最近我ながら前日の事を思い出せない、という事がよくある。

たとえばボトルキープされた方のネーム・シールを貼り忘れた時など、次の日そのボトルを見つめながら、なかなか思い出せない。 何とかかんとかひねり出し、その方の顔、その時の状況が浮かんだはいいが、名前まで思い出すまでに一苦労する。困ったものだ。

以前あるお客さんが「酒飲むと、物忘れがひどい」と言うので「そりゃあ、酒のせいにしたら酒がかわいそうだ。 単に記憶力の問題だろう・・・」とまあ、実に失礼なことを言った記憶があるが、今の僕にすると、もはやそんな事を言う資格など全くない。
つい先日も嫁さんに「最近夕べのことを覚えていないことが時々ある」といったところ「それは最近のことではない」と、いともあっさり言われて愕然とした。

つい最近のことであるらしい。
朝方、二階の僕の部屋で「バッタン」と大きな音がしたらしい。 嫁さんが見に来るとギターケースを倒したらしく、僕はどうしたかというと、意味もなくタンスを開け、何かを物色していたらしい。 「何してるの？」と聴いたらしいのだがそれには答えず、スタスタと階下へ降り、トイレを済ますとまたスタスタと戻り、布団の中へ潜り込み、眠り込んだらしい。
次の日嫁さんに言われても、思い出せないので、らしい、らしい、と書くしかない。やれやれ我ながら困ったもんである。

以前この欄でも書いたが、もう大分前のことになる。 家の玄関の柱に後頭部をしたたかに打った。思いっきり血が出ているのも気付かず寝た。 起こしに来た嫁さんは血だらけのふとん、まくらにびっくり。 まあ当然だろう。酔っ払いは痛みに強いらしい。

痛いといえばこれも書いたが、つい一昨年の今頃のこと、店の急な階段から道路へダイビング、右手首が折れた。これは痛かった。（お客様は絶対にまねはしないで下さい）

お客様といえば古い話しになるが、ある日我がロブロイでかなりの量飲まれたはずなのだが、まだどこかへ行ったらしい。 らしいというのは本人も覚えていないからである。しかしもう一軒行った記憶がないのに“行ったらしい”とは、あったはずの一万円札が全部なかったらしい。 ４〜５万円はあったはずが財布の中には千円札だけが残っていたらしい。「わからん、覚えがない、また一軒で４〜５万円もする店にふだん出入りしない」との事。 金沢でも酔わせて（もともと酔っていたが）財布から抜き取るような店があるのだろうか？もしくはアラヌところで、アラヌ娘と・・・？ いずれにしろ記憶がない、ということは結構不安なものだ。

アラヌといえば、またある人の話し。
ある日やっぱりしたたかに飲み、我が家に帰り、スーツを着たまま寝入ったそうです。 次の日着替えようとすると、ネクタイまでしっかり締めているにもかかわらず、なんとパンツ（下着）だけを履いていない・・・。
どこかで“脱いだ”ということになるが、しかしいくら考えても思い出せない。財布を見てみる。それらしく？減っていたとの事。 明らかにアラヌ娘（おばちゃんかもしれない）と、と考えざるを得ないが、何よりせっかくアラヌ事をしたはず？であるが、覚えていないというのは何とも悔しい。という事だった。

ともかく飲みすぎた結果、覚えていないということは、何とも情けなく、危険でもあるし、不安でもある。と、もうひとつ、もったいないことでもある。