尿道を経由して、長さ30センチ強直径約8ミリの器具(内視鏡:右図)を挿入し行う手術を指します。(尿道から内視鏡を入れるため)皮膚にメスを入れない低侵襲手術で、通常下半身麻酔(腰椎麻酔)で行います。
手術は腹腔鏡手術同様、テレビモニターを見ながら行います。(左図)
手術室のスタッフ全員が同一画面を見ながら手術を行うので、安全確実に手術が行われているのが一目瞭然です。当科で行われる年間約300例の手術のうち、約半数がこの経尿道的内視鏡手術です。経尿道的内視鏡手術には、経尿道的膀胱腫瘍切除術、経尿道的前立腺切除術、経尿道的上部尿路結石砕石術、経尿道的上部尿路腫瘍蒸散術などが含まれます。
内視鏡
経尿道的膀胱腫瘍切除術
早期膀胱癌が対象です。内視鏡を膀胱に挿入し電気メスやレーザーで腫瘍を切除します。年間約60−80例の手術が行われます。入院期間は4ー5日であり退院後早期に元の生活に戻ることができます。
経尿道的前立腺切除術
お薬が効かない前立腺肥大症が対象です。尿を排出できない(尿閉)場合や、排出後も膀胱内に多量に尿が残る(残尿)場合に手術を考慮します。近年良いお薬が開発されたおかげで、この手術を受ける方は激減しています。年間約10例の手術が行われます。本手術では入院期間は1週間としています。
経尿道的上部尿路結石破石術
体外衝撃波で壊れないまたは衝撃波を照射できない部位に結石がある場合に行います。長さ50センチ弱先端の直径3ミリ弱の非常に細長い内視鏡(硬性尿管鏡)を使用します。結石が腎臓内にあるときも対応可能ですが、その場合は柔らかく胃カメラを細くしたような内視鏡(軟性尿管鏡)を使用します。尿管鏡の先端からレーザーを照射し結石を壊します。年間約50−60例の手術が行われます。
経尿道的上部尿路腫瘍蒸散術
尿管や腎盂に腫瘍がある場合は通常、腹腔鏡下腎尿管摘除術を行います。しかし、腎臓が1個しかない方や腎尿管摘除術に耐えうる体力がない場合に、本手術を行います。経尿道的上部尿路結石砕石術と同じ器具を用います。限られた方のみに対する手術ですので、年間数例のみ行われます。