今回はちょっとキツイお話・・・と言ってもお酒の事です。
キツイ(度数の高い)酒というと、まずはラム酒のロンリコ151(75.5度)に始まり、他に同じラム酒で数銘柄ある。
ラム酒に限らず、世界には結構キツイ酒はある。
まだ飲んだ事はないが、地中海周辺で造られているアラックなどは98度もあるらしい。
また古くはフランスのアブサン、ぺルノー68はそのまま68度、中国の苧台酒は65度ある物もあるが、他に中国在住のY氏が持ってきてくれた高粱酒の一種で70度というすごい物もある。
ウィスキーはどうかというと、最近は原酒のまま瓶詰めされた物がかなり多く、60度前後は珍しくなくなった(店にも何種かある)。
忘れてはいけないのが、ウォッカのスピリタス・96度などはご存知の方も多いのではないかと思う。
まだまだ日本に輸入されていない物、僕の知らないキツイ酒が沢山ある事だろう。
さていよいよ日本であるが、ウイスキー(洋酒)を除き、45度以上の酒は許されていない、と思っていた。
昨年の事になる。
ある飲ん兵衛(30代)のお客であるが愛でたく結婚、新婚旅行へ出発した。
どこへ行ったかというと、日本の果て西表島(イリオモテ)よりまだ南西にある与那国島(ヨナグニ)に行った。
台湾の北部より南に位置し、天気がいいと台湾本土が見えるらしい。
飛行機を乗り継ぎ、船を乗り継ぎ、やっと次の日の夕方、島へ着いたらしい。
とりあえずその日はホテルへ向かう。
ホテルといってもバンガローのような所だったらしい。
なんといっても今日は新婚初夜である。
酒も控え、食事もそこそこ済ませ、早々にベッドに入ったのはいいがなんと、突然男には無いアレが始まったというのである。
心優しい彼は「イイヨ、イイヨゆっくりお休み」とは言ってみたものの、何とも今ひとつ面白くない。
しかし飲ん兵衛の彼は、アレが出来ないとなると、あとヤル事はアレしかない。
フロントの横にバーらしき店があったのを思い出し、嫁さんを部屋に残し、いそいそとそのバーへ向かった。
カウンターに掛けボトル棚に目をやると見た事の無いボトルが並んでいる。
「あの酒は・・・?」と聞くと「どなん、といいます」と言いながら、与那国でしか造れない酒だとのこと。
また激しい海流のため与那国へ渡るのが難儀する、というところから“渡難”(どなん)と書くらしい。
泡盛の一種になるらしいが、日本の焼酎で45度以上の酒はここだけという。
みると大きく60度と書いてある。
さっそくストレートで飲んでみる。
さすがに60度はキツイ。
しかし、飲むほどに丸みが感じられ、泡盛独特の香りが優しく漂い、奥深い味である。
オカワリ、と5杯も飲ると酔いが回ってきた。
「帰ろう、今日から嫁さんが居る」
部屋に帰ると嫁さんは、夢うつつながらも「お帰り」と優しく言ってくれた。
「おやすみ・・」と呟きながらそ〜と横へ入り「まあいいか、明日もヤレる・・・どなんを」と言ったかどうかは分からない。
10日ほど経って、得意そうに“どなん”を一本抱えてやってきた。
ラベルに“どなん60”の他に“花酒・飲み良い酒”とも書いてある。
がさすがに60度はキツイ。
しかし彼の言うとおり、口に含んだ時は泡盛独特のクセときつさを感じるが、飲み込んだあとやさしい甘い香りが残るいい酒だった。
ところで、アノ儀式であるが、メデタクとどこおりなく、終了したそうである。