最近、葬儀を椅子式でするのが、
盛んになってきました。
それというのも、わたし達の生活が洋式化して、
正座をする機会が極めて少なくなっているためでしょう。
また小学校時代から、
机・椅子の学校生活を送ってきた近頃の若いひとには、
長時間の正座に耐えられる人はほとんどいないようです。
そのため葬儀や法事の席で、
いざ焼香となると立てなかったり、
無理をして立ったまでは良かったけれど、
ひっくり返ってしまう人もたまに見かけます。
それでは、
葬儀や法事の席で正座していなければならないのかと問われると、
どうでしょうか。
僧侶の立場からすると、
なるべくなら正座していただけたらと思うのですが、
さりとて洋式化する現代社会に
逆行するようなことを強要したくもありません。
ただ気をつけなければならないのは、
正座を無理に我慢するのが、
亡くなった人のためになるのだという考えの人がいるようですが、
それは間違いです。
真宗では、親鸞聖人のおっしゃったように、
「いずれの行もおよびがたき身」(どんな修行もかなわぬ身)
という自覚にたっているのですから、
正座を我慢するという苦行が
亡くなった人の供養になるのだという考えでは、
真宗の教えから離れてしまいます。
ですから、
真宗の法事や葬儀の席では正座をしているに越したことはありませんが、
無理に我慢するのではなくて、
シビレが我慢できなければ、
適当に楽な姿勢をとってもいいのではないでしょうか。
ただ法事などの席は、
亡くなった人を偲びながら、
尊い仏法を聞かせていただく場ですから、
あまり見苦しい態度では困りますし、
せめて合掌や焼香の時は正座していただけたらと思います。
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