水彩、油絵も描いていたカーフさんが木版画に目覚めたのは、日本の伝統的な街並みは木の素材でしか表現できないと感じたからだ。 「格子の直線は、ベタベタ塗り重ねる洋画では絶対に描けない。木造のリズム感や風情は、木を彫ることで初めて出せます」 カーフさんの部屋を見渡すと、日本的な家屋には直線が多いことが分かる。天井の格子、障子の桟、柱、畳の縁。これら縦、横に交わる直線の文化は、カーフさんにとってはまさに木版画の世界である。カーフさんの作品は米国プレーボーイ誌やニューズウィーク誌でも取り上げられた。そして今、東山界隈の風景を描いた絵はがきや、神社の絵馬、日本酒ラベルにも採用され、浅野川文化を広く発信している。 浅野川の水紋さえも「木目に見えてくる」というカーフさん。こうした木へのこだわりがつくり出す木版画の美は、金沢の景観に対する新たな見方を教えてくれる。 Keyword: woodblock print 木版画 |