背筋伸びる直線の緊張感  〜 木版画家 Clifton Karhu 〜

木造のリズム

水彩、油絵も描いていたカーフさんが木版画に目覚めたのは、日本の伝統的な街並みは木の素材でしか表現できないと感じたからだ。

「格子の直線は、ベタベタ塗り重ねる洋画では絶対に描けない。木造のリズム感や風情は、木を彫ることで初めて出せます」

カーフさんの部屋を見渡すと、日本的な家屋には直線が多いことが分かる。天井の格子、障子の桟、柱、畳の縁。これら縦、横に交わる直線の文化は、カーフさんにとってはまさに木版画の世界である。カーフさんの作品は米国プレーボーイ誌やニューズウィーク誌でも取り上げられた。そして今、東山界隈の風景を描いた絵はがきや、神社の絵馬、日本酒ラベルにも採用され、浅野川文化を広く発信している。

浅野川の水紋さえも「木目に見えてくる」というカーフさん。こうした木へのこだわりがつくり出す木版画の美は、金沢の景観に対する新たな見方を教えてくれる。

Keyword: woodblock print 木版画

Asanogawa Trees
  • 1927 米国ミネソタ州ダルースに生まれる
  • 1946 初めて軍人として日本の佐世保に来日
  • 1950 52年までミネアポリス美術学校に学ぶ
  • 1955 来日、以後日本在住
  • 1962 京都の画廊の主人のすすめで木版画を手がける
  • 1967 日本版画協会京都支部長
  • 1978 駐日米国大使マンスフィールド氏に故郷ミネソタの風景の版画を贈呈
  • 1991 有楽町阪急にて「30年の歩み クリフトン・カーフ展」
  • 1996 金沢市主計町「鍋料理の太郎」の隣にスタジオ、くらがり坂下にギャラリー
  • 2007 3月24日永眠
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