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(C)2003
Somekawa & vafirs

『国民の質と政治の質』

ヤミヨのカラス

【インターネット英語講座】

2年半前に禁煙外来に通い突拍子もない夢に襲われながら1日1箱以上吸ってた煙草を止めた。
その結果、たばこ代が浮くことになった。
禁煙によるデブ化を防ぐためと、浮いた金を有効活用しようと、ジムに通い帰国してから益々忘れていく英語をブラッシュアップするため、インターネットの英会話の受講を申し込んだ。

先生陣はフィリピン人で男女、年齢とも様々だ。
顔写真や声、学歴、経歴なども確認でき気に入った先生はお気に入りに登録することができる。
またテキストで初級、から中級、上級まで選べる他、フリートークや先生が提示する新聞ネタで会話するなど選択肢も様々だ。
1授業25分で、小生は金、土、日で1日2回の週末コースを選択。
最初は写真で若手で好みの写真の女性を選んでいたのだが、皆、まじめ過ぎて冗談も通じないので飽きてしまった。
そんな中、妙に気が合う30代の女性と60代のオッサンがお気に入りの先生となる。
それは、彼らが歯に衣を着せぬほどフランクであり冗談も通じるのが理由だ。
楽しくなければ継続しない。

30代の女性は、アマベルと言いイギリス人の旦那と子供が一人。
旦那はイギリスの海洋油田で2週間働き、その後の2週間はフィリピンに戻る生活で年収2千万を超える。
彼女はメイド2人を雇い、食事と子供の世話を行わせている。

60代の男性は、ジョージと言い日本車のディーラーを経営し何回も商談で来日し東京、大阪、京都と日本通。
日本を含め昔のアバンチュールな話を始めると止まらないドスケベなオッサンだ。
今はディーラー業を息子に引継ぎ悠々自適な生活をしている。

余談であるが、この英会話の1回の授業で先生が受け取る報酬は、なんと1ドルとのこと。
1時間働いて200円前後だ。
フィリピンの月収は平均3万円程度で、1回1ドルの授業でも、数をこなせばその平均月収をかなり上回るらしい。
しかもレッスン時間を自分で選べるので自由があり、子育て中の先生も重宝している。
しかし、我が先生2人は、元々リッチで金よりも人との会話が好きなところが、お気に入りとなった理由だ。

小生は通常フリートークを選び、最近起こった話などをネタに会話をしている。
ジョージは、小生の時だけだと言うが、神聖な授業だと言うのに四六時中、煙草をふかしている。
小生も気楽にウイスキ-を飲みながらアホな話をしているので、上達しているかは甚だ疑問であるが、とにかく会話は楽しい。

【英語のイロハはドーユーノー?】

ある日のドスケベなジョージのレッスンで、フィリピンの大統領 ドゥテルテの話になった。
ドゥテルテ大統領は、ご存知のように“フィリピンのトランプ”と揶揄されるように口は汚い。
一方で市長時代にフィリピンの地元ダバオの治安を飛躍的に改善した人物で英雄扱いでもある。 

カ:日本のニュースでやってたけど、中国訪問で習近平国家主席と面会した時にガム噛んでてマナー悪いって報道されてたよ。

ジ:知ってるよ。
でも報道したの日本だけでしょ!?
そのことを中国政府が批判した?
中国のメディアじゃ、どっこも放送されてないやん。
批判したのは日本のメディアだけや!どこが悪いんじゃ!
と全く、悪びれることもなく言い放つ。

カ:あ、そう。
んならフィリピンの麻薬の密売人、警察に踏み込まれて殺されているけど、あれはどうなん?

ジ:何言うとんじゃ!カラス!
日本じゃ自殺で毎年3万人以上死んどるやないか!
そっちのほうが沢山殺しとるやん。
日本の政治は何だ!アベを呼べ!アベを!
と逆にパンチを出してきます。

そしてジョージは逆に質問しだす。

ジ:カラス!お前んとこの家族が麻薬で嵌められてジャンキーになったらどうする?

カ:そりゃ警察に相談でしょ

と言うとジョージは“ちょっと待って”と言って席を立ち、小さい鞄を持って戻り、そしておもむろに鞄に手を突っ込み取り出したもの。。。
銀色に鈍く光る拳銃でした。

ジ:これは45口径オートマグナムじゃ!
俺ならそのマフィアをこの拳銃でぶっ殺してやる!

カ:・・・・・・

ジ:当然やろ!家族を守るのは家族だけや!
警察なんぞ頼りになるかい!
見ろ!このカートリッジを見ろ!弾が9発入ってる。
装填してるのと合わせてマックス18人殺せるんだぜ!カラスよ!ヒーッヒッヒ!

カ:45口径ってデカくね?そんなもん撃てないでしょ?

ジ:なんの!たまに射撃場で練習しとるし全然OK!

大統領が大統領なら、国民も国民。。。。
カメラを通してとは言え、実弾入りの銃口をこちらに向けてのフリートーク。。。。
ああ!これがフィリピン人の資質か!と感じたわけで。

授業中、ジョージは煙草を吸う度ゲホゲホと咳がすごく、痰ツボに痰を吐きながら煙草を吸っているので、“煙草やめたら楽になるよ。俺の親父も肺癌で大変やったんや”と言うのだけれど、 ジョージ曰く“俺の人生は好きなようにやるさ!もし肺癌にでもなりゃ、いつでも拳銃を口にくわえて一発で、あの世生きだぜ!ヤッホー!”と、日ごろ言っていたのも満更、嘘ではなさそうです。

その翌週の講義は、もう一人の先生、アマベルに、その話をしたら、アマベルもその話を聞きながら、無表情の顔で机の引き出しを開け、 “私は38口径だけど、いつも持ってるわ。だって、自分の身は自分で守るの当然でしょ“って言われちゃいました。
国民の質が政治の質を実感しましたなぁ。

因みに微笑みの国タイも銃社会です。
タイ工場の人事部長のアタッシュケースには38口径と45口径の拳銃が二丁入っています。
採用試験で落とした子供の親の逆恨みが酷く護身用に必要だとか。
定期的な家の引っ越し当たり前。
彼らはいつも微笑んでいますが、その微笑が消えたときはフィリピン人より凶暴だと言うことは、あまり知られていないようです。

ああ、日本に生まれて良かった!
でも日本の国民の質って。。。なんなんやろーね?

ロブロイの皆さーん
Have a nice Golden Week!

 
<ロブロイストの日々>  毎・月始め更新いたします。