尼公ノ巻故郷信濃国から尋ねて来た、姉の尼公と命蓮は再会し、ともに信貴山で修行に励む 若いときに信濃国を離れ、奈良へ仏道の修行に向かったまま消息のない弟を捜し尋ねて、姉の尼公が奈良へ旅立つ。長い旅路の中で、折々に出会う人々に弟の行方を尋ねる尼公。東大寺大仏殿での一夜の祈りが聞き届けられ、大仏のお告げにより信貴山にたどり着いた尼公は、念願の再会を果たす。その後、尼公は信貴山にとどまり、弟命蓮とともに修行にいそしみ、余生を幸福に過ごすのであった。 東大寺大仏殿での場面は、異時同図法により、異なった時間の場面が同一画面に描かれて強い効果をあげているが、この場面はまた創建当初の大仏殿を伝える貴重な記録ともなっている。 |