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ジュニア向け乱歩風探偵小説「嘲笑うサンタ」第21話から


第21話 「はい、空地(あきち)です。」 と、おにいさんが電話に出ました。
「私立探偵の空地窪郎(あきち・くぼろう)くんだね。」
と電話のむこうの声はへんになれなれしいのです。さすがの空地探偵も
気味悪そうに、ぎょっとしました。
「どうしたの。だれから?」とぶりっ子の聖名子ちゃんがそばでかん高い声を
出すので、しっと健太君ら三人はそろって指を口にあてました。
「何をしているのだね。はやくまちはずれの横溝屋敷に来なさい。」
その声は、まるでテレビ劇にでてくる仮面の怪人「サタンの爪」の声のように
気味悪くくぐもっていて、さすがのおにいさん探偵も顔色がかわっています。
「健太くんの友達の金山梨花子ちゃんが待っているからと、つたえなさい。
警察にはしらせないように。しらせると梨花子ちゃんの命があぶない。」
「なに?金山梨花子ちゃんですか。あなたは?」
と確認する空地探偵をあざわらうかように、相手はメリー・
クリスマスといって電話を切ってしまいました。
金山梨花子ちゃんといえば、健太君・祐介君のクラスメートで、香りちゃんの
大のなかよしです。町いちばんのお金持ち、金山産業のおじょうさんでした。
「横溝屋敷といえば三年前から空き屋になっているはずだ。」
私立探偵空地窪郎はちょっと考えこみましたが、また電話をかけはじめました。
アルバイトの大学生、小林青年を応援に呼ぼうというのです。

ちょうどそのころ、健太君のおうちの応接室では、おとうさんの大下すばる
さんが、小堺祐介くんのおかあさん、香山香ちゃんのおとうさんと顔を
寄せ合って相談中でした。健太君はクリスマス・パーティーから帰らないし、
祐介君と香ちゃんは一旦帰ったが、電話がかかってくると飛び出したまま
連絡がありません。おとうさんたちは電話で尋ねあううち、自然に大下家に
集まり、警察に捜索願いをだそうかと相談しているのです。
ちょうどそこへ、金山梨花子ちゃんのおうちの書生の綾師(あやし)さんから、
電話がかかってきました。電話に出た健太君のおかあさんは気分が悪くなり、
すわりこんでしまいました。梨花子ちゃんが愛犬ジョンと散歩にでたきり帰ら
ないので、おうちの人は手分けして級友の誰彼に電話をかけて消息を尋ねているのです。
(4.21,01 旧人類)

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