前回「寿命かなあー」というタイトルで何やら「平成15年」は次から次へと物が壊れた、という話を書いた。
まずは車に始まり、ガスコンロ・カセットコンロ・録画システム、最後はプリンターとまあ、続いたものである。
後で気が付いたがもう一つオーブン電子レンジの事も忘れていたが、もうどうでもよい。
年は明け、今年になりいきなりというか、店で長年使っている、AM・FMチューナーが突然スイッチを入れると「ブゥオ〜〜ン」とそれは大きなノイズ音が鳴りだし、結局聞けなくなってしまった。
と前回、ここまで書いた。
これには後日談がある。
元々金沢出身であるが、東京へ転勤となった男がいる。
その名も「田町氏」が住いを敢えて「町田市」にしたという面白い男がいるのだが、その田町氏が先月の話を読みメールをくれた。
「もう使っていないFMチューナーがあるが、近々金沢へ帰るので持っていこうか?」という事であった。
もちろん断るはずもない、それは有難い事である。
早速その週末にヤマハのFMチューナーを抱えて店にやって来てくれた。
早速接続、もちろん順調、感謝・感謝である。
それから店で、機嫌よ〜く鳴いてくれている。
町田市の田町氏・ありがとう。
さてと、これで終わるかというとそうではない。
ちょっと物が違うような気もするが、何年か前「下の前歯二本」がぐらつきだした。
歯医者さんはというと。
その二本を接着剤でくっつけ、それぞれの隣の歯にもくっつけていた。
(最近は歯も接着剤でくっつける時代のようである。)
(アロンアルファーだろうか?)だとすると自分で出来そうな気もするが・・・。
つい先日いつものように食事していると、その接着剤が、ポロっと外れてしまった。
これも寿命か?はさておき、もうそれから何年か経っているせいか、益々歯茎が弱っているらしく、すでにグラグラを通り越し、今にも抜けそうである。
エーイ、なら自分で抜いちゃえと思い、ニッパを取り出し抜こうとしたがそんな事は必要なかった。
その前に指で軽くツンツンとやってみる、するといとも簡単に二本ともツルンと抜けた、というより落ちてきた。
歯茎の中ですでに浮いていたのだろう、血も出なかった。
しかしそれで安心などしておれない。
なんせ前歯の事目立つ。
鏡の前でちょっと口を開けると嫌でも「抜けとるなー」とマヌケナ歯(顔)になっている。
僕は試しにニッと笑ってみた。
すると鏡の中に、笑顔とは程遠い不気味な顔がそこにあった。
暇な店とはいえお客様商売、これではカウンターに立つ気になれない。
それがある木曜日の事になるのだが、とにかく行きつけの歯医者に電話を入れ、もう入れ歯しかないだろうし、明日の午前中に診察してほしい。
出来たら是非その日のうち何とかならないか?と申し出ると「なんとかそうしましょう」という事になった。
次の朝いくと、患者は沢山いたが、急きょ予約した割には意外にも早く呼ばれ、診ながら形取りし、歯科技工士とも相談してくれたらしく、午後の三時くらいには出来あがる、という事だった。
先ずはヤレヤレであった。
そして午後は三時前に行くと、名前を呼ばれる。
「ハイ、口を開けてください」というと歯科医は「うん、いいのが出来ましたよー」と言いながら、その入れ歯を付けてくれる、カツンとハマった。
僕は意味もなく「ホウーッ」と胸を撫で下ろした。
「なにか不都合があったらまた来てください」の声を後にし、待合室で待っていると呼ばれた、5千円で少しお釣りを貰い、内心以外にも安かったなあーと思いつつ、とにかくまずは満足しながら家に帰った。
さっそく鏡を前に置き。口を開けてみる。
当然だがそれまでの自分の歯より綺麗になっており、僕は「ふむふむ」と納得しながら・・・さて問題の「ニッ」と笑ってみた。
そこにはそれまでと変わらない、いつものマヌケな僕のバカ面があった。
酔い良い(よいよい)と、しよう・・・。