思うこと・保存版(2004年以前)
2004/12/27:
講習会へ行ってきました。「エコアクション21」のそれです。
「エコアクション21」はこれまで申請型の認証として、環境に配慮した企業であることの指標となってきました。
ISO14000シリーズよりも手軽でありながら、環境配慮の証になるということで、取得してきた企業もあるのですが、今回このエコアクションが審査型認証になるということらしいです。
結果が出せない認証なぞに意味はないわけですから、当然の帰着であると言えます。
さて、そうなると問題なのが、ISO14000シリーズとの差別化です。
同じ審査認証であるなら、ISO14000の方が国際的に有利です。そこで環境省などの政府の役人の方々は、審査員のレベルを(異常なほどに)高めて優れた認証を目指すようです。もちろん、審査の内容もそれなりに違い、文書他の確認項目が少ない代わりに、実際の活動内容について(達成度ではなく)活動そのものの実を確認する部分が重視されるとの事です。
ここで、実際にエコアクションの対象とする中小企業から見てみます。
確かに費用は若干エコアクションが安上がりです。オフィスみたいなところならこれでたくさんでしょう。
しかし、製造業から見ての魅力は欠如しているように感じます。ここまでするなら、輸出などを見据えてISO14000を選択するべきだろうと判断できます。
つまり、このエコアクションが成功するためには、広く知られる認証になることが不可欠であると言えるわけです。実際にそうした指摘が講演会の質問として出ていましたし、そこが大事なのは政府関係者側も承知でしょう。
すでにエコアクションをしている企業は3年間の期間が保証されるので、その間に考えるか、移行可能期間(審査なしで新認証へ替わることができる)に移行してしまうかの選択をできるようです。
うちの会社はきっとISO14000を選ぶでしょうけど。
2004/11/8:
最近2回ほど「JIT」に触れる機会がありました。
「JIT」はジャスト・イン・タイムのことです。いくらでも書籍や情報を当たれますから細かいことは一切言いませんが、現場にいる人にとってはごく当たり前のことをやるのがこれです。
どうしてそうなるという反問が来るかと思います。もちろん、5Sのようなことは現場の人には納得しがたい部分があり、前段の内容とは関係がありません。当然ながら、工程の改善を指します。
10分サイクルの工程があり、これが9分でできるようになっても、他にすることがなければ改善ではありません。
10分サイクルが可能で15分かかっていた工程を12分にするのは、20%の効率アップになっています。
こうした改善を達成するために、配置の最適化や安全手順を確認ではなく自働化すること、工程そのものを可能な限り自働化して省力化することなどが工程の改善になります。
旧来、こうした活動はQCサークルなどとして現場主体で行ってきました。現場の人間こそがその作業をよく知っており、改善すべきことを知っているからです。
JITは、これをトップダウン手法で行うことを目指しています。
QCサークルは、現場の自主性によって維持されるものです。従って、全く見返りが与えられないとモチベーションが落ちてしまいます。モチベーションのないQCサークル活動など事実上不可能です。
これをクリアするのがJITです。上層の者が現場を見据えて問題点を見出し、その行動力によって改善を推し進めることになります。QCと違うのは自主性が不要であることで、上からの指示として改善は進められます。利害に聡い現場の人間に鞭をくれるやり方と言ってもいいでしょう。ただ、これが浸透していくと現場が上に改善を要求するようになります。普通現場の改善要求は「コスト」だの「効果」だのを盾にして無視されがちですが、JITは「100%でなくていい、すぐやれ」がモットーです。何か手を打つのが当たり前になり、改善要求を放置しない土壌が出来上がります。
こうして書いてしまうと「JITすばらしい!」になりそうですが、JITは「上に立つものが現場を知り、その問題点を見出すこと」を根幹にして成り立ちます。改善を進める力(権限)を有する人が問題点を知らなくては進まないのです。つまり強力な推進者を擁することが成功の鍵になります。これは難しいことです。
はっきり言って、本物のJITは小さな企業ではできないことです。かなりのパワーが必要で、それによって巨利を生むことを目的にするものです。でも、小さな企業でもまねなくてはならないこともあるでしょう。「完全でなくてもすぐにやる」、「現場の問題点を上も知る」ということは、企業の規模を問わず可能なJITの要点と言えるでしょう。
まぁ、上に立っている人にはなかなか難しいことでもあるようですが。
2004/10/20:
ちょっと腹が立つような、ばかばかしいような話。
ある不良の是正回答をしたところ、こんなメールがS社さんから来ました。ちなみに、不良が出たのはうちの会社からH社さんへ納める製品で、それをS社さんへ納めているものです。直接S社さんへ一部の文書が行ったのですが、
「今後報告書を書く時は
1.結論
2.実験結果
3.是正方法
4.予防方法
5.見解
の順で書くように。先の報告書は読めん」(大幅に省略)
というメールが来たわけです。
なるほど、見解(=いいわけ?)なぞ聞きたくないから事実をよこせでよいわけですが、書いた私から言いたいことはひとつだけ。もちろんこんな返信はできませんが。
「御社の是正報告書式を見直してくださいな」
H社さんはS社さんの書式で、うちの情報を元に報告を行います。この書式は20項目近くに上る内容を要求しています。
H社さんはうちに「この書式に見合う形式で項目を立てて報告書を用意してください」と仰った結果だったわけです。
メールを下さった方は品管の偉い方だと思うのですが、自社の文書は知らないのでしょうかね?
一応最大限に好意的に解釈すると、「私の日本語がへたくそで読めないと言いたいが、そんなことを書くわけには行かないので文書に難ありと伝えておくことにした」でしょうが、ちょっと無理がありませんかね。
2004/10/16:
ちょっと前に講習会に行きました。「表面処理における故障解析」というやつです。
いまいちまとまりがなかったので、記事化するのは見合わせましたが、以前と違って先に紹介したXPSやAESといった手法によって、故障の原因を推定することは易しくなってきているということでした。しかしながら、大きな企業や設計を行っている企業は別にすると、規模の小さなめっきの会社が故障のたびにAESなどを行うことは実質的に不可能です。装置を入れるのは投資額が大き過ぎますし、毎回分析機関へ出すのも経費のかかりすぎです。
とは言っても、最近はこうした分析をして原因解析をするのは当然だという風潮があります。こうした要求を行うのは上記の設計部門があるような大きな企業です。こういったところは自社内で解析を行う力を持っています。
けれども、不良を出した相手にやらせなくてはペナルティ的な意味合いがなくなってしまうこともあり、できそうもない企業相手に要求を行うことになります。
昔であれば経験的な話によって説明して、対策で発生がなくなれば終われた不良への処置が、今は原因が理論的に説明できないだけで及第点が出なくなります。再発の防止の観点から考えてごく普通の対応であるといえます。
ここでめっきの会社は暗礁に乗り上げる可能性が高くなります。めっきは旧来からの技術・手法が色濃く残っている場合が多く、こうした部分では理論的に説明できない作業が当たり前のように含まれています。これはめっきの会社が技術的に立ち遅れていることが多い状況に符合します。
原因解析という側面から見ても、めっき業は先端技術の世界へ向かうには、まだまだ壁を多く残しているだと感じてしまうものでした。自分個人は「オージェ電子」だの「X線」だののことはすでに(理論的に)承知の部分が多いので、割と身近な世界ではあるのですけど。
ついでなので、いくつか出ていた知識みたいなものを。
・製品が紙に接触すると、新聞紙やダンボール等の硫黄(200ppmになることも)の影響を受ける。
・ストーブを使っている場所では、硫安(硫酸アンモニウム)が生じていることがある。
・亜鉛のシアン浴は脱脂不良でもめっきできるが、やはり性能は落ちる。
・人の汗に由来する不良であるかどうかは、乳酸の存在で証明できる。
・イオンエッチングを使う解析はクロムを還元するため、6価クロムには向かない。
2004/8/11:
美浜原発で起きた死亡事故。
場所が場所ということもあり、原子力の事故としての重大性をニュースにする風潮が見えます。
ただ、放射線としての事故のレベルが0+という低値になっているのは、その事故が引き金となって大きな汚染事故が発生しない(発生するぞ、と脅かす人が多いですね)ためです。
以上はあくまで「原子力」としての視点。私個人は原子力事故としてこれを捉えることは本質を外していると見ています。
今回起きたのは、高温の水蒸気が内部を走る配管からの噴出事故です。これが起こりうる施設は原発だけではないわけで、むしろ原発などはごく一部にしか過ぎません。それこそたくさんある火力発電所も同様の危険度を持ちます。
今回は主に作業者に危険な状態を放置したことが重大問題なのです。
もっと言うならば、原発のようなクリティカルな施設での管理でありながら、基本的ともいえる保守(配管の寿命の把握と管理)がなっていない点です。原発ですらダメなら、火力ならどんな管理をしているのでしょう?
別の場所で書いたことがありますが、原子力は可能なら減らしたいエネルギーです。
放射化学を学んだ人なら、そういう思想を持つべきだと思います。
しかし、エネルギーに関する管理が最高であるべき原発でこれだとすると、他が怖すぎます。次は火力発電所で大火災・・・などということにならないことを願うのみです。原子力と違って火力を減らせ・・・と言う人はまだまだ少ない(本来どちらも減らせであるべきです)ことを考えると、いずれくる事故のように感じてしまいます。
放射化学の徒から言うと、今回は防護機能が必要程度には働いて、原子力事故は回避しました。
緊急事態は100備えて10も働けばよい方だと考えるべきものですから、成績はよかったと思います(全て動かないからダメだと言いたい人もいるようですが、危機管理として間違った部分があります)。事故は貴重な経験・データですから、せめて後々へ役立てるようにお願いしたいです。
労働災害としてみるならば、この上なくひどいものなのですから、このくらいなくては救いが全くありません。
最後に、不謹慎にも話題のようにしてしまいましたが、犠牲者の方へ哀悼の意を示させていただきます。事故での死傷として、今回のそれは苦しみの多いものだったでしょう・・・。
2004/5/22:
少し前に上司に命じられてある薬品(金属塩)の不純物分析をしました。
大手部品メーカーへの提出資料と言うことで、大学卒業以来初めて準研究レベルの操作をしました。
サンプル数や測定回数も統計的に処理ができる(ただし最低数)数量を決めて、一日丸まる潰してICP発光分析測定をしました。
4つ比較したのですが、どうやら2系統に分かれるように見えました。後日、薬品の納入業者さんに聞くと、日本では2社が生産していて、他はOEMだとのこと。実測でその裏付けを取れた形で、面目がちょっとだけ立ちました。
いわゆる材料変更申請ですが、大変ですね。ちょっとだけ変わる程度なんですけども。
更にそのあとサンプル作成がありまして(サンプルレベルでやったので、シミがあったとかなんとか・・・正直責任持ちきれない・・・)、晴れて合格。
零細なめっき業者にそこまで要求するのは待って欲しいなぁ・・・などと思いました(正しいあり方なのは承知していますよ)。
2004/4/30:
「エクセルギー」は手間がかかりました。私自身エントロピー・エンタルピー関係は嫌いです。
しかしながら、当然でありつつ大事なことでして。エクセルギーを上手に把握することは、各過程をコントロールする上で重要なのですよね。
難題も終わったので、通常更新に帰れるでしょう・・・かね?
2004/4/1:
世の中にはエイプリル・フールということで、サイトトップを奇抜に飾る人もいるわけですが、当方は現在暇が全然取れません。
会社の取締役が一名入院したために、下っ端にもかかわらず品質対応などさせられているためです。というか、事務所に張り付けるのはやめにして欲しい・・・。あと、「現場で働くのは大変で、事務所は楽」という価値観を持った事務所の人(現場の人ならよくわかる)というのはいただけない。それは「自分たちは楽している」と思いながら仕事をしているわけで、現場の感情的な反感を買うように感じるのですが。
2004/2/12:
最近あった品質管理的な(技術とは関係がない)出来事をひとつ。
私のところの一顧客は日本でも名の売れた部品関係のメーカーですが、先日そこから不良対策の依頼書が来ました。
4件あると聞き、「最近そんなに集中することがあるかなぁ」と思っていたところ、3件は去年のものだといいます。しかも2件は夏ごろです。
選別して通常流動したとのことですが、それ以後の再発は気にならなかったのでしょうか。
これには理由というものがあって、子会社経由の話であるため、子会社で止まっていたらしいです。つまり半年以上放置した・・・と。
私は自分が使っているノートPCの電源にそこの製品が使われる可能性があると聞いたことがあります。実際には所有する2個とも中国のメーカー(?)のものです。以前に(中国メーカーでなく)そこの電源は造りが悪いということをWEB上で見たことがあります。
無論のこと、こうしたことはどこにでもあることで、それで印象が悪くなったわけではなかったのですが、今回のようなことがあると「あ、中国メーカー製でよかった」と思ってしまいそうです。日本製は信頼できなくなったのでしょうかね。
大手にはそれなりの管理ができるという責務が付いてくると思うのですが、そしてそれが顧客の安心感だと思うのですが、いかがなものでしょうか。
2004/1/18:
昨日ISOがらみの「品質マネジメントレビュー」などというものがありました。
資料を用意する側なわけでしたが、日本語が違うとか経営者から指摘が・・・。
ちなみに何が違ったかというと、「一助」という言葉の使い方です。「一助」は肯定的なことの一因或いは補助になったときに使うもので、悪いことを助長した要因を指しては使わない・・・と。言われればなるほどですが、なかなか気が付かないもので。こんなんでこのサイトをやっててもいいのでしょうか?
終わったら終わったで、今度は議事録を作らなくてはいけません。今回は「録音」もしてやろうとしたんですが、電源入れ忘れなどという初歩的なミスをば。まぁ実験的にやっただけで、頼みにしていなかったのでいいのですけど。議事録を作る上で「経営者の指示」をどう読み取るかが難しいところです。経営者はそんなことを意識せずに発言をするので、下手に指示を受け取ると一年間の活動に大きな支障が出るかも知れず、かといって中身がないとなれば「外部審査機関のサーベイランス」で不適合などということに。
次は品質目標だのと、システム管理は続くのですが・・・、現場で仕事がしたい・・・(苦笑)。
2004/1/1:
新年明けましておめでとうございます。
本当なら猿くらい飾ってあるべきなのかもしれませんが、そこはサイトを鑑みご容赦を。
本来の予定では今日をもって公開でした。年末年始にバタバタもなんなので旧年中にスタートした次第です。
今年はどこか技術系の話題を扱う場所へ参加したりして、活動を高めたいですね。
2003/12/20:
私の会社では、今日で2003年度が終了しました。現在ISOの統括者(品質管理責任者ですね)の補佐をしているので、これから品質マネジメントレビューの準備にかかります。小さな会社なので管理責任者は多数の仕事を兼務しており、実質的に準備は私がします。
ワードやエクセルで資料を作るのは得意としないのですが(ましてパワー・ポイントなど誰も使いません)、資料は電子化しておくと保管も楽ですから手書きは極力避けています。ちなみにうちの会社では「電子化された文書」はないという立場で、パソコンとそのデータは「紙と鉛筆」扱いです。なにしろ電子データの扱いがなっていませんから(他の事に必要としない場合が多いから&致命的な事態に遭ったことがないため、経営陣に危機意識がない)、電子文書で社内管理など考えられません。はっきり言って電子的には、自分の家のほうがセキュアで便利で安全な環境ですね。
めっき業界ではISO、特に環境ISOが必要とされる機会が多く、取得している企業も少なくないと思います。私のところは現在、品質ISOのみ有しています。環境では後れを取った感があります。システマティックに環境関連事項に対処することを経営陣が必要と考えていないようで、先日それで製品をひとつ取られてしまい、顧客の豹変に怒りを抱いていたようです。でも、当然ですかね。
このISO、小さな企業ではもてあましているところが多いのではないでしょうか。これは結局トップダウンの解決手法であるので、経営陣が意識を高めないと進められない側面があります。これは権限を明確化している弊害でしょうか。上の承認がなければ些細な改善も進めにくいということで、やりにくさがあります。記録が残るので尚更のことです。権限をお持ちの方は、その使い方に気を配らないと機能不全を起こしてしまうことに注意すべきでしょうね。
私のところですか?
半ば勝手にさせていただいております。あとは承認手続きだけの状態を構築してしまう「骨抜き」作戦です。上長が余裕のかけらもないような方ですから。
2003/12/13:
これまで外界との接点がないままに整備していましたが、それなりに記事量が増えたので外と繋がるようにしました。今日をもってサイトのスタート、というのが正しいでしょう。およそ1年かけて準備したので、ひと月1記事ペースで少しはめっきのことに触れることができていると思います。
科学のほうはまだまだです。なかなかよい機会がないことと、知識が浅薄であることが主な原因です。折角コーナーを設けたので、何か書いていきたいと思います。放射化学を少しかじっているので、そちら系で話があれば、と考えています。
ここは私のフォーマルサイトという位置づけです。誰にはばかることなく公開している内容ということで、見ず知らずの方にもここならお教えしていいかな、というサイトを思い描いています。
他にお遊びのページを持っており、そちらからここへ来ることは一応可能ですが、ここではそのことは一切関係なしです。ちなみに、こちらからは行けません。
作者についてを読んでいただければ自己紹介は不要かと思いますが、企業に勤めていて、別段偉い立場でもない普通の社員です。
ここは一種の自己啓発の場として活用している側面があります。更新は一種の強制力ですから、上手に活用してプラスにしたいと思います。