今月、7月でなんと!58歳になってしまった。なんの成長もないまま「還暦」がすぐ手の届く年齢となってしまった。あぁ〜。
還暦など、遠い、とおーい、そのまた遠いこと。諸先輩方、よその小父さん方の事だと思っていたが、数えで(古いが)いくと来年ということになってしまう。意味もなく「う〜ん」と唸ってしまう。
この「う〜ん」のなかには、困ったなあ〜(何が困ったのかはさておいて欲しい)。と、ひょっとして還暦を迎えられるのかな?・・・という感があるからである。それはとりもなおさず、5年前のガン、手術、というまあ、そんなに小さくは無い事実があったからである。
今記したように「食道がん」というと、僕の場合リンパにも転移していたので5年後の生存率?%。限りなく「0」に近かったそうである。
先日など、ある消化器(その専門になる)の医師と来ていた薬品会社の社員が「食道がんで、5年後に生きている人を始めて見た」とまあ、実にあっけらかんと言っていたが、これは「生きている」という事実の元ゆえ、許されることだろう。
ともかくこの事実に、素直に「ありがたい事」と思っている。
もちろん手術による不都合など、当然もろもろあるわけではある。
以前にも書いたが、胆のうと脾臓は全部ない。すい臓と胃は三分の一ずつ残っている。その残った胃を筒状にし、半分切った食道へつないでいる。結果「胃」はあるが「胃袋」としての役目は果たされていない。
幸いにしてアルコールの方は胃袋など要らないらしく、炭酸系を除き、今までと何ら代わらなく飲める。これは非常にありがたく、かつ酔い良い。
ところが5年経ったいまでも食事には相変わらず難儀する。もともといたって小食な方、思ったほど深刻ではない。としてもやっぱり胃はあったほうがいい。
「無ければないで、それらしく代わりが出来てくるものだ」と主治医、また他の医師達も言ってくれるが、一向にその気配がない。今でもうどんでもラーメンでも、やっと半分ほどしか食べられない。当然一人でラーメン屋さんへ入ることはなくなった。何年か前の「一杯のカケそば」ではないが、嫁さん子どもと三人で入り、二人の麺とスープをちょっとずつ貰ってちょうど良い。我ながらなさけない。
それでもここ数年麺類ばかり食べている。もちろん我が家で量は半分である。一年中、ソーメン、ラーメン、うどん(乾麺も含め)、蕎麦にスパゲティーを飽きの来ないように用意している。
もちろんそれだけでは栄養価としても足りない。店に出る前には僕のメインの食事となる。嫁さんが何品かおかずを造ってくれるが、一品、一品が実に少なさゆえに、嫁さんも大変だと思う。(密かに感謝している)それでも僕はご飯と一緒には食べられない。その少ない量の何品かを食べ、しばらく休憩してから、これまた少ない量のご飯をお茶漬けにして食べる、という寸法である。
実にうっとおしい話ではあるが、そんな生活、食事がここ5年続いている。正直、未だに馴れない、面倒くさいことは事実である。他にも不都合はあるが、ただ普段気分が悪いとか、今日はどこどこが痛いなどあるわけではないので、実にありがたいと思っていることには間違いない。
5年経ち、目先に転移、再発も今のところなさそうであるが、術後しばらくして右肺に穴が空いた。今も空いている。先日のレントゲンでちょっと影があるとの事、今週はCTスキャンの予定であるが、もうすでにない臓器もある。三分の一しかない臓器もある。それでも生きられる。肺は左右にふたつある。いざとなればひとつあれば十分というものであろう。
さて冒頭に書いた遠い、とおーい「還暦」。まして5年前には考えられなかった「還暦」。素直にありがたく迎えたい。と、今は思っている。