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Somekawa & vafirs

マジシャンのひとりごと

CULL(山崎真孝)

私はクロース・アップ・マジシャンです。 これはテーブル上で、カードやコイン、マッチといったものを使い、不思議なことをお見せするマジックです。

お客さんの真近で演じる性格上、色々な質問をされます。 (勿論マジックですから基本的に『質問』は受けないことになっていますが、どんどん質問されます(笑)。)

「どうやったんですか?」(←素直なお客さんです・・・が、答えられるわけがありません。)
「(トランプを出しただけで)あっ、そのマジック知ってる。」(←うーむ・・・カード・マジックだけで、数万種類あります。)

同じ質問も、よくされます。

「器用じゃないと、できないんでしょうね。」
「どうやって憶えたのですか?」
「いつから、どんなきっかけで始めたんですか?」
「お金を増やしてくれますか?」

そんな中でも多いのは「もてるでしょう。」という質問です。

実際、『もてる目的』で、マジックだけでなく、音楽、スポーツを始める男性は多いでしょう。 同じ音楽・スポーツでも“もてなさそうなもの”の人気が低いことからも、 いかに男性にとって“もてるかどうか”ということが、人生におけるモチベーションを左右しているかがうかがい知れます。

さて、上の質問の答えを・・・

『モテル人はマジックがうまいと、よりモテ、モテナイ人がマジックをすると、下手すると、もっと嫌われる。』

辛い現実です。世の中そう甘くはありません。 賢い女性の皆さんは当然ご存知のことなので、女性からこの質問を受けることはありません。 男性はいくつになってもマジックを見て驚くと「これを身につけたら、もてるだろうなぁ。」と単純に思ってしまうようです。

料理でもお酒でも、それ自身の美味しさは大切ですが、それに加えて誰と、どんなシチュエーションでいただくか、によって味は格段に変わります。

マジックだって、同じこと。誰に、どんな時に、どんなマジックを見せるかってことが肝心。 それをうまく使いこなせる人が、すなわち『もてる人』。 そういう手練手管が上手な人は、マジックの使い方も上手だし、実はマジックなんかしなくても、色んな武器を持ってるので『もてる』と思います。 「マジックでもてよう。」と思った時点で、多分その人は武器の良し悪しだけに心を奪われ、 使い方の重要性を忘れているので、もてない可能性が高いような気がします。

しかし翻って考えるに、マジックを見て「もてるんじゃないか?」と思ってもらえたということは、 男性にとっての『最高の夢』を提供できた、ということなのかも知れません。

え? 「お前は、どんなつもりでマジック始めたんだ?」ですって?
中学生の僕は、こんな野望を持ってマジックにドップリはまりました。
「マジックやって、モテモテになってやるー!! わっはっはっはっは!」

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