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石川県で聞くことば |
その1 | その2 |
身近に聞こえる、東京ではあまり聞かれないことばを
思いつくまま、少しずつ書き加えています。
食べ物、天気に関することば、方言等等、一緒くたになっています。
数が増えたら分類・整理しようと思っています。
間違って理解していたらご指摘ください。
ことば | mえむ式解釈や用例 |
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ちゃべちゃべと | よけいなことまでしゃべってしまうおしゃべりな様子。 例:話さんでもいい家の中ことまで、ちゃべちゃべと・・、もう、困ったもんだ。 |
がっぱになって | 「がむしゃらに」「夢中になって」の意味。 例:いくら好きな手芸でも、がっぱになってやったら手も目も疲れるよ。 |
ねんね | 赤ちゃんのこと。精神的にとても幼く、甘えん坊だという時にも使う。 何歳ごろまでそう言われたかな?時代と共に年齢が上がってきているようだが、教育期間が延び、寿命が延びたことなども考慮すべきか。 |
ごぼさん | お坊さんのこと。 接頭辞の「お」が「ご」に変わって「ごぼ」と続くと響きが重くなる。 それが重要性や貫禄を感じさせる? 石川県は浄土真宗の門徒が多く、ごぼさんは身近な存在。 |
〜ま | 命令形につき、男性が使う。命令口調がソフトになる。 例:もたもたしとらんと早く来いま。 |
番太郎 | 夜回りのこと。また、夜回りに使用する拍子木。 辞書には、江戸時代、各町、村の番小屋に住み、夜警や浮浪者の取り締まりにあたった、とある。 mえむが小学生の頃、数人が組になって30余軒の部落を回った。「火の用心」と叫んで、カチカチと2回拍子木を打つのである。 現在は田舎の方でもあまり行われていないと聞いている。ところが、この周辺では続いている。大人が各戸順番で9時過ぎてから30余軒ある町の通りを回る。さすがに「火の用心」とは叫ばない。 |
コンポスト![]() |
生ごみを入れておいて堆肥にする容器。菜園や庭の隅に20〜30cmほど穴を掘って設置する。金沢では、1世帯2個まで購入価格の5割(3千円が限度)が援助される。 最上部の一角に防虫・防臭剤を置き、生ごみを入れた後、発酵促進剤をふりかけていく。 |
消雪装置![]() |
路面に一定間隔(1.4mほど)に設置されたノズルから散水して雪を溶かす装置。 水は地下水を利用。時には水浸しになったり、勢いよく出ている水が歩く人にかかることも。 11月には、詰まった砂などを取り除き、点検散水する人の姿が見られる。2007年11月NHKのニュースでは、県道377kmに27万個敷設されているという。 |
ママさんダンプ![]() |
雪かき用品の一つで商品名。 雪をかいて押していく。ポリカーボネート製は軽くて、女性(ママさん)でも扱いやすい。 女性が運転するダンプカーかと間違えるのは、ダンプカーをダンプと略した意味しか知らないから。略語の弊害かな? 参考までに、ホームセンターには、形が少し横長の「スノープッシャー」という商品名のも並んでいた。 |
こんかいわし![]() |
いわしの糠(ぬか)づけ。にしんやさばのもある。保存食とは言え、とてもとてもしょっぱい。それを除けばなかなかの味だと思う。唐辛子も入れてあるので、食の進むこと。 |
えびす![]() |
とき卵を入れた寒天料理で、とき卵の模様がきれい。祭りのときは必ず供される。スーパーの惣菜部にもおいてあり、普段でも食している。甘く味付けしてある。 |
福梅(ふくうめ)![]() |
梅干の名ではない。金沢の和菓子で、梅の花の形をした最中(もなか)。 紅と白があって正月には必ず供される。加賀藩主前田家の家紋をかたどったもの。中のあんは固め、皮の上にザラメか細かいグラニュー糖が振りかけられていて、普通の最中とは食感が異なる。 |
辻占(つじうら)![]() |
新年の縁起菓子で藩政時代からあるそうだ。もちっとした三枚の花びらのような皮。中に丸まった占いの札が入っている。縁の色がきれい。 mえむの一個目は紙がくっついていて「〜られぬ」、二個目は「らくになる」とあった。初めのうちは辛くても後で楽になるということか? |
かぶら寿司![]() |
醗酵ずしの一つで、輪切りのカブの間に酢漬けした塩ブリ(または塩サバ)のそぎ切りをはさみ、ご飯と麹を一晩保温したのをまぜて漬ける。にんじんと昆布の千切りを加えるとおいしい。mえむにとっては母の味。麹が甘く、冷えたのを小さい頃好んで食べた。 |
なんぼ | いくら、どんなに、の意味。 辞書にも載っているし、珍しい言葉でもない。辞書には、「なにほど」→「なんぼう」→「なんぼ」と転じたものとある。 関西でよく聞かれるこの言葉を石川県で聞くと、関西文化圏なのだと改めて感じる。 例:米なら、こしひかりがなんぼでもあるし、たくさん食べて。 |
かやい ねやい だやい はがやしい |
かゆい、ねむい、だるい、はがゆい。「う」行の音が「や」に置き換わる形容詞をいくつか挙げてみた。「はがゆい」には「し」が挿入される。 例:なんぼ言っても聞かんし、はがやしーなるわ」(いくら言っても聞かないし、はがゆくなる」 |
ものい | どこと特定せずに、体の調子が悪い、疲れてとても重苦しい様子。また、病名を特定せず「病気である」という意味でも使う。 |
ブリおこし | ブリ漁が始まるころに鳴る雷のこと。会話で使われることは少ない。 |
雪吊り | 木の枝が雪の重みで折れないように支える「雪吊り」は兼六園の冬の景観の一つともなっている。 庭のある家が多い金沢では、庭師さんが来たり、器用な人は自分で行って、 家庭の年中行事の一つとなっている。 |
傘もってかんと | 「傘を持っていかないと(いけません)」の意。家を出るときにうっかり傘を持たないで
出ようとするといわれる言葉。 北陸の冬は、天気が変わりやすく雨や雪の日が多い。今、空が青くても30分後には雨というこ とがよくある。 |
雷注意報![]() |
冬に天気予報で頻繁に聞かれる。世界的な名物であるエネルギーの強い冬雷は、日本海沿
岸のほかはノルウェー西岸だけだそうだ。日本海の対馬暖流と上空の大陸からの寒気
との、大きな温度差がなせる業。
雷というと夏の夕立とイメージが重なる人は多いだろうが、北陸に来るとそれは 転換させられる。その激しさは、初めて北陸の雷鳴を聞いた人に、爆撃とはこんなものかもしれない と想像させるに充分だ。地面から揺れが伝わることもしばしばだ。 プロバイダからは、雷サージ(瞬間的に大きな電圧・電流になる)に気をつける よう通知が来る。でも、鳴るたびに電源を切っていたのでは不便極まりない。個人で は、効果は気休め程度とか言われても、価格の安い雷対策用のタップから電源を取る程度。 |
雪すかし | 雪かきのこと。道路は消雪装置があって雪が積もっていなくても、玄関から道路に出るまでは 自分で雪すかししなくてはならない。屋根にたくさん積もれば「雪下ろし」となる。 |
りくつな | よくできている様子を感嘆を込めて表すことば。「何とも便利な」とか「なんとよくできていることか」
という言葉に換えられる。 理屈、理論に合っているという意味から発展したものか? 人についての場合は「賢い」「人格がある」という意味合い。 例:(からくり人形を見て)「ちゃんとお茶運んでくるわ、りくつなもんやね」 「考えた人、どんなりくつな人やったんやろ」 |
はしかい | 子供について「利発だ」「頭が切れる」の意。「動作が素早い」という意味でも使う。 もちろん、辞書にある「痛がゆい」の意味で「畦を歩いたら穂がすれてはしかい」などと使う。 |
かたい | 「まじめだ」「性格がいい」の意。 親孝行だという意味合いで聞かれることもしばしば。 「いい子=親孝行な子」の式があるのかな。 例:あの子は家の手伝いもするし、かたい子やね。 「かたい」は大人に対して「まじめすぎて面白くない、融通が利かない」といった、 マイナスイメージを伴って使われることが多いと思っていたが、石川県で聞くこの言葉は プラスイメージ。 |
きかん子 | 「聞かん気の子」と同じ。気が強く、他人に従うことを嫌い、時には反発さえする子供の意。 |
いさどい | 「自慢げだ」の意。良くできて立派だが、威張ってる様子が見えるときに使う。 「いさどくらしい」とも言うそうな。「〜らしい」を付けて、その様子をリアルに表現しようとしたものなのか |
うざくらしい うざったい いじくらしい いじっかしい |
「面倒で、不愉快だ」の意。「ごちゃごちゃ言うのでわずらわしい」とか、 「まとわりつくようでうっとうしい」ときに使う。家族にそう言われないようにしよう。 |
きがねな | 「ありがとう」の意。「遠慮すべきすじのものだが有難く受ける」ということか。類義語は「気
の毒な」。 「気兼ねしないで泊まっていってください」のようにも、もちろん使う。 |
おとろしい | 「恐ろしい」が訛ったもの。例:(鍼灸院で)鍼はおとろしくない? |
わや わやわや |
「わや」は「どうしようもない、だめになってしまった状態」と辞書にある。 辞書には あっても、果たして幾人の人がこの言葉を普段使うだろうか、石川県の人を除いては。 実際に聞いてみると、辞書ほどのひどい状態ではなく「混乱して大変だ」の程度だ。そして 重ねて言う使い方もある。例:いろんなことがいっぺんに起こって、頭がわやわややわ (頭の中がごちゃごちゃなんです)。 |
かさだかな | 辞書にあるとおりの「大げさな」という意味。「見下して横柄な」という意味では聞いたこと
がない。 東京では一度も聞いたことがないが、石川県では年配の人からしばしば聞く。 |
あたる | 「もらう」の意。例:A:昨日の誕生日、何かあたったん?B:うん、これ。A:いいがん、 あたったじ。(いいもの、もらったね) |
堪忍やぞ | 「本当にすみません」と深く謝罪する言葉。 「堪忍」は「我慢して許す」こと。「〜やぞ」 は「〜だぞ」と自分の判断を主張するので、相手にそれを受け入れさせようとする力がある。 でも、この場合は許せと強調するのではなく、相手に大変な堪忍をさせる自分の側を強調し ているのだろう。そのニュアンスはmえむにはつかみにくい。 |
まんでおもしろかった | 本当におもしろかったの意。「丸で」が「全く(本当に)」の意味で使われ、今で言う「全 然おもしろい」のように否定表現を伴わない言い方。強調するときは「まん〜で」となる。 |
ほ(う)か ほ(う)や。 |
「そうですか」「そうですよ」の意。ほかほか、ほやほや、と重ねて言うことも多い。
その場合、アクセントは頭高型を2回繰り返す。平型にすると全く異なる共通語に
なる。 素朴で温かみのある言葉だと思う。 例:あの人先月結婚したんやて? ほうやほや、ほやほや(アクセントは平板型)なんや。(・・・結婚したそうですね。そうです。ほやほやなんです) |
おいね | 「そうなんですよ」「そうそう」「そうだとも」と同意を強く表す。女性が使う。 「オイ」という発音のある他言語に馴染んでいたり、「おい」は男性が乱暴に人を呼ぶと きのものと思っている人には、馴染みにくいだろう。 |
どこ行くが(ん) なんで食べんが(ん)や |
「どこへ行くんですか」「なぜ食べないんですか」の意。 |
知らんだ 分からんだ |
「知らなかった」「分からなかった」の意。羽咋(はくいと読む。金沢から北の方、能登 半島の付け根あたり)の人から聞いた。いわゆる五段活用動詞のら行に限って「〜らなかった」 が「らんだ」となるようだ。「要る」「切る」「しゃべる」も同様なのかは未確認。求情報。 |
なあ〜ん; なあんもなんも |
「いいえ」「いいえ、どういたしまして」の意。「何も」の転。 例:あんやと。 なんもなんも。 |
あんやと | ありがとうと同じ。「んや」の音が鼻にかかるので、とても柔らかい響きがする。 挨拶とお礼の言葉が言えない人は礼儀知らずということになっている。 普通は良いイメージで気軽に使う言葉。しかし、上下関係を意識させて口に出さないこと もあるのでは。 例:Aさん(部屋を掃除して。『ちゃんと片付けてよ』と言おうと思っている) Bさん:「わあ、部屋きれいやね。あんやと」 Aさん:「ううん」 |
きれいやじ | きれいですねの意。意外さや軽い驚き、疑問などの感情が少し込められた表現。相手側
のことについて言うようだ。客観的なことにはあまり使わないようだ。感動を共有しよう
とする「夕日がきれいですね」を「夕日がきれいやじ」とは言わない。 例1:(いつも遅い人に)「今日は早いじ」 例2:「上海に3万円台で行けたんよ」「安いじ」 |
たべまっし | たべて下さいの意。『ませ』が『まっし』となって、親しみのある柔らかい言葉になっ
た。石川県の代表的な方言。NHKの地方番組のタイトルにも「見まっし」が使われている。 例:あわてんと、ゆっくり走りまっし(あわてないで、ゆっくり走ってください) |
だら (だらけ) (だらぶち) |
ばかと同じ。「だらけ」「ばかもん」と怒鳴られると、萎縮してしまって次のことばが出にくい。
否定的なことばには相当な力がある。 例:「義援金、送ろうか」「だらなこと言うな。こっちこそもらいたわ」 |
きれいくない | 過去形は「きれいかった」。石川では「い」に引きずられて、こう言う人がとても多い。 この方がきれいに聞こえるかも。外国の日本語学習者が、基本的な文法を間違えるなんて教養がない などと思わないでほしい。これも方言の類だと私は思っている。 |
きれいやさかい | きれいだからと同じ。「〜さかいに」とも言う。
他の品詞では「大きい家やさかい」「食べるさかい」「初めてやった(だった)さかい」などとなる。 例:あのこ、頭いいさかい、いい学校行くやろ(行くだろう) |
じゃまない | 大丈夫、構わない、と同じ。「じゃまではない」「じゃまにならない」という一般的な使い方での
「じゃま=妨げ」の意味領域が広くなったものだろう。 例1:狭いガレージに車がうまく入れられたか危ぶむ人に「じゃまなかったよ」 例2:「あの子、試験に合格するかしら」「じゃまないだろう」 |
きのどくな | ありがとうという感謝の意味。漢字を使うと「気の毒」となるが、どうもしっくりこない。この
意味では「すみません」と同じ。また、申し訳ないという意味でも同じで(他者に迷惑をか
けて)「気の毒なことをした」「すまないことをした」と言える。
もちろん「かわいそう」という意味でも使われる。 例:「これ、ほんのおすそ分けですけど、どうぞ」「きのどくな」 |
あいそん(む)ない | (気持ちが)さびしいという意味。「愛想がない」からきたことばだが、あの人はむっつりしていて「愛想がない」と言う時は「が」を入れるか「愛嬌」ということばを使う 例:「家へ帰るわ」「なんや、もう帰るんか、あいそんない」 |
おる; おらん |
(物が)ある、ないという意味。この場合は自分の物をへりくだるという意味合いはない。人がいる、いないという意味でも使う。
例:(栗拾いで)「もう誰かが採ってったんよ。ぜんぜんおらん」「あっ、こんなとこにおった」 |