正信偈
真宗門徒の年中行事の中で、
最も重要なのが報恩講です。
これは親鸞聖人の遺徳を偲び、
その御恩に感謝するという意味で、
聖人御命日の十一月二十八日前後に執り行われます。
報恩講では親鸞聖人の作られた「正信偈」が勤められます。
「正信偈」というのは「正信念仏偈」の略で、
親鸞聖人の主著である『教行信証』の行の巻の末尾に収められています。

内容は
聖人の「無量寿如来に帰命し、不可思議光に南無します」との告白の後、
「依経段」と「依釈段」の二つに分かれます。
「依経段」とは浄土真宗の根本の経典である「大無量寿経」に基づいて、
最初は弥陀のこころを十八句で讃えられ、
その後釈迦のすすめを二十四句で讃えられています。

また「依釈段」では、
念仏の教えをインド、中国、日本にまで伝えてくださった
七人の龍樹、天親、曇鸞、道綽、善導、源信、源空(法然)という
高僧方のお徳を、
それぞれの著作の基づいて終りの六十四句で讃えておられます。

この「正信偈」を木版におこして、
更に「和讃」を加えて印刷したのは蓮如上人で、
当時としては世界的にも画期的なことでした。
それ以来「正信偈」が普及し、
門信徒の家庭でも報恩講が勤められているのです。
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