架空の庭 [2003.01.19]
佐野元春
わたしは、佐野元春がとても好きである。佐野元春のアルバムの中でも、特に、一番好きなのは、「VISITORS」なんである。
うちの夫も、佐野元春好きだったらしいのだけど、彼の佐野元春ファンの友人が「VISITORS」は、佐野元春の作品じゃない、とうちの夫に言ったらしい。そのお友達にしてみれば、やはり「VISITORS」以前で佐野元春は完成してしまったように思われたのではないだろうか。それは、それまでの佐野元春ファンにとっては大方の意見であると思うので、わたしは何も反対する理由はないんである。
ただ、わたしにとっては、事情はかなり違うのである。
佐野元春の曲の中で、わたしが初めて聞いたのは、「ニューエイジ」なのだ。あれは、中学生の頃だろうか?
この曲を初めて聞いて、はっきり言って、鳥肌立ったわけである。当時中学生のわたしは、まじでぶっとんだ。
なんだ、この曲は?!って。
なんだか、知らないけど、無茶苦茶魅力を感じたのである。これだ!って。
これを初めて聞いたのが中学生の頃?で、それがきっかけで「VISITORS」を聞いて。でも、「VISITORS」以前の佐野元春のアルバムには、あまり魅力を感じなくて。で、それ以来、佐野元春は、聞いてなかったんである。
やっぱり、当時の(そして今も)わたしが、一番魅力を感じたのは、好きでたまらなかったのは、一旦完成された「佐野元春」を、佐野元春自身が破壊するその行為自体なのだ。そこが、かっこよかったのだと思う。曲も詩もアルバム全部素敵なのだ。しかし、何よりかっこよかったのは、佐野元春自身。彼自身による自分の破壊。それも、一旦完成された自分を自分で壊す。それが、最高にかっこよかったのだと思う。
しかし、大学生の時、またまたふとしたきっかけで「Cafe Bohemia」を聞き、そこの「99ブルース」とか、「インディビジュアリスト」とか聞いて、またまた佐野元春ブームが巻き起こったんであった。「インディビジュアリスト」は、歌詞が、最高にかっこいいのだ。ちなみに、「99ブルース」は、わたしがよくカラオケで歌う曲のひとつである。わはは。(ちなみに、他にはイエモンの球根なども歌う)
誰がなんといおうと、佐野元春は、詩人だ。あの詩。あの言葉。彼はほんと、日本語のマジシャンだ。そして、その言葉を曲にのせ、さらにあのリズム!
佐野元春はカッコイイです。マジで。
佐野元春が中学生だったわたしに、垣間見せてくれた、この「自己破壊」、「自己破壊も辞さない実験的精神」ていうのは、今も昔もきっとわたしの中で、息づいているのだ。
[1999.03.09 Yoshimoto]
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