「楓図」は天下人・秀吉の命をうけて描かれた、等伯の名声を不動にした記念碑的作品。実物大をはるかに凌(しの)ぐ楓や松の巨木と色とりどりの秋草が、ゴージャスな桃山時代を象徴しています。また、紅葉や木犀(もくせい)、鶏頭(けいとう)、萩、菊などの植物の姿は、画面からその生命力が溢れんばかりに表現され、ライバル狩野一門の「金碧花木図」には見られない、華やかな装飾性と豊かな情感を湛(たた)えています。