その40.夏山の恐怖
私は、大学時代。山岳部に所属しており、卒業してからも
たびたび、仕事のストレスから登山をしておりました。
そう、あの日までは。。。。。。。。。。
私は、相当疲れていました。長引く不況のあおりを受け、
会社でも、上司とトラブルが耐えませんでした。そんな、私が
ふと、山を目指したのは不思議な事ではありませんでした。
今回の登山は、突然、私が決めたことであり、友人も誰も
誘いませんでした。だから、気軽に登れる簡単な山を目標に
しました。
電車で、ふもとまで来て、ゆっくりと登り始めました。
山小屋につくまでは、爽快の一言でした。澄んだ空気が私の
仕事のモヤモヤを吹き飛ばすようです。
上から、6人のパーティが下りてきました。
「こんにちは。こんにちは。こんにちは。こんにちは。こんにちは。
こんにちは。」
元気な若者達です。学生でしょうか。最後の人は、引率の教師?
それとも先輩かな?私も、「こんにちは!」と笑顔で返しました。
山小屋に着きました。山小屋の主人に先ほどのパーティについて
何気なく聞きました。「おお、高校生のパーティだよ。爽やかな若者
達だ」「ふーん。都会でみる茶髪とは、違うな」と私。
うん?なんとなく、変な感じがしました。何か腑に落ちないのです。
「引率の先生なんだけど・・・・」私は、おやじに尋ねてみました。
「は?」
「だから、あの6人のパーティの・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「あの、パーティは高校生だけのパーティですよ。」
「それにね、5人のパーティですよ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
その夜、私は、ひどい金縛りと私の足を引っ張る太い手に悩まさ
れました。私は、分かっていたのです。
何故なら、5人プラス1人のパーティの最後の1人が、実は、
腰から、下が無かったことを。すれ違った後、振り返ったのです。
その時、一番後ろの彼の腰から下が透けており、前の青年の腰が
見えていました。
彼は、何処に向かおうとしていたのでしょうか。