エビネの病気と予防
エビネの主な病気
炭疽病
梅雨時期や秋に発生しやすく、葉面に黒色円形の斑点が現れる。
軟腐病
春先には新芽が腐ります。梅雨時期や夏には葉の先端部から枯れたように腐ってくる。
灰色かび病
4月から7月にかけて発生しやすく、ハカマや葉柄部が腐ってくる。
褐斑病
高温多湿の夏場に発生し、葉に黒色斑点が現れる。
根腐れ病
根が腐ってきて、そのうちバルブも腐ってきます。
ウイルス病
花弁に黒い斑点、葉の色がまだらになる。
エビネにとって一番危険な病気ですが、現在のところ治療薬や治療方法はありません。
ウイルス病と疑われる株を発見したら、他の株と隔離して様子を見たうえ、確認できたら
廃棄します。
他の病気は、該当部分を切り取り等すれば治りますが、ウイルス病は他の株への感染
を防ぐためにも株全体を廃棄するしかありません。
エビネの病気予防
炭疽病
月1回位、炭疽病予防に効果のある殺菌剤を散布しますが、特に梅雨時期は発生が多い
ので回数を増やします。
発生した場合は殺菌剤を塗布して様子を見るか、葉の当該部分をハサミで切り取ります。
軟腐病
ウイルスに次いで厄介な病気ですので、予防にはストマイ液剤(抗生物質のストレプトマ
イシンを主成分とする殺菌剤)を散布します。
治療は不可能ですので、花芽が伸びてくる4月までに散布します。
また、葉の展開中の5月、6月にも発生しますので、有機肥料、化学肥料ともに固形肥料
を使用せずに液体肥料のみの方もおられます。
新芽に発生した場合は、茎を取り除き傷口には殺菌剤を塗布等する等必要な措置をしま
す。
(小さくなりますが、新たに新芽が出てきます。)
梅雨時期や夏には葉の先端部に発生し、すぐに広まってきますので葉の当該部分をハサ
ミで切り取りますが、進行が止まらないときは、葉に原液を綿棒で塗るなどして進行を止め
ます。
灰色かび病
ハカマの発生は軟腐病と症状が似ており、風通しが悪く湿度が高いときなどに発生しやす
いので、風通しをよくするとともに灰色かび病に効果のある殺菌剤を散布します。
褐斑病
進行が早いので、早めに葉の当該部分を大きめにハサミで削除します。予防には、褐斑
病に効果のある抗生物質を散布します。
根腐れ病
葉の色が薄い場合や元気がない場合に根腐れを起こしている可能性があります。原因と
しては肥料のやりすぎと水はけが悪いなど肥料と散水の関係により栄養過多となって発生
するみたいです。
発生を確認したときは、当該部分の根やバルブを切り取り、傷口に殺菌剤を塗布する等
必要な措置をするとともに新しい用土に植え替えします。
予防には、用土に「根腐れ防止剤」を混ぜるとともに肥料と散水の管理をしっかりとします。
ウイルス病
1 鉢から流れた水が他の鉢から流れた水と混ざり合うとウイルス菌が水を伝って感染しま
すので水か網目から下に落ちるように金属網を設置して、その網の上に鉢を置きます。
やむを得ない場合でも受け皿を逆にして、その上に鉢を置きます。
2 エビネの置き場の風通しをよくするとともに、株が密集すると風通しも悪くなるので一
鉢に当年の芽は3本までとします。
3 エビネに触れるときは、一鉢ごとに使い捨ての新しいビニール手袋を使用するか、ゴム
手袋をして一鉢ごとに消毒剤又は殺菌石鹸でよく洗ってから触れる。
素手の場合は、指紋にウイルスが残っていることがあります。
4 株分け、ハカマ取り等で使用するハサミ、ピンセット等は、一鉢ごとに消毒液で消毒す
るか、ライターの火であぶって殺菌して使用します。
5 ハダニ、アブラムシ等によって感染しますので、顆粒の殺虫剤を用土の上に置くととも
に花芽が伸び出し開花後までを除き、殺虫剤液を月2回位散布します。
6 ハカマの取り除きが終われば、潅水とともに新葉の表、裏にも葉水をしてハダニ等の害
虫を取り除きます。
7 参考ですが、ウイルスに感染すると全ての株が即発病するものではありません。潜伏期
間もありますし、感染していても発病しておらない、いわゆるキャリア株もあります。
現在のところウイルスの治療薬はありませんが、感染しておらないエビネに効果がある
とされる予防薬も市販されているようですし、また、感染株かを調べるウイルス試薬も市
販されているようです。しかし、いつ何時感染するか分かりませんので、予防のための管
理を徹底するしかないように思います。
不幸にして感染を確認したときは、廃棄する思い切りも必要と思います。
殺菌剤の一例
軟腐病の予防薬としてストマイ液剤、他の病気の予防にはベンレート、ダコニール、サプ
ロール、ダイセンなどに展着剤(ダイン)を加えて使い分けします。
(病気にもよりますが、葉の病気のみのときは新葉のハカマの中に入らないように散布し
ます。)
殺虫剤の一例
アブラムシやハダニなどの害虫予防にスミチオン乳剤、マラソン乳剤、オルトラン液剤(オ
ルトラン粒剤)などに展着剤(ダイン)を加えて使い分けします。
(開花時、新葉のハカマが取れるまでの間はオルトラン粒剤を使用します。)
ウイルス予防薬
治療薬ではありませんが、予防薬としてレンテミンがあります。
ナメクジ予防
ナメクジが通った用土の上や葉には、白く透きとおった跡が残リ病気の原因や見苦しくもな
りますので、その予防には専用の顆粒をエビネの周囲及び鉢底にばらまくか、竹酢液又は木
酢液を基準濃度で用土に散水するとともに葉にも散布します。竹酢液、木酢液は他の害虫予
防、病気予防や活力効果もあるようです。
参考
エビネのウイルス病について、詳細に記述されたホームページをリンクしておりますので参
考として下さい。
エビネのウイルス病 大洲バイオ