『蓮如上人御一代記聞書』(れんにょしょうにんごいちだいきききがき)
本願寺八世蓮如(1415〜1499)のおりおりの法話・訓戒・行状などを収録した書であるが、なかには九世実如の法話をはじめ、親しく蓮如の教えを受けた人びとの言行も若干収められている。本書は蓮如の言行と面影をいきいきとした文章で伝え、蓮如の思想や人柄を知る上で重要な書であり、真宗の信心また歴史を知るうえでも豊富な内容をもつ。元禄二年(1689)の初刊本は四巻二百四十九条、その後刊行された『真宗法要』本は二巻三百十四条、『真宗仮名聖教』本は一巻三百十六条よりなり、それぞれ内容・順序に若干の異同がある。本書は『空善記』(空善著)『蓮如上人御物語次第』(蓮悟著)『蓮如上人一語記(実悟旧記)』(実悟著)などより抄出して再編集したもので、文中、蓮如を前々住上人、実如を前住上人と呼称することから、第十世証如の時代の編集と思われる。編者については諸説があるが、今日では蓮如の子実悟の編とする説が有力。また実悟の子顕悟の編とする見解もある。
(『真宗小事典』 瓜生津隆真、細川行信 編 法蔵館 より)