4seasons 

 Evening Noh-Theater観能の夕べ   夏の異次元体験(冬−若き能楽師の清新な舞台!−)

現在残る狂言の二流派、和泉流と大蔵流が同じ舞台で公演する「新春狂言の会」が3日、金沢市石引の県立能楽堂で開かれた。ともに人間国宝の和泉流・野村萬(まん)さんと大蔵流・山本東次郎さんが正月にふさわしい華やかな演目を披露した。大蔵流が県内で公演するのは21年ぶりで、東次郎さんの出演は初めて。

抑揚が大きく軽やかなテンポで繰り広げられる和泉流に対し、大蔵流は江戸城で徳川家に仕えていたため、武士の趣を感じさせる重々しく力強い発声や身ぶりが特徴だ。

大蔵流「素袍落(すおうおとし)」では、次々と酒をあおるシテの東次郎さんが酔いつぶれて醜態をさらす様子が聴衆の笑いを誘っていた。萬さんは、正月に家々を回って舞で祝福する中世の行事を題材にした「松囃子(まつばやし)」を上演。息子の万蔵さんがシテの「釣針」もあった。

(北陸中日 130104)

能楽協会北陸支部の「ろうそく能」は16日、金沢市の県立能楽堂で開かれた。舞台を囲んだ15本のろうそくが、兄頼朝との不和によって都落ちする源義経一行を描いた能「船弁慶(ふなべんけい)」の世界を際立たせた。

ろうそく能は年1回開かれており、今年で7回目。シテの佐野由於(よしお)さんは前場で、旅の同行を断念して惜別の舞を踊る静御前(しずかごぜん)を演じた。揺らめく明かりが悲しみを引き立たせた。後場では一転、一向に襲いかかる平家の怨霊となって迫力の立ち回りを見せた。

狂言「子盗人(こぬすびと)」も披露され、能村祐丞(ゆうじょう)さんが盗みに入った屋敷で赤ん坊をあやすのに夢中になる盗人を演じた。

(北國朝刊p4 140316)

高澤ろうそく :「ろうそく能」に使う和ろうそくを使っていただいています。

金沢市の県立能楽堂で3日、20年ぶりに宝生流以外の能楽師がシテ方として舞台に立った。新春特別企画「宝生・観世 正月能」で、観世流シテ方の観世喜正(よしまさ)さんが「安達原(あだちがはら)」を力強く演じた。

「安達原」は観世流の演目で、宝生流では「黒塚」の題で演じられる。県によると、宝生流の盛んな石川の県立能楽堂で宝生流以外の能が演じられるのは、1992(平成4)年の国民文化祭以来という。観世さんは下掛(しもがかり)宝生流ワキの殿田謙吉(とのだけんきち)さんと気迫の掛け合いを繰り広げ、県内外からの来場者約350人が見入った。

冒頭、二つの流派の違いの解説が行われ、それぞれの流儀で仕舞「鶴亀」も披露された。宝生流能楽師の佐野由於(よしお)さんがシテを務める「嵐山(あらしやま)」も演じられた。

(北國新聞p24地方社会 120104)

金沢市の大野湊神社で15日、約100年ぶりに改修された能舞台のこけら落としとなる400回記念神事能(市無形民俗文化財)が行われた。総ヒノキ張りの能舞台で金沢能楽会や金石宝生会の会員が入魂の舞を演じ、加賀藩から脈々と受け継がれてきた能文化の気概を示した。

佐野由於(よしお)師がシテを務める祝儀の素謡「翁(おきな)」で幕を開けた。今回は約400年前の初回と同じ「高砂」「田村」「三輪」「熊野(ゆや)」「猩々(しょうじょう)」の5番組を再演。能「高砂」ではシテの島村明宏師、ツレの寺田成秀師が老夫婦を演じ、長寿と夫婦愛の尊さを描いた。金石幼稚園、みなと保育園の園児も元気いっぱいに連吟を披露した。

神事能は1604(慶長9)年に加賀藩2代藩主前田利長が関ケ原の合戦の戦勝祝いとして小松にいた能役者諸橋太夫(もろはしだゆう)に能の上演を命じたのが始まり。その際、舞台は加賀藩お抱え大工の清水長右衛門によって建築されたと伝わる。

現在の舞台は1907(明治40)年に新調されたが、アテ材の床板が傷んだことから昨年9月に着工し、節のないヒノキ材に張り替えられた。

15日と16日の午後7時からは、能舞台で「第3回寺中の杜(もり)芸能祭」(北國新聞社後援)が行われる。

(北國 090515)

いしかわの能楽鑑賞事業実行委員会は2月3、24日、金沢市の県立能楽堂で能の公演「冬の観能の夕べ」(北國新聞社特別協力)を初開催する。冬場の兼六園周辺のにぎわい創出とともに、若手能楽師が活躍する場を提供する狙いがある。出演する佐野玄宜さん(25)が25日、北國新聞社を訪れ「シテを務める機会を得てうれしい。若い人にも見に来てほしい」と語った。

実行委は1991(平成3)年から、毎年夏に金沢能楽会と連携して「観能の夕べ」を開催。金沢の伝統芸能を通じた冬場の誘客の一環として、冬の開催を初めて企画した。料金は一公演1000円、高校生以下無料に抑えた。

各番組の主役級は若手を起用。3日は佐野さんが能「車僧(くるまぞう)」を演じ、24日は能「葛城(かづらき)」のシテを藪克徳さんが務める。ほかにも仕舞、狂言が組み込まれている。開演は3日、24日ともに午後3時。

(北國 070126)

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