奥村有里子
ロブロイストの日々・・・なぜか依頼が来るときは不思議なことに新しい仕事についた時なのだ。
最初の話は日系ブラジル人をサポートする人材派遣会社の労務管理。
次が静岡茶の話。
さてさて今度は・・・「筋トレ」の話。
私の新しい仕事は「インストラクター」。
筋力トレーニングを指導するインストラクターである。
名刺にもそういう肩書が付いている。
なんだかくすぐったい感じがするが、実際に毎日メンバーさんの指導をしている。
筋トレ・・・というと一般的にムキムキで筋肉隆々のマッチョなお兄さんを想像することが多いだろうが、そういう筋トレではなく、指導する相手もスポーツマンのお兄さんではない。
女性だけの30分フィットネス。
中には聞いたことがある人もいると思う。
アメリカで生まれて日本にも2年前に上陸してきた。
筋トレマシンと有酸素運動をするステップボードが、丸くサークル状に交互に置いてあり、30秒ずつ音楽に合わせて移動して回るのである。
私も最初はこんな短い時間で運動をして効果があるものか・・・と思っていたのだが、やってみるといやはや意外につらい運動内容だった。
女性専用だから、メンバーさんはあたり前だけど女性のみ。
年齢は圧倒的に50歳以上の人が多い。
みんな自分自身の目標に向けて日々頑張っている。
私も運動が好きでそれなりに体を鍛えてきたし、今でもエアロをやっている。
でも、改めて筋肉量を調べてみると、思いのほか筋力が落ちていた。
40を過ぎて嫌でも体の衰えを感じていただけにショックだった。
しかし今の状態でそれに気づけただけでも良かったと、前向きに考えてメンバーさんと一緒に自分の目標を立てて、毎日筋トレに励んでいる。
やったらやっただけ体になんらかの変化は現れてくるものだし、メンバーさんにも毎日それを伝えている。
しかし店内に貼ってある、ビフォアーアフターというアメリカ人の女性たちの運動前とスリムになった時の写真を見ると、筋トレをしていれば自分も同じようにスリムになると思ってしまうのだろうが、それがそうではないだけに辛いものがある。
その人の体質、食生活、筋トレの仕方など、背景に隠れているものがあるからだ。
数ケ月ですごい効果が出る人もいれば1年やっても数字が変わらない人もいる。
各メンバーさんを1ケ月ごとに経過を見るのだが、よくある質問で、筋トレを必死にやっているのにやせないのはどうしてか?? と聞かれる。
そこで食生活を聞く。
びっくりするような食生活・・・。
今以上に増えていないことが効果が出ている証拠だし、お友達と一緒に来てずっとおしゃべりしながら筋トレをしているメンバーさん。
こういうパターンも効果は出にくい。
それでも数字での効果を期待するのである。
そんなときのフォローは大変だが、少しずつ改善していくように持っていくのもイントラの仕事なのだ。
ほとんどの人は一生懸命筋トレをしている。
その姿には頭が下がる。
先日も杖をついてでしか歩けなかったメンバーさんが、杖なしで来店してきた。
足の筋力はもちろん全身を支えるだけの筋力が付いたのである。
これはうれしい姿だった。
みんないつまでも健康でいたい、美しくいたいと思う気持ちはいくつになっても変わらないものなんだと改めて感じる。
いろんな年代の人、いろんな体形の人、その人たちがたった30分の間に一緒に筋トレをして、お互い感化されながら筋トレしている。
イントラデビューをして1ケ月。
かわいいおばちゃん、わがままなおばちゃん、生きているうちはここに来るからねと言ってくれるおばあちゃん、不登校になっている中学生・・・今まで携わった仕事での話をしながら、毎日100人以上のメンバーさんとの会話をしていきたいと思う。