佐津川和人
先日、幼ななじみが倒れた。
家も近所で、中学一年の時にバンドを結成して以来、付かず、離れずの関係だ。
10年以上糖尿病を患っていて、ついに心筋梗塞で生死をさまよった。
飲む・打つ・買うの生活を改めることなく、ついに!!という気がする。
なんせ、一日検診で午前の診察が終わったら午後に備えて、ワンタン麺、チャーハン、餃子をビールで流し込む男である。
集中治療室に見舞った時、ナースに「身内以外合えません!!」と言われたが「その身内が合ってやってくれ!!と言っているんだ」といって合ってきた。
息も絶え絶えに酸素マスク越しに、「お前とは長い付き合いだったなあー、もうだめだ」
「いい奴はみんな天国へ行って、悪い奴らは地獄行き、オレみたいなやつは、中国へ行くんだ・・・」
冗談言ってる場合か!!。
聞いてみた。
「死にかかったんなら、なんか臨死体験的な、あの世とか見なかったのか?」
「何度か心臓が止まり、そのたびに医師が処置をしてくれ、心臓マッサージをしながら『帰ってこい!』『まだ行くな!!』『戻ってこい!!』と声が聞こえ、
暗いトンネルの先に明かりが見えて、そこに向かって行くとだんだん明るくなって意識が戻り、生き返ったんだ・・・これがほんとの生還(青函?)トンネル・・・」
点滴の針を抜いてやろうかと思った。
などとバカな話しやスケベーな話しかしない奴だが、この期に及んで・・・と思いつつ、しばらく大丈夫そうだな、と思い帰った。
その後、冠静脈など、何本かの血管交換手術も成功し、取りあえず生きている。
術後見舞った時も、痛い!、痛い!!と言いながらもうわ言のように、
「あの世とかやつにも喫茶店あるかなあー?」
「あるんじゃない、なんでも」と私。
「メイド(冥土)喫茶」「なんちゃって・・・」
全く・・・・・