先日、日本に住み着いて十年になるというアメリカ人がやってきた。
やっぱりというか当然というか、ワイルド・ターキーをストレートでクイッ、クイッと飲っている。
本場?の人間だけになかなか飲みっぷりがいい。
おまけにノー・チェイサーとくる。
水など要らないらしい。
・・・よしよしとして話はちょっとずれる。
欧米の小説、また映画にしろ、ほぼ必ずといっていいほどウィスキーはストレートのようである。
それではわが国で多く飲まれている“水割り”は日本で生まれたかというとそうではない。
なぜかアメリカらしい。
一説によると石原新太郎都知事が日本に最初に持ち込んだ。
と何かで聞いたような気がするが定かではない。
その他、昔よく飲まれたコーラ割り(コークハイ)やソーダ割り(ハイボール)やジンジャエール割りなどもそうらしい。
ついでにカクテルなどもアメリカで生まれたと言われている。
しかしカクテルの語源はというとイギリスらしいので何となく分からなくなる。
結局はどうでもいいのだが、言えることは総じて欧米人、とくにアメリカ人は酒に強いような気がする。
もっとも日本人とでは体格も違いすぎるが。
たとえば食生活をとってみても、古来より野菜の煮物や白身魚の刺し身にキュウリの酢の物など、実に体にやさしそうな物を好んできた日本人と、骨付きの肉を豪快に食いちぎるアメリカ人とでは内臓器官も違って当然というものだ。
それだけに同じ飲み方をしろといっても無理というもんであろう。
とはいっても最近日本人の食生活もどんどん欧米化、肉食化しているようなので、これに伴い内臓も欧米化していくのだろうか?
ともあれ欧米に比べ比較的日本でアルコール中毒患者が少ないのは、中毒になる前に肝臓その他内臓が壊れる、と何かに載っていたがなるほど、と納得する。
しかし日本の飲み助、飲ん娘たるもの、やっぱり粋にカッコ良く、出来たら豪快に飲りたい。
そこでストレートがだめならオンザ・ロックといこう。
水割りより当然きつく感じるが、これはちょっとしたコツさえ覚えればなんでもないことである。
水割りのようにゴクッ、ゴクッとは飲らない。
すこし口に含みちょっと間をおく。
それからゆっくり飲み込むと喉を通る頃には随分優しくなっているはずである。
飲みに来て急ぐ理由などない。
そしてゆっくり飲みながらグラスの氷をコロコロとやっていると少しずつ氷が溶ける。
次のひと口はもっとやさしくなっている。
(もともと氷を溶かす目的ではないが、この際気にしない)
ようするにチビチビコロコロとやればいいのである。
大きな氷(ロック)がグラスに当たる小気味いい音を立てながら、ゆっくり口に運んでいる姿というのも、カウンターの中から見ていてもなかなかいいものである。
ともかくオンザ・ロックのいいところは自分の好みの濃さにコントロールしながら飲める、という事にある。
自由にすれば良い。
ところで冒頭のアメリカ人だが、相変わらずクイッ、クイッと飲っている。
で、本場のバーの話や、どんな酒を?と聞いてみると何のことはない、日本に来てからバーボンを覚えたとの事!・・・またまた分からなくなった。