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  営業時間 午後2時・・・・午後8時まで(定休日は月曜日)

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伊勢・松阪市で開催された勉強会に行ってきました

第24回全国民主書店研修交流会アピール全文(2002年9月10〜11日)

草の根からの国民の民主的要求運動に依拠し、書籍普及活動の前進に力を尽くそう

 昨年の研修交流会の初日、ちょうど1年前のきょう九月十一日に、アメリカでの同時多発テロが起き、全世界に衝撃を与えました。アメリカはテロリストへの報復としてアフガニスタンへの空爆をおこない、罪のない多くの人々がその犠牲となっています。ブッシュ政権は、こうした軍事的制裁をさらにエスカレートさせ、国連憲章や国際法を無視して、「悪の枢軸国」と決めつけたイラクに対して先制的に攻撃することを公言し、核兵器の一方的な使用さえ辞さないとする緊迫した事態がいま進行しつつあります。しかし「テロへの報復」には同調したヨーロッパや中東諸国からも、アメリカのこうした覇権主義に対しては厳しい批判の声が集中し、アメリカの勝手放題な振るまいを許さない国際的な世論のひろがりも大きくなりつつあります。
 昨年の今ごろは異常とも思える「小泉旋風」が吹き荒れていました。しかし、一年経ったいまはどうでしょう。大企業のリストラはすすみ、企業倒産、失業者の増大、所得や消費は減少し、長引く不況の出口は見えず、介護保険や医療費の負担増など、これまでもこれからも国民に痛みを強いることばかりです。その一方で、税金を食い物にした鈴木宗男衆議院議員や内閣官房・外務省の機密費の不正流用など、この間の「政治とカネ」の問題は、政・官・業の利権・腐敗構造を浮き彫りにしています。また、最近の日本ハムや東京電力など、国民の暮らしを脅かす大企業の不祥事にしても、行政の怠慢が指摘されています。
 小泉政権が熱心なのは悪法の成立をはかることです。前国会では継続審議となりましたが、アメリカの戦争に協力し、自衛隊の海外での武力行使と国民の強制動員に道を開く、有事三法案を秋の国会では成立させようとしています。憲法違反のこのような危険な法律を私たちは絶対に許すわけには行きません。法案の中身をもっと多くの人に知らせるためにも、関連する書籍の普及に力を注ぎましょう。
 「自民党を変える」と言って一時は国民の高支持率を獲得した小泉首相ですが、その正体は、行き詰まった旧来の自民党政治を、さらに強引に推し進めるものでしかないことがはっきりしてきました。つい先日、長野県議会で不信任された田中康夫知事が、県民の圧倒的多数の支持で再選されたことに象徴されるように、地方のあちこちで、住民が今までのしがらみにとらわれず、利権あさりの候補者に見切りをつけた選挙結果が出ていることに私たちは注目したいと思います。この新しい流れは遠からず国政にもおよぶに違いありません。
 この一年間、私たち民主書店をとりまく状況は厳しさを増しています。人文・社会科学書専門の取次店=鈴木書店の倒産は、業界に影響を及ぼしただけでなく、社会的にも大きな関心を呼びました。昨年の秋から今年にかけて、長年ともに歩んできた仲間の書店も残念ながら相次いで廃業、倒産を余儀なくされています。深刻な不況が影響していることは当然です。しかし、私たちが売るべき本は、私たちの知恵と力を尽くさないと売れないことも事実です。待っていればお客が買いに来てくれる時代もありましたが、民主書店活動の原点は、いつも国民の民主的な要求を実現する運動とともにありました。。打って出て広範な人々と結びつきを広め、一人でも多くの読者、購入者を獲得することが私たちの共通した使命であることは今日も変わりません。
 私たちは、民主的良書の普及を通じて国政革新の一翼を担っていることに誇りと確信をもっています。悪政に立ち向かい雇用と営業を守り、福祉を充実させ、平和で安心して暮らせる社会をめざすためには知を力としなければなりません。厳しい状況を自ら切り開く気概をもってこれからも粘り強く前進する決意を表明するとともに、今回の研修交流会に参加されなかった全国の仲間にいっそうの心からの連帯を呼びかけるものです。

        二〇〇二年九月十一日
                        第二十四回全国民主書店連絡会研修交流会


あの「ニューヨーク無差別テロ」のあった日に京都府亀岡市で民主書店研修交流集会が

第23回全国民主書店研修交流会アピール全文(2001年9月11〜12日)

「構造改革』の名によるさらなる国民いじめの悪政を許さず、
暮らし・雇用・福祉・営業を守る世論と運動を発展させるために、書籍普及に力をつくそう

 二十一世紀最初の全国民主書店研修交流会は、ここ京都府亀岡市で、昨年を上回る参加者で開催することができました。民主的な書籍を普及する活動は、戦前から風呂敷包みや自転車の荷台に積んで始められ、その伝統は戦後もさまざまな困難を乗り越えつつ、粘り強く今日まで引き継がれてきました。平和と社会進歩の運動に携わる多くの人々と結びつき、それらの運動の発展に少なからず貢献してきたことを、私たちは誇りに思っています。
 七月におこなわれた参議院選挙では、それまでの「自民党政治を何とか変えたい」という国民の願いに沿うかのようなポーズをとった小泉首相が、マスコミも利用しつつ、空前ともいえる「小泉旋風」を巻き起こし、自民党が息を吹き返す結果となりました。小泉首相のタカ派的本質を見抜き、自民党政治と正面から対決して、真に国民のための「日本改革」を訴えた日本共産党は、残念ながら五議席の確保にとどまりました。
 しかし、いま、選挙後二ヶ月足らずのうちにも、選挙中に小泉首相が「国民に痛みを」と公言してはばからなかったことが、現実に急速に進行しつつあります。「構造改革」という名の大企業擁護策が推進されるなかで、ここ一〜二年のうちに大企業三〇社で十六万人にもたっするという大規模なリストラ計画が相次いで発表されています。失業率は5%台に、高卒求人倍率は0.61パーセントと、いずれも過去最悪の数字となりました。私たちも含めた中小・零細企業の経営はいっそう悪化の一途をたどっています。小泉内閣は、こうした事態を「構造改革の前進」として肯定し、「痛みは当然」と言わんばかりの驚くべき態度をとっています。さらには医療や社会保障制度の改悪計画も次々に進めつつあります。
 また、軍国主義のシンボルである靖国神社への小泉首相の参拝強行や、歴史との事実を歪め、日本がおこなった侵略戦争と植民地支配を肯定・賛美する『新しい歴史教科書』問題では、アジア諸国との友好を無視し、過去に無反省な日本の支配層にたいして、国の内外から多くの警戒と講義の声があがっています。
 私たちは、国民にさらなる激痛を強いるとともに、戦後培ってきた民主主義を踏みにじり、憲法を形骸化する小泉内閣の悪政を許すわけには行きません。国民が人間らしく安心して暮らせる日本にすることこそ政治の本来の役割です。参議院選挙で後退したとはいえ、日本共産党が選挙中にも主張した国民のふところを暖め、将来不安をなくすための政策が、いまその輝きを増しています。九月中には臨時国会も開かれます。国民各層の暮らし、雇用、福祉、営業などを守る世論と運動を急速に発展させるために、私たちも民主的な書籍の普及活動を通じて、大いに持てる力を尽くします。
 前回の研修交流会では、再販制度の撤廃が危惧されており、「アピール」にもその維持、存続を要求する私達の意思が込められましたが、読者、著者の声に支えられた書店、出版社、取次店など業界の運動が実って今年の春に存続が決まりました。また、先の『新しい歴史教科書』については、市販本が七十万部以上も売れるなかで、これを採択することに反対する世論も急速に広がり、公立中学校のすべてで不採択となりました。出版に関わるこの二つの出来事は、大きな成果であったと思いますが、国民の健全な文化的要求や民主的な教育を守るうえで、これに反する動きには引き続き注意を払う必要があります。
 私たちは、書協・雑協が定めた「出版倫理綱領」と、日書連が定めた「出版販売倫理綱領」の崇高な精神を尊重するとともに、良書の出版・普及を促進するために、すべての出版・書店人にこの二つの倫理綱領を遵守することを呼びかけます。
 私たちは、「一冊の本が人生を変え、社会を変える力になる」ということに確信をもっています。二十一世紀の日本を、真に「国民が主人公」といえる、明るく豊かな社会にすることを願う広範な人々と手をとりあい、これからの様々な困難にも立ち向かって、前進する決意をここに表明するものです。
        二〇〇一年九月十二日
                                     第二十三回全国民主書店連絡会研修交流会

2000年9月  
全国民主書店研修交流会に出席してきました
 9月15、16日の両日、全国民主書店連絡会による第22回全国民主書店研修交流会が静岡県伊東市で開かれ、白山書店を含む23書店13出版社の出席で行われました。
 出席書店・出版社の報告討論の後「民主書店活動の初心を忘れず、いのちと暮らし・営業を守るたたかいと幅広く連帯し、国民の文化的要求を保障する再版制度維持を掲げ、新たな世紀に向け粘り強く前進しよう」アピールを採択しました。
 「この不況のもとで、民主的書籍・良書普及の仕事も容易ではないが、この集会に来ると元気が出る、来年も参加したい」との声に同感しながらの研修交流会でした

アピール全文

民主書店活動の初心を忘れず、いのちと暮らし・営業を守るたたかいと幅広く連帯し、
国民の文化的要求を保障する再版制度維持を掲げ、新たな世紀に向け粘り強く前進しよう

 私たち全国の民主書店は、一九七九年七月、伊豆長岡での第一回研修交流会以来、毎年会合を重ね、今年、第二十二回目の全国民主書店研修交流会を開催することができました。この間、きびしい社会的・経済的条件のなかでも、平和な日本の実現と民主的な社会への発展を願い、民主的書籍や良書の普及活動を通じて様々な運動に革新・民主勢力の一員として参加してきました。
 今年の衆議院選挙で、自民・公明・保守の政権与党は、合計で六十五議席も減らし、自民党は比例代表で二八%と戦後最低の得票率となりました。これは、ゼネコン中心の五十兆円もの公共事業費は減らさず、大企業やアメリカ政府の利益を優先して、首切り・労働強化を推し進める規制緩和政策や、七十兆円もの税金を投入する大銀行支援、生活できる額も返ってこない年金改悪、公的サービスを切り捨てお年寄りの暮らしと健康を破壊する介護保険の強行、消費税率引き上げを中心とする庶民増税の動きなど、負担増を押し付け、いのちと暮らしを無視した悪政に対する国民のきびしい批判と拒否のあらわれでした。
 国民の批判の高まりを恐れた自民党は、公明党=創価学会を使っての空前の無法な反共謀略宣伝を展開し、日本共産党は比例区で六七二万票を得票しましたが二十議席にとどまりました。小選挙区では残念ながら議席確保に至りませんでしたが過去最高の七三五万票を得票しました。全体として六議席の後退を余儀なくさせられたとはいえ、破綻した財政の転換と国民の暮らしを守る政策である「日本改革」の提案が幅広い国民の共感と支持を得たことに違いはありません。来年の参議院選挙での前進を願うものです。
 私たちは、「戦争法」発動、憲法改悪のたくらみを阻止し、暮らしと営業を破壊する大型店出店の規制強化や、地域経済の再生・発展など、国民本位の政治の実現を目指す多くの人々と協力共同して戦います。また、教育現場での困難な困難な状況を口実とした教育基本法改悪や右派勢力による教科書攻撃に反対します。
 いま業界は重大な局面にたっています。公正取引委員会は著作物再販制度の存廃について二〇〇一年春に結論を出すことになっていますが、この十月に中間報告を発表するとのことです。私たちは、再版制度は出版・報道・表現の自由と多様性を守り、国民の文化的要求を保障する制度であると考えます。現に欧米で自由価格制を実施した国では、寡占による出版社・書店の減少、値上がりしたままの価格、文学・古典・学術専門書の出版減少等の事態が進行しているということです。出版・取次ぎ・書店業界の意見は再版制度維持であり、他の多くの団体も廃止に反対の意志表明をしています。私たちは著作物再販制度の維持を強く要求します。
 あと数ヶ月で二十一世紀を迎えます。私たちの先輩は、戦前、社会変革のための書籍を風呂敷に包んで普及に歩くところから始めました。戦後は、自転車の荷台に本や雑誌を積み、工場・農村・学園を訪ね、人々と語り合い広めました。私たちはこの伝統を受け継ぎ、一冊の本が人生を変え、社会を変える力になることに確信を持ちさらに力を尽くし、二十一世紀の日本を、真に「国民が主人公」といえる社会にするために、広範な人々と手をとりあって努力することを誓うものです。

                      二〇〇〇年九月十六日
                             
第二十ニ回全国民主書店連絡会研修交流会

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    20周年記念パンフ[白山書店の20年]
                                                 (集会での書籍展示)

          「金沢の地での民主書店のあゆみ」
より
                             

 良書普及の20年 橘 国夫

誕生のころ
 「北前船をはじめ、日本海を航行する船人にとって、『白山』は現在地と行き先の方向を指し示す役割を果たしてきた。新しく生まれる民主書店の名前は、その役割にふさわしく『白山書店』にしたらどうか」
 金沢市議会議員(当時)だった浅井茂人さんが名づけ親となり、「白山書店」は1977年に中村町の事務所の一角で誕生し、机一つと本棚三本で民主書店としての歩みを始めました。
 1978年9月には、4坪の貸し店舗で個人経営の民主書店として独立し、その後移転した8坪の店も含めての5年間を、忍者寺や西の廓など観光名所に近い大道りに「白山書店」の看板を掲げていました。
 青色の地にしろく「白山書店」の書体をシャープに切り抜いた印象深い看板は、当時大学生だった読者が開店に間に合わせて作成してくれたものでした。
 書店として第1号の客となった近所の小学生から、実費に近い低予算で店の改装から本棚の作成据え付けまでを引き受けてくれて大工さん、建具屋さん。
「白山書店開店」のチラシ作成を引き受けてくださった読者から、開店にあたっての推薦人となってくださった方々まで、民主書店に期待する多くの方々の支えで石川県における良書普及の砦となる「白山書店」が誕生し、地域に定着していきました。

1984年9月弥生町への移転について

 60年代後半から70年代にかけての、日本共産党をはじめとした革新勢力の前進に恐怖を感じた自民党・財界が仕掛けてきた戦後第二の反動期に、反共・反革新イデオロギーと退廃文化の氾濫がマスコミ・出版界を席巻していきました。
 強まる反動攻勢のなかで「情勢や民主的な運動が必要とする本・ゆたかな心を育てる本の普及」は全国的にも緊急な課題となっていました。
 白山書店も、『宮本百合子全集』をはじめ良書普及の運動を展開していきましたが、家賃の高騰をはじめとする経費増と売上減の傾向が急に強まり、人件費の支払いも困難になるなか、「白山書店」は石川県における民主書店としての活動を守るために、開店以来の6年間をすごした街をはなれて、少し郊外の弥生町に移りました。
 1984年のこの移転で、家賃経費は大幅に減りましたが、来店者は激減し、それまで以上に外回りに重点を置くことになりました。
 このときから午前中はまるまる外回りに時間をとり、店は午後ニ時から八時までの営業となりました。
 午前中の訪問先では  客     「今日はお休みですか?」
                白山書店 「いえ、今はここで営業中です」
                客     「・・・・・・?」
 などの珍問答が繰り広げられています。

民主書店・民主書籍について

 戦後民主書店運動の歴史は、戸板の上から始まりました。レッドパージで職場を追われた日本共産党員が,戸板にパンフレットや本をならべて売ったことから始まっています。
 これらの先輩たちは、自らの生活を守るとともに、良書の普及を通じて社会進歩に貢献する民主書店運動の道を切り開いて来ました。
 民主書店・民主書籍という言葉に明確な規定はありませんが・・・・。
 1979年、第一回民主書店研修交流会のアピールでは、民主書店が意識的に普及すべき本として、
 「社会の進歩と発展の展望を示し、その闘いに勇気と確信を与える科学的社会主義の書籍をはじめとする社会科学の良書・生きがいのある人生のみちびきの書」
 「国民的課題である民主的教育書や健康な子どもを育てる児童書、生活の知恵の泉となる実用書」
などをあげ、
 「真理に迫り、社会の進歩と変革、人間の解放と国民の幸せの側に立つ民主的書籍・良書の普及活動は、変革者の気概と開拓精神によって貫かれなければならない」
と民主書店の果たすべき役割を示しています。
 白山書店は、民主書店活動の歴史と全国の経験に学びながら、地域に根ざす活動を目指してきました。

仲間とともに

 白山書店誕生から20年の間に、年間平均三万冊、20年間で六十万冊の本を、たくさんの方々の協力のなかで普及することができました。
 戦後第二の反動期といわれる1970年代後半から90年代、民主陣営にとって逆風の中の20年間に、社会科学書を中心としてこれだけの良書を普及できたことは、その逆風を跳ね返すための活動にいくぶんかの役割を果たすことができたと自負しています。
 1987年にひらかれた十周年の集いには、たくさんの方々が言葉を寄せてくれました。
 
 K 「白山書店とともに私も教師として歩んできたような気がします。いつも悩みを聞いてくれたり話を聞いてくれてありがとう。白山書店は私の心の差さえです』
 S 「『白山』の命名のとおり、今後も困難に負けずがんばってください。名づけ親である浅井さんの言葉はいまでもはっきりおぼえています」
 Y 「わたしにとって、白山書店は民主書籍とのふれあいの場にとどまらず、すばらしい仲間との出会いの場ともなっています」
 
 白山書店は、思いを同じくするたくさんの個人や団体に支えられて誕生し、経営上は個人経営ですが、民主書店としての書籍普及活動はたくさんの仲間に支えられての活動となっています。

民主書店の仲間のこと

 1977年には各地でそれぞれに活動していた全国の民主書店が集まり、「第一回全国民主書店交流研修会」が開かれ、86年第八回の金沢を含めて、97年の第十九回まで毎年開かれています。
 毎年の集会では、書店経営の初歩から、民主書店だからこその共通の悩みや喜びまで話し合われ・・・・
また激動する情勢の中での普及すべき書籍やその意義など多くのことを学び、活動への意欲をかきたてられてきました。
 とくに、白山書店と同じころ、鶴岡・奈良・中津川など各地に誕生した民主書店の活動には励まされつづけてきました。
 もちろん民主書店の歴史を切り開いてきた先輩書店の活動にふれるのも大きな喜びでした。

家族のこと

 白山書店は夫婦二人での小さな個人経営の書店ですが、誕生当事は保育園時と小学生、合計三人の子どもを抱えての出発でした。

 「振り返ってみますと、いろいろな思いが通りすぎます。
 寒い冬に夜遅く店から帰ると、一人はこたつの中、一人はテレビの前、一人は階段の踊り場でころげおちそうになりながら、小さな子どもたちが上着のままで眠り込んでいるのを見たときは、さすがに胸にこたえました。
 私たちは、自分で選んでこの仕事に足を踏み入れましたが、この仕事を続けてこられたのは、家事を含めて小さなときから私たちを支えてくれた子どもたちのお蔭だと思っています。
 良いところも悪いところも並みの子どもたちですが、この点だけは本当に良い子どもたちだったと思っています。みなさんからもどうか白山書店を支えたことをほめてやってください」

 これは十周年のときの挨拶の一節ですが、集会販売のときなども時間が許す限り、嫌がらずに手伝ってくれました。
 また、年老いた両親は孫たちの面倒を見るだけでなく、白山書店が閉店を考えるほどの苦境に陥った1984年に、道路沿いの土地を店舗用地として無条件で貸してくれるなど、最大の危機を切り抜けるための大きな力添えをしてくれました。

白山書店が大切にしてきたこと

 1986年の新聞『赤旗』に、当時の日本共産党出版局長である山下文男さんのつぎのような文章が掲載されました。

 「(略)民主的な出版社や民主書店はもともとこうした支配階級のイデオロギー支配と攻勢に対抗し、革命的民主的イデオロギーを普及して広くこくみんのものにするために創造された多数者革命の陣地の重要な一翼である。 (略)経営は絶えず不安定で苦しい。 (略)にもかかわらず、、彼らがその活動に献身して民主的出版社や民主書店の旗を守り続けているのは、国の民主的改革を目指すイデオロギー活動の担い手であるとの誇りであり、そこに生きがいを求めているからである。
 (略)だが今日、縁の下の力持ちとも言うべきこれらの活動家達に対して、それにふさわしい照明が当てられているだろうか。
 どんなに立派な思想、理論でも、作らなければ本にならないし、売って普及しなければイデオロギーとしての力にならないのだが、これが正当に評価されているだろうか。必ずしもそうとは言えないように思う。このイデオロギー陣地の強化のために、民主陣営全体の格別の援助を望みたいものである。『知は力』なのであるから。(略)」

 保守・反革新の勢力が圧倒的に強いこの石川県で、ほんとうに小さな白山書店が民主書店として活動を続けるなかで大切にしてきたことは、
 * 民主的な書籍・良書の普及を柱にして、一冊一冊をていねいに普及する。
 * 志を同じくする出版社や著者との結びつきを大切にする。
 * なによりも白山書店を利用し、育ててくれる個人や団体と手を握り合う。
 * 経営はつつましく堅実にする。

 これからも民主書店の原点というべき点を踏まえ、読者・支持者との協力を大切にしていくことで、これからも続くであろう困難は乗り越えられると思っています。
 白山書店十周年記念の催しに出席してくださった池上芳彦日本共産党出版局長は、挨拶の中でマルクスやエンゲルスの著作が困難の中で労働者・知識人に普及され、革命が準備されていった様子を語りながら、現代日本における民主書籍の普及と民主書店活動の大切さ、そして石川県で白山書店が存在することの大切さ、その役割を語ってくださいました。
 白山書店は、この二十年のあゆみを支えてくれた「民主主義と社会進歩を目指して行動する個人や団体、子どもたちによい本を!と願う親や教師」の方たちとともに、石川県における民主書店活動の二十一年目に足を踏み入れていこうと思っています。

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 巻頭にあたって                
               東 孝二

 おめでとうございます。もう二〇年たったのですね。一番最初からのおつきあいではなかったが、うんと早い頃からのおつきあいだったと思います。
 私が民間教育運動に参加したのは、一九五一年です。まだ石川にはほとんどその動きがありませんでした。その頃、店頭にならべることができない雑誌“教師の友”が手渡しで、北斗書房からまわってきていました。
 そのうち、県内にも民間教育サークルが生まれ、集会のたびごとにお世話になったのは、北斗書房さんで
した。
 その北斗書房さんが、沢山の本を運んで並べるのが、体力的にしんどくなった頃に、白山書店さんが登場されたわけです。
 私にとっては、民間教育運動と結びついた民主書店なのです。教育畑以外の方には、私共の運動が“民主”ではなくて“民間”なのがわかりにくいようです。これは、戦前、教育がお上の言いなりになって戦争協力し、子どもたちを戦場に送ってしまったのを反省して、お上の言いなりにはならない“官製”ではないと“民間”を使ったのです。
 当然、民間教育諸団体は、事実をもとにする、子どもたちを大切にするために、研究と学習を重ねてきました。民主的出版社、民主書店との切っても切れない必然は、初めからあったのです。
 しかし、残念ながら、私共の民間教育運動が停滞すると、せっかく白山書店さんが本をならべても、それに見合う収入がないことも起きます。だが、橘さんは、この二〇年間、どんなときでも誠実に対応されてきました。
 本の選択も的確でした。正に、農業における“土づくり”の仕事、民主主義の地力をつける地味な
仕事をしてこられたわけです。別な言い方をすれば、白山書店さんが、本屋として採算のとれる状況になることと、私共の運動の発展とは深いつながりがあることになります。
 “巻頭にあたって”ということで依頼されたのに、教育という面からのみ書きましたが、それぞれの分野の方も同じような思いをお持ちなのではないかと推察しています。

「読書かわら版」を!       
                    あざみ昭三

 十五年戦争が終わった頃は私は十八歳、多くの青年と同様にそれを虚脱状態で迎えたものである。
 その頃読んだフランスのマルタン・ヂュ・ガールの『チボー家の人々』は私に大きな影響を与え、今でもその小説が忘れられない。全十一巻の大作でしたが、それを紹介してくれた友人に今も感謝している。
 最近の週刊誌、漫画雑誌、新書版、ベストセラー、それらはそれなりに読者に影響を与えているのでしょうが、人々の思想にまで影響を与えるものはほとんど無いようである。とは言っても知識を広めたり、感性を高めようとすれば本を手にせざるを得ない。
 しかしこの頃の本屋さんの店頭のようにとりどりみどりの「本」がぎっしりと並んでいると、どれがどうなのかさっぱり識別できず、手が出にくいのも事実である。
 赤旗紙を含めて各新聞に週に一回、新刊書の紹介を二面潰しで行ってはいるが、時間に制限のある私たちにとっては、あまり役立ってはいないようである。むしろ月一〜二回の「読書新聞」などはむしろ役立っているのではないか?
 こんなことを考えていると、今回の白山書店の「私のベスト3」は面白い企画である。 そこで提案ですが、白山書店の二〇周年を記念して、三ヵ月に一回でもよいから読書新聞の「読書かわら版」のようなものを出したらどうだろうか?

 地域に愛される民主書店として
             いっそう発展を

          新日本出版社社長  小桜勲

 白山書店の二〇周年おめでとうございます。きびしい情勢の中で今日までがんばってこられたことに、心から敬意を表します。
 白山書店の二〇年は、志をもって良書の普及を一貫して追求すること。つねに地域の運動や仲間とともにあること。経営はつましく堅実に。の三つの柱を貫き通した、全国に誇るべきすばらしい歴史だと敬服しています。
 日本共産党と革新の運動にとって、大きな展望が開かれてきた今日の情勢の中で、地域に愛される民主書店としていっそう大きく発展されることを期待しています。
 橘さんのご健康とご活躍、白山書店を支える地域のみなさん方の大きなご支援をひきつづきお願いいたします。

「天下の書府」にふさわしい書店として
          日本共産党中央委員会                          出版局長  池上 芳彦

 わずか二三ページ(初版本)の『共産党宣言』は、社会変革の運動の発展の知的力となりました。文化としての本の価値は、その厚さにあるのではなくその内容にあります。
 書籍普及の担い手としての書店の存在価値も、店舗の大小や販売高にあるのではなく、どんな本を扱っているか、売っているかにあると思います。
 社会進歩の知的力となる書籍を普及しつづけてきた白山書店は、県民、市民にとって価値ある貴重な存在です。「天下の書府」といわれる金沢にこうした書店をもっていることは、県内の民主勢力の誇りです。
 橘さんのさらなる健闘を期待するとともに、白山書店を愛する読者のみなさんが、県内唯一の「知は力」のセンターの火を消さないよう、白山書店への支援の輪を大きく広げてくださるようお願いするものです。

 これからも政治革新の灯台として
        日本共産党中央委出版局                         書籍取扱所代表 酒井 輝

 「白山書店さんとはどういうお店ですか?」と民主的な版元さんに聞かれるたびに、即座に一九八七年の第九回全国民主書店研修交流会での奥さんの、「新しい一〇年」と題した発言のなかみを伝えています。
 ご紹介しますと、白山書店さんが大切にしてきたこと五点として、
 
 一,民主的な書籍、良書普及を柱とする一冊、一冊を丁寧に普及する。
 二,経営は慎ましく堅実に。
 三,民主的な出版社や著者との結びつきを大切に。
 四,民主勢力の運動に連動、依拠した書籍普及を。
 五,実務を正確にすることである。
 
 あれから一〇年、今年二〇周年を迎えられた白山書店さんの原点として改めて思いを深くし、学ばされております。
 また、「白山書店さん」の書店名の由来や、ご夫妻の書籍普及の経験をお聞きするたびに、前に見た映画、「喜びも悲しみも幾年月」の感動とだぶって、はげまされています。
 これからも、石川県唯一の民主書店として、地域の職場、民主的な団体の方々に科学的社会主義・民主的良書のよりいっそうの普及で、政治革新の灯台の役割をはたしていかれるよう期待しています。
             

 地域の運動と共に二〇年、橘夫妻のねばりに拍手
          佐藤 一雄
全国民主書店連絡会代表幹事・山形県・鶴岡書店 

 苦節二〇年、金沢百万石の地での民主書店の輝かしいあゆみに心から敬意を表します。
 特にこの二〇年間は、第二の反動攻勢のきびしい時代でもありました。六〇年代後半から七〇年代前半の “民主書店全盛時代”にかげりが見えてきた時代に産声をあげ、地域の運動としっかり結びつき、一歩一歩築き上げ今日を迎えられた白山書店と、同書店を支えられた金沢の民主勢力のみなさんに連帯の意を表します。
 全国の民主書店のなかでも一番の「夫婦善哉」の橘ご夫妻は、誠実実直で堅実な経営をされ、多くの仲間に励ましを与えています。
 「二一世紀の遅くない時期に民主連合政府を」という政治目標に貢献できる民主書店は、益々その力量が求められています。
 依拠すべき軸足はしっかりとしています。「第二の波」を確かなものに、そして「怒濤の波」に。これからです民主書店は。
 二〇周年おめでとう。二一世紀は目前です。これからの一〇年・二〇年と大輪の花を咲かせてください。大いに期待をしています。

 ゆったりと良書の普及を
      
日本共産党石川県議会議員  川上 賢二

 「白山書店二〇周年記念誌に何か一言を」と声をかけられ、気軽に了解しましたが……。橘さんご夫婦の活動に重なる私自身の活動に思いが広がります。
 低賃金・長時間労働が当たり前だった商業労働者で組織された個人加盟の労働組合や未組織の青年労働者の中で、お二人と一緒に活動していたのはもう三〇年も前になるでしょうか?
 その後の私は、日本共産党の専従役員を経て、地方議員としての活動に従事しています。
 橘さんご夫婦は働く人達を励まし、闘いの武器となる本などを普及する民主書店活動の道を選びました。
 二〇年前の開店の時も、移転に際しても、相談を受けました。その後も、ことあるごとに家族ぐるみの、古い友人としてのつき合いが続いています。
 いまもできるだけ白山書店に立ち寄ることにしていますが、必要な資料・書籍や個人的にも読みたい本をさがしながらの、立ち読みならぬ「立ち話」で過ごす時間が、とても楽しみになっています。
 これからの橘さんご夫婦には、立ち寄ったお客さんが肩の力を抜いてゆったりと読書相談や世間話もできる、ふところの深い「民主書店」を育てることを期待しています。

 私たちの「心の糧」を灯しつづけてほしい K. S 出版関係

 全国四千五百の出版社が発行する一九九六年度の書籍総発行部数は十五億四千四百二十一万万冊で、一日当たり四百二十三万一千冊。
 雑誌は、五十二億八千七百三十三万冊で一日当たり一千四百四十八万六千冊である。赤ちゃんも含む年間一人当たりの発行部数は百五十五冊となり、ちなみに発行点数は一日当たり書籍で二百点である。
 これら膨大な出版物のなかから良書を発見するのは大変な仕事です。そんな中で白山書店が二〇年間も良書普及の先頭にたって「生き続けてきたこと」は、大手出版流通会社に働く私にとってはまさに〈良心のよりどころ〉です。
 いま中小書店を取りまく状況は本当に厳しくなっています。大手資本の書店進出やコンビニの本販売などで年間六百以上の書店が廃業においこまれています。大店法撤廃の動きや再販制(定価販売)廃止の動きが加速するなかで、経営そのものが圧迫されているからです。
 街から本屋さんが消えることは、わが国の出版文化の衰退を意味することになります。白山書店が社会科学書を中心として私たちの「心の糧」を今後も灯し続けてほしい。
 本の普及だけではなく、北陸における出版文化の発進基地として多彩な取り組みを展開し、多くのファンをつくってほしいと願っております。

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 白山書店と私              S.F公務員

 私が学生生活を終えて金沢に舞い戻った十八年前からお世話になっているので、白山書店の二〇年とはほとんど重なっていることになります。
 当時は、学生時代の仲間とも離れ、周囲に親しい友人もあまりいなかったので、学生時代、大学生協などで普通に目に触れていた本がみられなくなったのが、たいへん苦痛でした。
 身近によい本を、と思っていたとき白山書店の存在を知り、以来、日曜日などには必ずといっていいほど、訪ねるようになりました。
 そしていまでは、家族そろってお訪ねして本に親しむのが楽しみになっています。子どもたちの相手をしていただきながら、夫婦でゆっくり本を選んだりとか、時間のある時は和やかに会話もかわすことができるなど、十八年たったいまも、相変わらず私にとってありがたい存在です。
 仕事に必要な専門書なども、白山書店で注文するように心がけていますが、これはかえってご迷惑かもしれませんね。
 白山書店の火が絶えぬよう、ご夫婦で心を砕いてきた二〇年、本当にご苦労様でした。また末永く、よろしくお願いいたします。

 十五年前の出会いから        教 員   T.Y.

 今年の支部の教育研究集会にも、白山書店さんに教職員向けの図書コーナーを設置してもらいました。そこには、いつもたくさんの人が本を手にしています。
 私は、「どんぐりの家」「新・君の手はささやいている」「おたんこナース」のマンガ本を買いました。
 みなさんに好評の白山書店さんと石川県教職員組合の支部との出会いは、十五年ほど前です。私が、支部の教文部長をしている時です。
 他の支部で教研集会に白山書店さんに来てもらっているところがあったので、「金沢から遠いですが、教研集会に図書コーナーを設置してもらえますか」とお願いしたところ、快く引き受けてもらえました。
 子どもと教育を大切にする白山書店と支部なので、十五年も続いてきたのだろうと思います。今後もよろしくお願いします。

 私と白山書店             荒木田  成

一九七四年、富山の企業に就職していた私が一〇年ぶりに金沢に戻ってきた。次男誕生のころで保育運動の高揚期でもあった。
 保育運動のなかで橘氏と知り合い、話し合う機会がよくありました。当時は、民主書店と言えるものが金沢には存在していなかった。以前にはH書房が香林坊に存在していたが……。
 保育運動に関する書籍の選択、購入に苦労し、民主書店が欲しいと思っていました。民主書店を開きたいと書店経営の構想を話し合い、橘氏をその気にさせた仲間の一人として、今大きな責任を感じています。
 子どもに関する書籍を中心に民主教育、政治、経済を主に準備していたように記憶している。
 私も子どもが小さいときで毎月定期的に発行される絵本や雑誌を購入して応援することにし、今日まで専用の書店として大いに助言と本の選考にと力を尽くしてもらい、大いに感謝しています。
                     

 白山書店を利用することは民主的書物に重要な貢献
                      岩瀬 俊郎
城北病院医師  

 民主的諸団体間では、医療課題や運動課題では理解し合えても、経営状態がそうした諸課題の制約因子になっているという点での理解は少ないように思える。同様に、白山書店の存在意義は誰しも認めることではあるが、それを支えているのが、橘さん一家の、低賃金の中でも踏ん張っているおかげであるという点での理解は、どの程度あるのであろうか。
 民主的な人々には、民医連を利用していただくことが、民医連を働くものの立場からの批判的貢献に限らず、経営を支えるように、積極的に白山書店を利用することが、民主的書物の存在にとって重要な貢献であることを考えてみる必要がある。
 巷ではマルエン全集が絶版になり、新「メガ」の進行も途絶えているときく。日本の民主勢力が、新しい日本を創造する客観的可能性のある現在、一人でも多くの人が古典の遺産を学習する必要があるのではないか。マルクスとエンゲルスがしたように。

 白山書店で見つけた「私のベスト3」
 真田是ほか 「時代を切り拓く『民主経営』〜社会福祉からの問題提起〜」(かもがわ出版)・藤田暁男ら訳 「市場と政治の間で 〜スウェーデン協同組合論〜」(晃洋書房)・「マルエン全集検索CD−ROM」(大月書店)

 本に囲まれて暮らす幸せ      児玉 一八

 このような表題をカミサンに見られると、また、「少しは片づけて」という視線を浴びることになるかもしれません。
 私が白山書店に初めて行ったのは、大学一年か二年だったと思います。
大学から寮に帰る途中にあったので、ちょくちょく通ってサイフを空にしました。井尻正二氏の本を、手あたりしだい買って読んだものです。
 そのうち、橘さんと話をするのも楽しみの一つになり、「結婚するとお金が要って本を買えなくなるから、今のうちに買ったほうがいいよ」と言われて『マルクス・エンゲルス伝記アルバム』を大枚はたいて買ったり、「もうすぐ絶版になっちゃうから買えなくなるよ」と『マルエン全集』を注文したりもしました。
 最近は、橘さんが本を配達しに来るのが、一週間のなかで一番待ち遠しいことです。
 私の読書は、ジャンル関係なしのムチャクチャ派で、月曜日は『赤旗』読書欄で「あっ、これは面白そう。これもいいな」と数冊選んで、FAXで白山書店に注文するのが日課です。時たま注文したことを忘れて、「あれっ、なんでこんな本が?」なんてこともあります。おかげで、狭いわが家にいくつも本の大山ができています。
 一〇周年の記念パーティーの時、結婚したばかりのカミサンと一緒に橘さんに花束をおわたししたことを覚えています。
 あれから、はや一〇年。これからもよろしくお願いします。白山書店が三〇周年を迎える頃、本で二階の床がぬけていないか心配です。

 白山書店で見つけた「私のベスト3」
   「伝記アルバム マルクス=エンゲルスとその時代」(大月書店)・ 井尻正二 「井尻正二選集1〜10」(大月書店)・ 太田愛人 「大地のカレンダー」(大月書店)

 白山書店との十数年         筒井 司郎

 かれこれ十七年前、白菊町の狭い狭い店舗に「社会福祉問題研究」という雑誌を買いに出かけたのが、白山書店との出会いでした。
 狭い店内に、学者先生の書斎の様に本が積まれているものの、これはどうみても「商品」という扱いは受けていないなと思いつつ、石川県内の他書店ではなかなか手に入らない、社会福祉、哲学などの本が幅をきかせている店内は、非常に頼もしく感じました。しかし、売れ筋の本がほとんど置かれていない頑固さに敬意を表しつつも、いつまでもつのか不安になったのも事実でした。
 それから店舗は、中央通りを経て、現在の弥生まで、広さは軽く三倍になりました。しかし、店内は昔と変わらず教育書・児童書が中心というのは変わらないものの、社会科学系統の本が減ってきているのは需要の変化を感じさせられ、少し寂しい感慨も。
 それにしても、いつも驚かされるのは橘さんの書籍知識の広さです。お固い専門書から小説・娯楽書の類いまで、こちらの質問に「反射」するかのようにすぐ答えが返ってくる。
 そして、勧められるままノ本を買う。そういえば、「いかがですか」とか「読んでみませんか」といった一般的な勧め方ではなく、こちらから言われる前に「注文しとくね」という勧め方が多かったように思います。
 おかげで、買いすぎて「青く」なることはあっても、買わないで後悔したことはありません。しかも、私は金払いの悪い「客」としてトップクラスにランクされているにもかかわらずです。
 これからも経営的には厳しい日々が続くと思いますが、政治革新を「文化」という最も深いところから支える活動の担い手として、頑張っていかれることを願ってやみません。

 白山書店で見つけた「私のベスト3」
 柳田謙十郎 「労働と人間」(学習の友社)・この本の感想を柳田先生にお出ししたことがきっかけとなり実質的に半年余りの短い間でしたが、柳田先生から直接ご指導いただくきっかけとなりました。そういう意味で私にとって「人生の宝」というべき書です。
  むのたけじ 詞集「たいまつ」・・・・・(たいまつ社)・つかれた時に読む本としてあげるなら、まず、この本です。読みながら感動しあったり反論したりできる。まさに、「生きた本」といえると思います。
 吉野源三郎 「きみたちはどう生きるか」(岩波書店)言うまでもなく、社会科学の古典であり、「科学的倫理学」という造語を作ってしまいたくなる名著です。性別・年齢に関わりなくプログラムする本を一冊選べといわれれば、躊躇することなくこの本を選びます。なお、マルクスの「資本論」の入門書としても、私の知るかぎり、最もわかりやすい本といえると思います。

  もうそんなに経ったの!       末っ子 美代子

 白山書店が二〇周年なんて、「もうそんなに経ったの!」とビックリしています。
 スタートした頃は増泉の小さなお店で、兄や姉と一緒にお店番をしていたことを、よく覚えています。「十一ぴきのねこ」や「ねずみくん」シリーズの絵本が大好きで、お店に行くたびに読んでいましたね。
 白山書店には、娘としても、民青同盟員としても、たくさんの本を薦めてもらったり、取りよせてもらったりと、お世話になりっぱなしです。特にこどもが生まれてからは、すてきな絵本をたくさん買いました。
 おとなが読んでも、こどもが見てもウキウキする絵本を、こどもにたっぷり見てほしいし、私が大好きだった同じ本を、こどもが好きになってくれたら、とってもうれしいですね。
 とりあえず、うちのこどもが絵本大好きになるまで、白山書店は今までどおり、すてきな絵本をたくさん見せてください。
 最後になってしまったけど、二〇周年おめでとう。ごくろう様でした。これからもよろしくお願いします。

                             
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