『朝によし 昼はなほよし 晩はまたよし 飯前飯後 その間もよし』
この名言?は<朝寝 朝酒だいすきで〜ッ>の小原庄助さんの墓と称する、墓石に刻まれているらしい。
なかなか我等、のん兵衛にとってはこの上なく勇気付けられる言葉である。
我が店の常連にも、なかなかの名言を吐いた男がいる。ある日、何杯目かのオンザ・ロックを口に運びながら、
「う〜ん、いつ飲んでも酒はいいねぇ〜、酒さえあれば天国など質に入れてもいい、ん」
たぶん、質に入れたその金で、また酒を買って飲むのだろう彼は。酒場には必要な男だ、ん。ともかく頼もしい言葉である。
先日『田中小実昌編・酔』という本をめくっていると、中国のおもしろい話が出ていた。
ある酒好きがいた。というよりアル中の男である。友人が見るに見かねて禁酒を勧めてみる。
「ウイ〜ッ、 酒はやめたほうがいいと思っているんだがねぇ、ウチのドラ息子が
家を出て行ったっきり帰って来ないものだから酒でも飲まねえと心配で、心配で・・・」
「ヨシ、息子が帰ってきたら酒やめるよ」
「それじゃあ天に誓えるか」
「いいとも」と、アル中の男は天を仰ぎながら言った。
「息子が帰ってきても酒をやめなかったら、酒樽に押しつぶされて死んでもいい。
酒池に滑り落ちて死んでもいい。酒の海で溺れ死んでもいい。
イヤ、罰として一生醸造村の奴隷にされてもいい。また酒泉の・・・・・」
「もう、わかった。君の周りには色んな所があるようだが、で息子はどこへ行ったんだね」
「それが・・・オレのために酒を買いに出かけたんだよ」
というオチだが、如何なものだろうか。
それにしてもさすが中国四千年。醸造村から酒の泉、池、はては酒の海まであるらしい。もうひとつ、酒の川もほしかったが。
以前、中途半端に残っている酒、清酒から料理酒、スコッチにバーボンまで湯船に放り込み、酒風呂とシャレてみた。
さて湯船に入ってみると、アルコール臭が鼻にくるわ、目に突き刺さるわで優雅には程遠いものであった。
これを読まれた方、是非一度お試しあれ。