エビネの増やし方
株分け法
エビネを増やすには、株分けが一般的で時期的には秋です。
@ 株分け
W芽で葉が展開した株は、秋に今年のバルブと今年・前年・前々年のバルブの二つ
に株分けします。
なお、前年のバルブがなくても冬至芽が花芽であれば翌年に開花しますが、株を弱ら
せないため一輪位咲いた位で花茎を抜きます。
A 古木及び古々木ふかし
ニオイエビネは、W芽がなくても「古木ふかし」又は「古々木ふかし」によって増やす
ことができます。
ア 古木ふかし
秋に、昨年のバルブに芽当たりを確認のうえ、今年のバブルと昨年・一昨年の
バルブの二つに分けると、昨年・一昨年のバルブからも新芽が出てきます。
イ 古々木ふかし
開花後の6月に、一昨年のバルブに芽当たりがあれば今年と昨年のバブルと
一昨年とそれ以前のバブルとを切り離すと秋に一昨年のバルブからも新芽が出
てきます。
なお、切り離し方はライターの火で消毒したカッターナイフを使用し、切り口に
は殺菌剤を塗布するなど必要な処置をします。
参考
ニオイエビネ以外は、元気であればW芽になりやすく株分けも容易ですが、ニオイ
エビネはW芽になることが少ないために「古木ふかし」や「古々木ふかし」で増やします。
バルブふかし法
植え替えや株分けをした際、葉のついておらない余分なバルブを利用して、エビネを増やす
方法で、バルブは1個でも可能ですが、できれば2個で行った方が葉の展開が早いようです。
(秋の株分け時にバルブふかしをします。)
1 バルブの切り口に殺菌剤を塗布します。
2 バルブふかしは、3〜3.5号鉢位で水苔植え又は鹿沼土などの鉢植えで行い、冬期には
上部を透明のナイロンで覆い温度が安定するようにします。
3 他に適量の水分を有する水苔でバルブを巻き、形がくずれないように輪ゴムで止めて透
明のビニール袋に入れ密封し、エビネ棚等の日陰に吊しておく方法もあり、翌年新芽が展
開してきます。
(ウイルス予防薬があれば、水苔にひたして使用すれば芽の展開もより早いようです。)
4 新芽が展開してくれば、通常の鉢植えにします。
実生法
実生法にも種を親株の鉢に播く方法(ラン菌を必要とするため)とバイテク(無菌播種)方法
がありますが、親株の鉢に播く方法は発芽率も特に悪く行われておらないようで、もっぱら、
バイテクによる方法が盛んです。
しかし、バイテク方法は、設備、器具や技術を要するため業者やセミプロ以外の方は手を
出さない方がよいと思います。業者の方でもニオイエビネ×ニオイエビネのバイテクは難しい
ようです。
趣味だけの方は資金と時間のリスクを考えると苗を購入した方がはるかに得策で、株分け
と古木ふかしやバルブふかしで十分かと思います。
クロン法
親株の細胞を培養して苗を作る方法で、親株と同じ花が咲きます。洋ランの培養と同じ方
法のようですが、個体差やウィルス等種々の問題もあり、確立されておらないようです。
また、この方法で大量に親株と同じ花の咲くエビネを作ったとしても、洋ランと違いエビネは
ローカルな花のため、大量の需要が見込まれることもありません。
したがって、技術的に可能であったとしても、採算が合わないため実現は無理のようで、
バイテクによって新花を作った方が得策のようです。