ヤミヨのカラス
【接待】
2001年9.11の同時多発テロの後、米国がイラクに軍事介入し世界中が厳戒態勢だった2003年3月の話である。
某大手電気メーカーM国工場の得意先購買2名と同国弊社営業 総勢 3名が打ち合わせのためにタイを訪問。
日本人の上司が加わり、打合せ前夜に親睦をかねた宴を準備したところ、問題が発生。
訪問してきた3名は隣国M国の国籍であるものの、ルーツは3人3様。
客の一人は隣のM国現地人で豚が食えないイ教信者。
もう一人はカレーで有名なイ国出身で牛は、食っちゃダメのヒ教信者。
最後に同行した我社、営業マンは、あたるコタツ以外なら何でも食べるC国出身。
我々日本人は、おいしければ、なんでもいい。
と言う組合せになってしまった。
悩んだ挙句イタメシ屋を選択。
シーフードスパゲッティにオニオンスープ。
小生が持参したスコッチ”グランツ”で何とか無事に過ごせましたね。
【暴露大会】
雑学として、イ教は基本、飲酒も戒律により規制されているけれど、非常事態の場合(例えば命に関わるほどの寒い環境など)では、酒は飲んで良いとのこと。
よって、寒M国より北のT国は命に関わるほど寒いため、“こりゃ飲むしかない!”と言う拡大解釈である。
会食の途中、 イ教に属し過激派で知られる“アラ,カイーノ”がM国と言語が違うのに、どうやってテロ情報を共有できるのだろうかという話題になる。
イ教の得意先購買課長は
”そげなもん英語で教育しよって、世界中どこでもわかるようにしとっけん、全然、問題なかとっとよ!”
などと話し、皆が”オーッ"と驚きの声を上げたところウシロにいた白人のおばちゃん、おっちゃん4人がギョッ!とした顔をしてこちらを見ていたのが面白い。
なんせ人種寄せ集めのアジア人5人が、イタメシ屋で、顔を寄せ合い、ブロークン英語で“アラ,カイーノ”の話をしているもんですから、ソリャー気持ち悪いですわな。
そこにヒ教の得意先購買担当者が、
”そうか!ウチのもひどいもんヅラ!
教祖争いなんてマフィアの抗争と同じだヅラ!
ファミリーで徒党を組んで殺し合いしとるんやからなモシ!
ファミリーから教祖出ようもんなら親戚縁者ことごとくリッチ、リッチなんヅラ!!”
と、ノタマウ。
そしたらイ教得意先購買課長が負けじと
”うちの教祖もビジネスで宗教しとっとよ!
俺は教祖の家に行った事あるけん!欲しいもんは何でもありッタイ!
その奥さんだってウチ帰ったらタラフク酒飲んどるけんね!ワシャ知っとっとっとーとよ!”
普通は、おらが宗教を誉め、他人の宗教は、ケナスもんですが、今回は酒が入り、異国に来たのがうれしかったのか己の宗教の暴露合戦。
そこで小生も
”日本人は一つの神を信じる気が、ナ〜ンモ、ねーわ!
なんでか、ゆーたらぁ、クリスマスもバレンタインもあっし、盆も大晦日もある。
神社もあるしお寺も、エッペあーれんぞ!知っとーらんかいや!
ダラブチッ!”
ってなもんです。
そこにC国人が
”C国にも道徳を重んじるジ教があるんじゃけど、俺は本家C国人は大嫌いなんじゃ〜!
なんでか、ゆーたらアイツラどこでも、うるさい!
うるさいんじゃ!ヒンちゅうもんがないんじゃ〜!
M国のC国人にはヒンがある!本家と一緒にして欲しくないんじゃ〜!”
とシャウトし、皆ウンウン頷いていました。
そんな酒盛りをやっていたところ、”フッ!”と気が付いたら、後の白人は消えており、テーブルには食べかけのステーキが。。。。。
相当ビビッタようです。
彼らの宗教であるオーマイゴ教なんぞ、手を組むとしたら各地にある土着宗教しかもう残ってないのでしょう。
我々のイタメシ屋で繰り広げられる談義をあの白人達が警察に密告されないか、ちょっと心配でしたが、ここの警察なら全然問題なし。
【のどじまんASEAN大会】
1次会はお開きにし、カラオケへ行き、シーバースを、がぶ飲みし、カラオケ大会に突入!
小生は”スタンド バイミー”と”メリー ジェーン”を熱唱し皆の拍手喝采を浴びました。
ウチの上司は沢田研二の”ダーリン”を歌いましたが、回りの反応は少しサブカッタです。
最後になぜか、”ワンウェイ チケット”と”セーリング”をみんなで大合唱して盛り上り午前2時過ぎのオヒラキとなりました。
ホントに楽しく盛大な酒盛りでしたが、これからはお客様でなく”マブダチ”としてお付合いできそうです。
尚、ブロークンイングリッシュが分かりやすいように各地の方言を織り交ぜて表現しました。
おしまい。