくましさというプラス面を感じる。
ごろ 口の不自由な人のこと。差別用語になった「おし」の方言。
ちみる 「つねる(抓る)」の意。
めった汁 サツマイモを入れた豚汁。他の野菜はいろいろでも、甘みを出すサツマイモは必須。五郎島金時なら金沢通。
こぼこぼ サツマイモやカボチャなどが「ほくほく」している様子。
使用場面から意味は分かるが、音の響きがおもしろい。
はべん 「かまぼこ」のこと。いわゆるおでんに使う白い「はんぺん」という言葉から来たのだろうが、実態は蒲鉾。ある仕出し弁当屋のメニューによく出てくる。
冶部煮
(じぶに)
冬によく供される煮物。鴨肉(鶏肉で代用も)とお麩、野菜の煮物だが、肉に片栗粉をまぶして煮るのとワサビが添えられるのが特徴。
 変わった名だが由来は、冶部右衛門という人名からとか、じぶじぶ煮るからだとか、定まっていないと聞いた。片栗粉が溶けて、煮るとじぶじぶと音がするからだという説明は分かりやすい。
能登野菜 伝統的農産物5種と特産化農産物5種を選定し、その振興を計っている。前者は、中島菜(血圧抑制作用があるとか)・金糸瓜(ソウメンカボチャ)・かもうり(トウガン)・沢野ごぼう、ころ柿(最勝という種類の干し柿)。後者は、小菊かぼちゃ(上から見ると小さい菊の花のような形)・能登白ねぎ・崎山いちご・大かぶ(かぶら寿司の材料)・赤土ばれいしょ(能登島産)。人気が高くなった加賀野菜に続けと、能登野菜育成七尾鹿島協議会が選んだもの。
ぎゃっと トノサマガエル(殿様蛙)のこと。
背の縦縞模様が似ているので名前が付いた「ギャットウリ」という瓜もある。3,40年前まではよく出回っていた。2006年に県の伝統野菜振興の一つに取り上げられ、中能登地方の志賀町安津見で再び生産し出したという。
にぎやかしい 「にぎやかだ」の単なる文法上の誤用。「〜しい」が物事を形容する言葉にぴったりだという語感からか。
人気栄当栄当
にんきえいとうえいとう

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獅子舞が、家々からの花(祝儀)を受け取った際の口上の一節。「目録一つ金貨一封御酒肴は沢山、人気は栄当栄当、右は○○様御贔屓(ごひいき)とあって、○○若連中(わかれんじゅう。たいてい青年団名)へ下さる」
 津幡町では地域ごとに八朔や9月に祭りがあって、賑わいます。獅子・棒振り・笛が一団となり、棒振りは生徒・児童の担当です。
 辞書で「栄当」を引いてみると「興行などで見物人が大勢つめかけるさま」とある。mえむは幼い頃、そんな日常離れした言葉を知らず"え〜と、何だっけ"と使われる言葉だと思って聞いていました。
 祭りに限らず、日常語としても、物事がうまくいって万々歳だ、というような意味合いで使われる。
つばえる 農作業で、不要な枝等を切るときに使っていた言葉。余計なものを除いて揃えるというような意味らしい。昔、母が間引きの時も使ったような記憶があるのですが・・・。mえむは勝手に「つぶをそろえる」から来たのだと思いました。
 インターネットで検索してみると、ヒットしたのは中国地方の方言で「ふざけるとか、はしゃいで騒ぐ」と、全く異なる意味でした。
あらあらと 大雑把に(整える)の意。例:あらあらとつばえといて。
わくちゃもない 滅茶苦茶の意。mえむは、秩序とか順序という"枠"さえもない、から来たものかと思ったのですが、どうも違うようです。「やくちゃもない」が正しい?方言のようです。富山弁ゼミナールによると、この言葉は富山県と石川県で使われており"益体も無し"が元で"役に立たないさま"が原義とのこと。
例:しばらく畑に来んかったら、わくちゃもないことんなっとる。
あせない 「せわしない」の意味。
しなしなと 急がずにゆっくりと。念のため、"しゃなりしゃなり"なんて意味ではない。
やわやわと ゆっくりと。「しなしなと」と同じ。 例:そんなにせかんと、やわやわ、やろうや。(そんなに急がないで、ゆっくりやりましょう)
おまん;
わがみ
「お前」と「我が身」。70代以上の人から聞きます。
例:おまんがおらんようなったら、わがみゃさみしゅうてならん。(お前がいなくなったら、自分は寂しくてならない)
そう言ってくれる人がいたらなあ。
あだくそ 「悪さ」の意。害をなすものという意味の"あだ"に強調の"くそ"が加わったものか? 
例:やっと実がなったんに、カラスがあだくそしてあるいて、売りもんにならん。(やっと実がなったのに、カラスが悪さをして売り物にならない)
ことっと 未だ意味が良く分かりません。"ある(存在する)"の状態を表す語だと思うのですが、置き換える語が見つかりません。
例1:物置片付けてたら、奥に梅酒のビンがことっとあった。
例2:お風呂上がったらすぐ、ことっと寝てしまった。
〜まいか 「〜しませんか」という勧誘表現。
方言ではないが、年配の人の会話で頻繁に聞かれる。
例:そろそろ一服しまいか。アイスでも食べまいか。
ざっかしい 周りがうるさくて面倒くさいの意。女性が使う。
いじっかしいと同じ意味でも使い「いざるかしい」というのも聞いた。また、「みっともない、いやらしい」という意味でも使う。
mえむが幼い頃は、汚い身なりをしている人を見て「ざっかしい」というふうに使っていた。
やいと
(焼処)
お灸のこと。やきと(焼処)の「き」が音便化したもの。
「やいとや」は、いなかに開業医が少なかった頃は、身近な治療院だった。昔はお灸の跡がついて、いかにも焼かれて熱そうだった。今では跡もつかず、あまり熱くないようにもすると言うのだが、mえむはこわくて、灸より鍼を選んでしまう。
かたき
(片食)
一回分の食事の意。
ちゃんと辞書にあることば。江戸時代に一日2食だったころの1食分なので「片」という表現なのだ。田舎には昔からのことばが生きている!!
例:やらんなんこといっぱいあるし、かたき食べんと畑にいたわ。(やらなければならないことがいっぱいあるから、1食ぬきで畑にいました)
いしる
(魚汁)
魚醤(ぎょしょう)の一つで、能登の名産。
見たところ醤油のだしつゆのような色だが、醤油・大豆は全く使っていない。イワシやイカの内臓を発酵させて作ったもの。ペプチドという高血圧を抑制する成分が多いんだそうな。うまみが強いがくせもある。鍋つゆなどに使う。石川県ではスーパーで買える。
 ちなみに、日本の三大魚醤は、秋田県のしょっつる、香川県のいかなご醤油、そして能登のいしると言われている。
甲箱蟹
(コウバコガニ)
ズワイガニのメスで、オスの半分くらいの大きさ。
海の幸の中でもカニは特に人気が高い。11月6日に底引き網漁が解禁になり、翌日には店頭に初物がずらりと並ぶ。ズワイは翌年3月20日までなのに、コウバコは1月6日までしか獲れない。
主計町
(かずえまち)

続々旧町名復活
主計町は金沢市の復活した旧町名で、加賀藩士富田主計の邸宅があった区域。
 町名にまつわる歴史的な意味を大切に引き継ごうということで復活したもの。1999年に主計町、その後、 飛梅町(とびうめちょう)木倉町(きぐらまち)、 柿木畠(かきのきばたけ)などと続き、07年3月に袋町、08年11月にはオフィス街の南町(みなみちょう)、09年11月に下新町(しもしんちょう)と上堤町(かみつつみちょう)が復活。40年前の、いや藩政時代の名に戻った。
 わが町、わが歴史に愛着を持ち、誇りに思う金沢人ならではの動き。「金沢市旧町名復活の推進に関する条例」が04年(平成16年)3月25日に制定されている。
氷室饅頭
(ひむろまんじゅう)
7月1日(旧暦6月1日)、前田家が将軍家に氷を献上した日にちなんで、食する酒饅頭。
 1月に土中2.5mほど掘った室に雪を保存し、暑くなる時期に江戸まで、約480kmを4日間かけて運ばれた。 氷が無事届けられるように、神社に氷の形をした饅頭を供えて祈願した。そんな事から氷のかわりに、 冬の間雪に埋もれていた麦を材料とした饅頭を食べる風習ができたらしい。
 家庭で食べたり、手土産に持っていく。また、前日に娘さんの嫁入り先に届ける習慣もあるそうな。 郊外に氷室が復元され、1月下旬に「氷室の仕込み」6月30日に「氷室開き」を行っている。
金時草
(きんじそう)
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加賀野菜の一つ。葉が大きくて裏が紫色。ビタミンA、鉄分、カルシウムが含まれている夏の健康野菜。ゆでて食しますが、ぬめりがでて来ます。古くから熊本市で栽培されていてスイゼンジナという和名。
金時豆(きんときまめ)の色と似ていたから金時草と呼ぶのだそうだが、「とき」を「じ」を読み替えたのはどうしてかな?
加賀野菜 金沢市が中心となって発足した農産物ブランド協会が認定した、昭和20年以前から栽培され 続けている14品目。
 加賀レンコン、源助大根、加賀太きゅうり、加賀つるまめ(千石豆とも いう)、加賀一本太ねぎ、ヘタ紫なす、打木赤皮甘栗かぼちゃ、二塚からしな、赤ずいき、くわ い、せり、たけのこ、五郎島金時(さつまいも)、そして上述の金時草。
 産地独特のものを見直し大切にしようというこの時勢。「○○野菜」というのがあちこちにあるよう だが、どこかで他の産地と繋がっているに違いない。異なるのは、品種の改良とか、好んで食した 、ということだろうか。
 平成15年(2003年)6月には15番目に「金沢春菊」が認定された。くせの無い味が特徴で、葉は切れ込みが少なく肉厚で柔らかい。
二人がら 二人とも。「ながら」は「皆」
例:あじちのあんか夫婦は二人がら、はしかいなあ。(分家の長男夫婦は二人とも賢いなあ) 
いっぴき 「一つ」の意味。
動物に限って使われると思ってると、最初はしっくり来ない。パンや冷蔵庫、果ては人にも使う。 あくまで内輪について使う。親しさ、可愛さを秘めた表現なのだろうが・・・。
例:「こどんだっちゃ、ながら帰っとるか? (見回して)ちっちゃいの、いっぴき 見えんな」 (子供達は皆帰っているか。小さいの一人見えないな)
につく;
につかわしい
似合う、ふさわしい
例1:その服、よう似ついとるわ。例2:年頃の女の人おるんやけど、似つかわしい男がおらんわ。
かやる ころぶ。倒れる。
例:走ってったら、石にけつまづいて、かやってしもうた。
めろ 女郎をメロウと読んだところから来たのだろう。もちろん、決してジョロウなんかではない。普通の女の人の意味。
 年寄りからこのことばを聞いても、決して見下しているのではないので、誤解しないで下さいネ。例:男性が「めろだちも集まったら、わしらおるとこなあなるわ。」(女たちが集まったら私たちがいる所がなくなる)
いやらしい 否定、拒否する自分の態度を表す「嫌だ」の意。
滅多に聞かれず、一部の人の誤用に思える。嫌だという直接的で強い語調を和らげようとしたものか? 他人の態度に対する自分の否定的判断を表す「いやらしい」と混同すると誤解が生じる。
A:「Bさん、めがねをかけると良く見えるよ」B:「いやらしい」。これはBさんが、自分がめがねをかけるのは嫌だという意味。うっかりすると親切心で言ったAさんをけなす言葉とも受取られかねない。
ちんと じっと
例:おまん、お客さんおられるのに、5分もちんとしておれんがか(お前...5分もじっとしていられないのか)
にまる;
ねまる
すわるの意味。母音が「i」にも「e」にもなる曖昧さがある。
例:話終わるまで、ちんと、にまっとれま。(話が終わるまでじっと座っていなさい)
まあそい
(うまそい);
まあそうなる
よく成長した、よく実っている、肥えている。
例:今年ゃ、スイカの葉っぱばっかりまあそうなって、味のほうはダメやわ
 うちの旦那、まあそうなって、困ったもんや。
だんない かまわない、差し支えない。いい(許可する)、けっこう(遠慮する)。
大事無い(だいじない)→だいない→だんない、というふうに、「じ」が落ちて「い」が音便化している。なんと発音しやすくなったものか。
例:「冷房つけようか」「な〜ん、だんないよ。これくらい暑いうちに入らん」
きなるい;
きなるがる;
けなるい
うらやましい・うらやましがる
例:あの人、友禅のいいきもん(着物)着て、きなるいわ。
がめる 盗む、くすねる 。例:子供の頃、畑のスイカ、がめてきたこともあったよ。(mえむのことではありません)
たい;
〜たい
ください。〜てください。
例:1.まんじゅう、もう一つ、たいま(下さいよ)。2.妻「車、こうてたい」(買ってください)夫「どんなんが いいがん」(どんなのがいいのか)
イントネーションは、「ください」のような尻下がりではなく、少々上がり気味なのが、やさしく響く。
ひしない;
へしない
mえむには何回聞いても、理解して一言で言い換えるには今ひとつのことば。
「待つ時間が長く感じられる」「することがなくて何となく落ち着かない」「どうしたらいいのか分からなくてもどかしい」「退屈でつまらない」
例:先週からの仕事もとうに終わっとんのに、何の連絡もない。こっちは朝からひしな〜いわ。
ちびたい 冷たい。
例:冬には、手がちびた〜なっても、がっぱになって雪で遊んだもんや。 (手が冷たくなっても夢中で...)
ふるしい 古い。「し」が挿入されると古さが倍増するよう。
4音節あったほうがリズムがいいからというわけでもない。「軽しい」とも「ぬるしい」とも言わないから。
おなしい 同じ。
この方が活用が他の形容詞と同じで、外国人には分かりやすいかも。
おもしい;
おもしくない
おもしろい。おもしろくない。ラ抜きならぬロ抜き。
「おもろい」なら、全国の皆さんお分かりでしょうに。
いやかった な形容詞(形容動詞)で活用形が「いやだった」となるところが、い形容詞(形容詞)の活用形になっている。その人たちは「いやくない」と活用させるのかな?
すきくない;
きらいくない
好きではない。嫌いではない
だ(っ)ちゃかん だめだ、だめな。
例:テストの成績、こんなんじゃ、大学だちゃかんな〜。
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