タバコを止めてそろそろ三年になる。
人に褒められる事など、今までにも、これからも無いだろうが“タバコを止めた”と言う事実は僕なりにかなり賞賛に値する。
某有名なアスリートの台詞ではないが、これだけは“自分で自分を褒めてあげたい”と思う。
真面目に?二十歳前から職場の先輩の進めでロング・ピースを吸い始め、学習能力が早いのか?ほんの数ヶ月もすると、一日一箱から二箱になり、そのうち外ではロング・ピース、部屋に帰ると「缶ピー」(若い人は知らないかもしれないが、フィルター無しのショート・ピースの丸い缶、50本入りの事である)
両方で約一日60本。
これが多いか少ないかは別にして、ヘビースモーカーの部類に入る事は間違いないだろう。
おまけに根がケチときているから、ほとんど根元まで吸わなければ気がすまない。
気が付くとフィルターまで吸い、その不味さをよく思い知らされたものである。
三十を過ぎ、胃潰瘍で一ヶ月入院した。
退院する頃になると考え出した。
さてタバコは何を吸おうか、と言う事である。
ラッキーだったのは、たまたまニコチン・タールのきついタバコだった事である。
なにがラッキーかというと、ニコチン・タールの軽いタバコだったらそれ以上軽くするという事はタバコを止めるしかない。
僕の場合たまたまきついタバコだった。
軽くすればいいだけの事である。
余談になるが、酒飲みがある病気になったとしよう。
医者に「あなたはこれ以上酒を飲んだら死にますよ」と言われたとしよう。
酒をやめればいいだけの話である。
ところが酒を飲まない人が同じ病気になったとしよう。
医者はやめる物(酒)が無いから「あなたはもう死にますよ」と言うしかない。
話はタバコに戻る。
退院間際にいろいろ試した結果キャスターに落ち着いた。
理由は大概軽いというだけで何か物足りない。
それがさほど違和感がなかったという事と、そのタバコは少し前に出たばかりだったが、日本で唯一100%日本の葉を使っている、という事だった。
他の銘柄は多かれ少なかれ輸入物の葉を使っているらしい。
という事で退院後からめでたくピース60本からキャスター60本に変わった。
それから20年ほど時を経て50を超え、食道を半分切除する事になった。
ついでに胃も切除したがそれは無くなったから関係ないとして、やっぱり切除、接合部分にはニコチン等は好くないらしい。
もはやタバコは軽いものに変わっている。
変に吸い方を変えたり、本数を減らしたりと何やら名残惜しい事はしたくない。
という事で、タバコを止めてそろそろ三年になる。