ある暇で平和な日、店で何気なくFMラジオを聴いていると、実に楽しくかつ興味深い話をしていた。
何かというと、ブタに酒を飲ませたらどうなるか、という実に馬鹿げているような実験を大真面目に、あるアメリカはコロンビア大学の学者(名前は忘れてしまった)がやったらしい。
要するにブタの酒飲み癖の調査である。
我ら飲ん兵衛には聴き逃せない話だ。
その学者はブタに酒を飲ます前に、七匹(頭か)のブタをひとつの小屋に入れ、何日間か放置した。
するとサル社会でもあるように、一番ブタ(ボス・ブタ)以下七番ブタまで位が決まるらしい。
その時点でブタに好きなだけ酒を飲ませる。
といってもそのままでは飲んでくれない。
ウォッカにオレンジジュースを混ぜる。
ようするに“あの女殺し”と言われる(今頃こんなもので潰れる女性は居ないが)スクリュー・ドライバーである。
何故かブタはウォッカのオレンジジュース割りが口に合うらしい。
贅沢なヤツだ。
当然予想されたように酒を独占し、まずたらふく飲んだのはボス・ブタであったらしい。
初めて酒を飲んだボスは当然ヘベレケになり、次の日ひどい宿酔いで下のブタどもに頭が上がらなくなり、ボスの座を棒にふった。
二番ブタもやはり強い立場、ボス・ブタと似たような目に合う。
三番ブタは少ししか飲まず、次の日シラフだったので、まんまとボスの座を手に入れた。
六番・七番ブタは後で記すとして、四番・五番ブタは酔うほども飲まず、これといった動きもなかったそうである。
さて3日目になると最初のボスだったブタは宿酔いから覚め、ほんのいっとき幅を効かしていた三番ブタを追い落とし、ボスの座にカンバック。
その後カレは二度とヘベレケになるほど飲まなかったらしい。
これに反し、何度も飲みすぎ、酔いつぶれ、宿酔い。
懲りたかと思えばまた飲みだし、同じ事を繰り返していたのが六番ブタであったらしい。(身近によく見るような気がする)
さて最後の七番ブタであるが、最初から酒にさほど興味ももたずチョビッとなめる程度。
当然いつもシラフだったという。
学者はこの結果について、やはりブタでも結局人の頭に立つような者はしっかりしていて酒に溺れないが、下積みで苦労(六番ブタのような)している者は、酒でも飲まなくては毎日がやりきれないのだろう、と考えた。
どん尻(七番ブタ)が飲まないのは、初めから「オレはダメな男だ」とあきらめ、彼なりに底辺の生活に甘んじているのだろう、という分析である。
何やら厳しく、そしてちょっとウラ寂しいような分析の仕方である。
ともあれブタというところに、実に面白い話であった。
ただ、腹からカラカラと笑えないのは、何故か六番ブタに自分が思えてくるからだろうか・・・。