相変わらずスコッチも好きだが、バーボンも好きだ。
今回スコッチはひとまず置いとくとして、バーボンに合う音楽はというと、デキシー・ジャズ、カントリー、ウエスタン等になるのだろうか。
いやもうひとつ、ブルースがある。
そのブルースだが、決められたコードパターン。
限られた、たった12小節の中で、どうしてあんな音(フレーズ・表現)が出てくるのか、聞けば聞くほど不思議でしょうがない。
やっぱりアメリカの歴史的背景からなる、黒人ならではの音楽なのだろうか。
とすると、日本人には到底出来ない音楽なのかもしれない。
特に僕ら素人には。
その昔、そのど素人といおうか、バーボン仲間といおうか、何人かでブルースバンドをつくった。
その名もブルース・ロブ・バンド。
そのメンバーはと言うと、サブという自称マネージャー一人と、他5名、一応全員それなりの年齢のため、そこそこ楽器はできる。
ところで僕がリーダーのつもりだが、ただの一度もリーダーと呼ばれた事がない。
メンバーとこれからの方向らしきものを話しているうちに、何となく分ってきた。
どうもこのバンドは僕以外にリーダーが5人は居るらしい事である。
なんだかんだでライブを何回か演っているにもかかわらず、全員揃った事がない。
ベースの山ちゃんなどは、結成とほぼ同時に仕事で韓国のソウルへ行ってしまった。
しばらく駐在だそうである。
それからしばらくしてドラムのカッチャンは自分の故郷である北海道へ帰ってくるといったっきり帰ってこない。
しょうがないのでその都度代わりを探す事になる。
ある時、店で「内のバンドはアドリブのきくバンドで・・・」などとお客さんに話していると横から自称マネージャーのサブちゃんが「ところでそのバンドのメンバーって、だれとだれ・・・?」。
要するにマネージャーですら、知らないのである。
そんなこんなで未だ定まったレパートリーらしきものは一曲もない。
ほとんど当日、もしくはステージに上がってから決まる始末である。
前記したように、決められた小節、コードパターンだからこそ、何とか許される事ではある。
もちろんこれで良い訳ではない。
このいい加減なバンドで一番大変なのはヴォーカルのワッチャンであるが、これが結構すごい。
その場で適当に歌ってしまうのである。
それに上手く合わしてゆくギターのベーやん、その二人に何とか付いていってるのが、僕のギターとブルース・ハープである。
が、僕のテクニックはというと、人の演奏に口を出しすぎているせいか、自分の批判までするヒマがない。
そしてマネージャーのサブちゃん。
自分の仕事をよく分っていないマネージャーであるが、ギャラリーとしてのノリはサイコウ。
ロブ・バンドの“ファンクラブ会長”もつとめているが、いまだ会員はひとりもいない。
それから数十年、多少は人も状況も変わった面はあるが、新しい仲間達も含め、相変わらずブルースは続いている。
これからも。
バーボンを飲りながら、ブルースを演る。いいもんだ。