エビネの種類
(春咲きエビネ)
エビネの種類の名前については、他の植物と同様に植物学上の名前の他に園芸上・
流通上の名前や別名等があります。例えば、ニオイエビネは園芸上の名前であり、
学名は「Calanthe izuinsularis」 、和名は「オオキリシマエビネ」です。
また、ジエビネも園芸上の名前であり、学名は「Calanthe discolor」、和名は
単に「エビネ」です。ここでは園芸上・流通上の名前を使用します。
原種と交雑種
原種(自然界に存在する種類)
ジエビネ (栽培容易)
キエビネ (栽培容易)
キリシマエビネ (栽培やや難しい)
ニオイエビネ (栽培難しい)
サルメンエビネ (栽培やや難しい)
などがあります。
自然交雑種(自然界に存在する種類)「栽培容易」
自然環境の中で昆虫により自然交配が行われた種類で、「コオズエビネ」とエビネを
付ける方と慣習により「コオズ」とエビネを付けない方がおられます。
タカネ (ジエビネ×キエビネ)
ヒゼン (ジエビネ×キリシマエビネ)
ヒゴ (キエビネ×キリシマエビネ)
サツマ (ジエビネ×キエビネ×キリシマエビネ)
コオズ (ジエビネ×ニオイエビネ)
イシズチ (ジエビネ×サルメンエビネ)
スイショウ (ニオイエビネ×キリシマエビネ)
ミクラ (ジエビネ×ニオイエビネ×キリシマエビネ)
人工交雑種(自然界に存在しない種類)「栽培容易」
人工交雑種の種類は、流通上
キタ (ジエビネ×キリシマエビネ×キエビネ×サルメンエビネ)
カスガ (ジエビネ×キエビネ×ニオイエビネ)
アスカ (キエビネ×キリシマエビネ×ニオイエビネ)
ヤマト (ジエビネ×キエビネ×キリシマエビネ×ニオイエビネ)
などと称する場合の他
コオズ系 (人工交配によって自然界に存在しない種類となるが、そのうち
ニオイエビネの特徴が残っているもの)
サツマ系 (人工交配によって自然界に存在しない種類となるが、そのうち
サツマの特徴が残っているもの)
などと称する場合、また単に
人工交配種
と称する場合などがあります。
人工交配が進むにつれ色々な人工交雑種が出現し、交配した種類が不明となって
いるのも多くあるようです。
自然種と人工交配種
自然種と人工交配種の相違点
自然種
自然環境の中で受粉し、自生していたエビネ
人工交配種(園芸種)
園芸品を人工的に受粉させたエビネですが、人工交配が進むにつれ「銘」のある全国
的な有名品を除けば、その区別が困難になってきているのが現状ではないでしょうか。
種類の分類
交配について
人工交配によって、原種や自然交雑種のエビネが作られておりますが、同じニオイエ
ビネでも自然種は「自然種のニオイエビネ」、人工交配種は「人工交配種のニオイエビネ
」と称しているようです。
また、自然種についても同様ですが、人工交配による原種は、同一の原種のみの交
配によ ります。
自然交雑種については、自然種、人工交配種ともに何代かにわたって交配が繰り返
されているものもあります。
原種 ニオイエビネ×ニオイエビネ =ニオイエビネ
自然・人工交配種 ニオイエビネ×ジエビネ =コオズ
コオズ×ニオイエビネ =コオズ
コオズ×ジエビネ =コオズ
コオズ×コオズ =コオズ
ニオイエビネ(園芸上)について
ニオイエビネの自生地には、キリシマエビネやジエビネが自生している場所もあり、
自然交配によりキリシマエビネやジエビネの血が若干混ざっていても園芸上、その特徴
が強く現れている個体は、ニオイエビネとして分類されているようです。また、人工交配
のニオイエビネも同様のようです。
従って、純血のニオイエビネは、園芸品としては皆無に等しいかも知れません。
ニオイ系コオズとコオズ系ニオイエビネについて
意味合いは、若干異なるもののニオイエビネとコオズの中間を指すようで
@ コオズの中でもニオイエビネの血が強く、その特徴が現れているもの。
(参考 エビネは交配が繰り返されており、同じコオズでも交配が繰り返され
ることによってニオイエビネの血が20%のものもあれば90%のものもあ
ります。)
A サツマ等と交配した人工交雑種であっても、その後においてニオイエビネと人
工交配を繰り返すことによって、ニオイエビネの血が強く、その特徴が現れてい
るものの二とおりの意味があるようですが、園芸上であってもこの名称を使用し
ない方も多くおられます。
種類の分類について
同一銘、同一の個体であっても、種類がニオイオビネあるいはコオズと異なってい
るものもありますが、あくまでも、その方の判断によるものです。
エビネの「銘」
個体を区別するために自然種、人工交配種を問わず「銘」が付けられているものがあ
りますが、ともに最初に発表した人が「銘」をつけているようです。
しかし、中には同一の個体であっても、いくつもの「銘」が付いているものもあります。
また、同じ「銘」であっても個体や種類の違うものもあります。
いずれにしても、その個体が全国的に有名な「銘品」となるのも人気次第のようです。