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(C)2003
Somekawa & vafirs

鬼の面

 突然ですが、タバコを切らしてしまいました。
 <そんなもん、しらんわい> と言われそうですが、まあまあ。

で、買いに行こうと我が家を、あっ、ところで我が家は笠舞(かさまい) という所にあります。 なぜ笠舞という地名になったかというと、北の方角に小立野台地が あります。(たぶん標高差、百メートルぐらい)

その昔、このあたり一面、田んぼだったそうです。 梅雨の時期になると、いっせいに蓑笠(ミノカサ)をかぶって田植えが 始まります。その風景を台地から見下ろすと、笠が舞うように見えた、 というところから笠舞になったそうです。 (なかなかキレイな地名ではありませんか)

ついでに我が店ロブロイはどうかといいますと。 今は片町となっていますが、その昔は河原町(かわらまち)と言っていま した。これはまあ、すぐ傍を犀川が流れていますから、聞かずとも容易に 推測できます。 (たぶん世間にたくさんある地名でしょう)

 <ゴチャゴチャ言うとらんとタバコはどないなったんじゃい、買いに行くん じゃあなかったんかい> ハイハイ、ほな行ってきます。

ということで近くのコンビニへ。あっ、そうそう日曜日の夜8時頃の話です。

タバコを買い、我が家の方へ歩いています。ある路地を通り過ぎようとする と、なにやら言い争いのような声が奥から聞こえてきました。

僕はその角で足を止め、そっと覗いてみると言い争いではなく、ドア越しに 一方的に中年の女性が、怒鳴っているのです。

 「この、ひとでなし」

 「この、スケベーおんな」

 「人の亭主、食いよってからに」

 「そんなに欲しけりゃノシ付けてくれてやるわ」

もう説明するまでもありませんが、ダンナの浮気相手の家へ怒鳴り込んで 来た、という事のようです。家の明かりは付いていますが、中からは声は まったくしません。

 「あんた、それでも人間か・・・」

 「ほんとに、鬼の面をかぶった人間じゃわ・・・」

いろんな言葉が出てきます。で、二言、三言、言った後必ず、  <鬼の面をかぶった、人間じゃわ>が、出てくるわけです。

そのセリフを何回か聞いているうち、アレッなんかおかしいぞ・・・? と思った訳です。勘の良い方なら、もうお気づきでしょうがこのセリフ、 逆ではありませんか。

 鬼の面をかぶった・・・・・ではなく、  <人間の皮をかぶった、鬼じゃわ>と、言わなければいけない訳です。

しかし、相変わらずそのセリフは繰り返されます。僕はその度に笑い出し そうになり、  「まあ、いいか」と、独り言をいいながら、まだ間違いにきづかない   <鬼の面をかぶった、人間じゃわ> を聞きながらその場を後にしました。

皆さま、怒鳴り込むときは言葉を間違えないように、気をつけましょう。

まてよ・・・ひょっとして、ほんとに鬼の面をかぶっていたのかな・・・?

<主のひとり言>  毎・月半ば更新いたします。