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(C)2003
Somekawa & vafirs

金沢 BAR <主のひとり言>

ストリートライブ

今回は趣味についてちょっと書いてみよう。

昔むかしは中学のころ、鹿児島県姶良郡は山奥のこと、本物のギターなど教科書で見るぐらいで触った事などない。そこで作ってみる事にした。
といっても我が家にあった板切れをギターの形に切り、ネックにあたる部分に弦の代わりに針金を一本だけ張る。
なんにも抑えない状態を「ド」とし、ドレミファと印を付けクギを打ち、グニュッと曲げフレット代わりにした。
共鳴板がないので、小さい音がビンビンとなるだけである。
今思えばおそろしく幼稚で乱暴な物を作ったものであるが、当然なように弾いても面白くない。
しばらくしてすぐに飽きた。そして風呂の焚き木となった。

何年か前その話をお客に話したところ、富山は井波の人だったがほぼ同じようなものを自分も作った、というのである。
ただ違うのは弦はちゃんと6本張ったそうである。が、同じ針金を張ったものだから6本同じ音、もしくはバラバラ、という事になる。
その彼曰く、結局一本しか弾かなかったという事であった。
当然のようにしばらくすると飽きた、そうである。
世間には同じような「バカな事」を考える奴がいるものだ。

その頃は、ハーモニカは学校で習ったものである。
今は鍵盤ハーモニカ(ピアニカ)に変わったようであるが。
結構気に入り、常に持ち歩き吹いていた。
やがて先生より上手くなり、結局「次の課題曲」を渡され、僕が前に出て吹くようになった。
得意になって吹いていたが、なにやら体よく使われたような気もしないでもない。

やがて大阪へ出て、調理師学校を卒業すると社会人となり、早速本物のギターを買った事はいうまでもない。
夢中で弾いていたが、ただそればかりでもなく、ボーリングが流行ると早速マイボールにマイシューズ。
ビリヤードが流行るとマイキュー(球を打つ棒)。これは今でも押し入れに入っている。
その押し入れだが、油絵の道具一式(絵具イーゼルなど)。
また登山道具も一式今だに入っている。
バイクも4台乗り継いだ。
フィルムのカメラも何台かある。
また本(小説)なども一日一冊読破、と課した事もあったが流石に一ヶ月で堕落、睡眠不足となり、また無理やり読んでも内容など一切覚えていない。
本は読みたいものをゆっくり読むに限る。

その時々、それなりに趣味としたものだが、結局今だ続いているのはやっぱり昔から好きだった音楽のようである。
ギターはもちろんだが、先のハーモニカは今でも吹いている。
ただ昔と違いアメリカは黒人ブルース、(なぜかハーモニカと言わず、ハープと呼ぶ)を演っている。
バンドもそれなりにやってきたが、今は誰彼となしにセッションとして楽しんでいる。
先日ある小さい店で3人で演っていると、聞いていた観客の一人が我が商店街の通りで演ってほしい、という事になり、初のストリートライブである。
ある日の午後の3時よりその通りの何箇所かで演った。
もともとブルースなどあまり昼間は似合わないが、しかしちゃんとバーボンを用意してあった。
炎天下の中、バーボンを飲りながらのストリートライブ、これもまた酔い良い(よいよい)であった。
しばらくしてある日曜日また演ってくれ、という事になった。
今度はメンバーをちょっと変え、5人でやる事になった。が、なんと昼は一時からとなった。
その商店街の一角でセッテイングを済ませたが、まだ夕べの酒が残っている。
今回もバーボン2本とワイン3本、そしてグラスと氷を用意してある。
それを見ながら、「さすがにまだちょっと飲む気しないなあ〜」とつぶやきつつ、グラスに氷を入れるとバーボンをトクトクトクッとたっぷり入れる。

それをグビッとひとくち飲ると、アンプのスイッチを入れた。

<主のひとり言>  毎・月半ば更新いたします。