分析と解釈の実際
それでは、夢解釈の基本原則についてすすめていきましょう。
@夢の大筋をつかむ
夢は一つの筋のときもあるが、何筋にも別れている場合が多い。
これを、二、三本の筋に要約することである。
A具体的な葛藤を捉える。
夢のなかでの葛藤状況がその夢を夢たらしめていることが多い。
例えば、早く帰らなければいけないのに、電車がこない。
大好きな人と会っているのに、その人を置いて逃げなければならない。
こういう部分を焦点化するものである。
B夢のなかに登場するすべての物・人・動物を自分の分身にし、夢は
心象風景として捉え直す。
いきなり、すべての登場人物を自分とすると分からなくなってしまうので、
最初は、父なら父として連想を始め、その次に自分とする。人間像として
父をみたときに、何を示しているのか。分身としてみるとどうか。
C夢のなかのいくつかの要素を生きてみる。
これは、その要素がわからない時に役に立つ。自動車なら「私は自動車です」
という風に。無意識的世界に近づいていくのである。自動車がピンと来ないなら、
鳥を想像してみたらどうだろうか。「鳥」・・・・鳥になった私・・・大空を飛ぶ?もし
もしくは、かごの鳥?
鳥を演じてみましょう。いろんな連想が出来るはず。
D特定の主題分析をおこなう。
A:現在の心の葛藤をみる
B:基本的な情動のあり方を吟味する
C:性的衝動を観察する
性的衝動は、そのものずばり性とは限らない。「性」は、やさしさ・攻撃・対人関係
的衝動とも言える。性を多面的に考えてみる。
D:人生の節、人生の危機への対処
出産、結婚、就職、受験、死。これらは、万国共通であり、通過儀礼でもある。
出産は、人生最大の出来事であり、祝福される。我々、人類が生きてきた共通の
無意識に反映されているものである。青年期、成人期におけるこれらの通過儀礼は
押さえるべきであろう。
Eシリーズとして夢を捉える
私たちは、日頃、多くの夢をみていますが、それぞれは独立したストーリを持って
いるかもしれませんが、並べてみると関連性が現れる場合があります。1つの夢で
は感じられなかった主題のようなものが見えてくる場合があります。
夢は私たち自身の深い無意識の泉から出ているものです。つまり、あなた自身が
作っているのです。未分化で断片的な要素・・・わけのわからないもの・・・でも、す
べてあなたのものです。舞台装置・役者選び・演じること・脚本・監督、すべて、あ
なたが作り出している舞台なのですから、私たちの心を示すものですから、色々
な違いのある夢でも必ず共通点はあります。
さて、ここまで、まじめに読んじゃった人は、ある程度、夢分析は出来るはずです。
枕元に夢日記帳を置いて、目が覚めたらすかさず、つけます。顔を洗っても、トイレ
に行くのも後回しです。経験あるでしょうが、ほんとに、すぐ忘れますよ。
夢分析は、自分が何か、自分がこれからどうしたらいいか、悩んでいるときとても
助けになるものですが、禁忌というものがあります。では、次にはそれについて、
説明いたしましょう。
夢分析のタブーとは
1.関心を持ちすぎる場合・・・・あまりにおもしろくなって、寝ても覚めても
夢から離れなくなる状態。これは、とっとと、夢のことを忘れた方がいい
です。
2.一つの夢にこだわりすぎること。頭から一つの夢が印象深くてはなれ
ない状態。これでは、他の夢との関連から、大局的夢を分析できなくなって
しまいます。
3.夢が現実の中にまぎれこむこと・・・・・日常的に好意を持っている異性
とセックスをすることも夢のなかでは、ありえます。また、嫌な奴を「殺す」
こともある。その時、夢の解釈は、「ああ、私は、あの人にあれほど強い
感情を持っていたのだ」となるはずが、現実生活でも、この夢の状況が
頭から離れない。好意を持った女性には、夢の中と同じように、「ほんとは
スキなんだろ」と、言い寄ってしまう。はたまた、やくざと喧嘩した夢をみた
ひとが、日中、仕返しされないかと、怖くて、きょろきょろ、周りを見渡して
しまう。
夢と現実が日常生活に混じり合ったと感じるなら、すぐ、夢分析は辞めて
ください。取り返しの付かないことになります。変だなぁと思ったら、精神
科医の診断を受けることです。
4.夢と日常生活との距離の取り方
いったい、夢と日常生活の距離ってどれくらい取ればいいのか?これは
個人差があるので、人によるとしか言えない。先のタブーのように夢が
自我に侵入し、現実生活に侵入することはいけないが、芸術家などは、
無意識に飲み込まれず、むしろ、それを作品として客観化する強さがある
ので問題ないといえる。距離は、自分で慎重に測るしか方法はないと思わ
れる。
皆さんも、楽しく有益な夢分析を始め、現実生活を実り深いものにして下さいね。
それでは、(^.^)/~~